最初の丸太小屋
仕事場の増築
かわいい倉庫
キットの角ログ
コテージ
20年後の角ログ
1 人でも出来るキットの角ログ
この地方はセルフビルドの建物が多い。ログハウス業者もそのような愛好者のために法的に決められた設計資格の無い者でも建てることが出来る100平米以下のプランを多数用意している。今回角ログのキット材料を依頼した(株)TALOインターナショナルもそのような人たちのために設計から輸入、申請から建築までフォロー体制が整っている会社だ。1998年〜2002年にかけての建築の様子を記録してみた。
周りに家はほとんど無く赤松や檜林と雑木林に囲まれた小さな山の南斜面。
もう少し住みやすくするための工夫
敷地は八ヶ岳南麓の富士見町にあり約300坪、標高810m 。倉庫もあるのだが99平米の角ログのキットだけの家だと永住にはどうも手狭になる。そこで母屋建築後に入口に新たなエントランス兼風除室とキッチンの勝手口に食料庫を増築。さらに南側にデッキを作り、そこから庭に下りる階段とそこに続くアプローチと野外料理スペースを煉瓦を積んで作ることにした。
素人でも出来た建築の確認申請
富士見町役場と敷地の道路後退の解釈の違いで数回図面を直し、手間はかかったが、諏訪地方事務所に申請していた建築確認が1998年7月におりる。書類様式は、ログの輸入業者が、モデルプランをアレンジしたこちらの案に基づいて用意したものに書き込み、富士見町独自のきまりもあるので町の指導を受けながら申請する。前に作った倉庫も同様な書類を作り、今度のログハウスと同時に申請した。
必要な書類:建築確認申請書類4部(正本・副本・町控え・消防署)/公図の写し/工事届/建築概要書/町の指導表
家の基礎幅より1m広げて総掘りになる。地山が出てこないので栗石や砕石を余分に入れた。
本格的な基礎作り、まずは整地からフーチングまで。
今回は建築面積が56平米。先の倉庫と比べると基礎の規模は4倍以上。 下地に敷く栗石が20cm、フーチング(基礎を支える土台)の高さが30cm、基礎が210cm。基礎の出が地面より60cmなので、深さ2mの総堀りになる。すごい土の量だ。約1ヶ月かけてミニバックフォーで堀り、栗石と砂利を14立米入れて突き詰め下地を作った。また、近くの畑や田圃から出た石を貰い(農家にとって不要なので道ばたの各所に山にして積んである。)栗石の下に埋め込み地耐力の補強に使う。今度のフーチングは幅が60cm、生コンも12立米入った。落差がかなりあったので4mのシューターを2本つないでの作業になる。
鉄筋は5.5mのD13のトップ筋20本にD10が300本。 溶接してある3.6m のビックベースが15 セット。
フーチングの完成。生コン業者は言った。「こんな大がかりなベースを見たのはおいら初めてだ〜。」
型枠は半分づつ作れば材料費も半分に。
10月、型枠を組みながらの配筋作業が始まる。基礎幅は20cm、配筋も基礎高が210cmあるのでダブル配筋になる。後に地下室として利用するつもりなので、出入り口の開口枠(3カ所)や窓の開口枠(2カ所)を途中に入れたり、排水や給水用の穴をボイド管やパイプを切って入れたりの作業が伴う。最初に外側の枠を正確な寸法に配置し、これを基準として内枠を配置する。 建物がメーターモジュールのためコンパネの切断作業が必要だ。180cmのコンパネの上にフーチングに使った巾30cmのコンパネを足す。基礎は左右対称なので、配筋を全部行った後で、中央で分けた部分の半分だけ型枠を作り生コンを打つ。コンクリートが乾いた時点で取り外し、それをそのままもう半分の部分に移動し組み上げた。
横筋と縦筋は30センチ間隔で5cmのダブル配筋。かぶりも5cm。途中の開口枠も再利用できるように工夫した。
基礎の生コン打ちは圧そう車で楽々。補強は厳重に。
基礎はシュートをつないでも水平になってとどかないのでポンプ(生コン圧そう車)を業者に依頼した。やはりプロである。こちらが素人であることを告げると、 型枠の点検や補強の追加などを行い、生コンを打つときにも分かり易く的確な作業指示をしてくれた。こちらはその指示に従い、借りてきたバイブレ ーター(生コンの流動性や均一性を高める気泡を除く振動機)をかけたり足場を生コンを打つ次の場所に移動したり型枠を生コンがうまく打てるように叩いたり、振動で緩んだバタパイを留めてあるネジを締めたりの作業に飛び回る。
顔も服もコンクリートだらけになったが、おかげで生コン打ちも無事 終了し、しっかりとした基礎が出来上がった。基礎壁はT字形やL字形のところに一番圧力が掛かる。そこの補強が弱いと生コンを打っている最中に、型枠がはぜたり膨らんだりすることが時々有るらしい。そうなるともう生コンが流れだし後かたづけが大変だという。型枠作りもやりだすとなかなか面白いが奧が深い。
生コンの圧そう車。リモコンで生コンの出る先端や圧そうが自由自在にコントロール出来る。
型枠が取れて完成した基礎。少し膨らんだ所もあるが基礎巾が広いので建物には全く影響がない。
基礎上側の四角い穴はデッキの大引きを挟むように東側と南側に作った。
板を鉄筋で作った大きなクリップで基礎にはさんで水平に止め、天端モルタルで均し水平を出す。(左)
居間とホールに床を支えるための独立基礎を2カ所作る。(中)写真右は風呂場の土間基礎の下地
1998年11月28日ログの搬入
朝8時、40 フィートのジャンボコンテナが近くの道幅7mの農道に到着する。近所の知り合いから3tトラックとフォークリフトを借り、また静岡から大型のピックアップトラックとユニック付きのトラックで友人達に来てもらった。他に予定していた2名が来られず総勢7名で現場までピストン輸送。夕方5時までにどうにか荷卸しは終わった。全部は現場に運べなかったので次の日、残りの材料を運び、後かたづけをして1998年の作業を終える。

ログ積みは1999年4月から。
4月 29日最初のログにアンカーボルトの穴を開け座掘りをし、対角と直角 を確かめながら配置。2段目からは下のログに固定する木だぼを打つ。 図面には東西南北の各通り記号とログの番号が下の段から順に書いてあり、ログにも同じ記号と番号が手書きで書いてある。図面に従ってログ材を選び出し積み上げる作業の繰り返しだ。ログの太さは断面が9.5センチ×17センチで、長いものでも一人で積み上げられる重さである。ログ搬入の時ある程度整理しながら置いたつもりだったが、すぐ使うログが下の方にあったり、手書きの文字がフィンランドで2人以上の人物が書いた癖のある字だったので判読に苦労し、選別に時間が掛かった。
シルログの配置は慎重に行う。アンカーボルトのズレはログの穴を拡大して納めた。
反りと捻りに悩まされる。
本来なら材料をコンテナから降ろしてすぐに積み上げるのがベストなのだろうが、約5ヶ月間そのままにしておいたので捻りや反りが出ていた。ジャッキやウインチ、レーバーブロックや木工クランプ等を駆使してどうにか積み上がったが、キットとは言え狂いの出たログを直しながらの作業は骨が折れる。一本を積むのに一時間以上かかることもしばしば。
一階半分が積み上がる。垂直が狂ったりした場合や木だぼの穴がずれている所もあるので打ち込むのに苦労する。
かけやの音が山にこだまする。気持ちの良い響きだ。開口部を加工していよいよ一階のログ積みが完成。
木工クランプとハンドドウィンチを組合せて反りとログのかみ合わせを揃える。次のログが載れば自重でだんだんと沈み込んでいく。
捻りは木だぼの穴に鉄パイプを通しレバーブロックで引きながら下のログとかみ合わせかけやで落とし込み木だぼを打ち込んで納める。
1999年7月、足場なしでログを積み終える。
6月も半ば、1階のログが積み終わりロフトの根太をログに組み込み ながらトラスのログ積みが始まる。最後の長尺棟木の3本を上げるの に苦労したが、ロープと滑車とハンドウィンチで切り抜けた。最後の1本は畑の地主の小林さんに手伝っていただいたがほとんど一人の作業だ。一人で行うログ組みの場合、仮床を張っておけば外 側に足場がない方がやりやすいと思う。しかし、屋根の作業は足場が ないと危険だ。この家の場合北側の部分はなんとかなるが、南と西側 は基礎が2m以上あるので屋根に梯子もとどかない。出来るだけ頑張 ってはみたが垂木掛けまでが限界だ。自前の4mのバタパイでは全く 役に立たないので、足場業者に依頼することにした。
ロフトの床梁をログに組み込みながら配置していく。その上に仮床を張って足場にする。
ロフトの妻壁と棟木が乗った。ログ積みは上にいくにしたがってログも短く軽くなり作業が楽になる。
1999年8月リースの足場が付くが、その前に電気工事。
夏休みには原村の自宅にお客さんが毎日のように訪れたので作業は出来なかった。煙突開口の下地補強や、後から追加した天窓の開口部に手間取ったがどうにか垂木掛けが終わり、妻壁側の飾りの破風板と垂木の鼻 隠しを取付る。
次は野地板張りだが、その前に妻壁側のログに電線を通す作業がある。これだけは後から出来ない。再度配線計画を練り、照明のスイッチ用、通電用、送り用など、なるべく近距離の配線になるよう垂木に穴を開けて電線を通す。ログ発注時に電気専用の穴を開けてあり、1階やロフトの壁も前もってスイッチやコンセントの位置を決め穴を開けてあるので、上から入れた線を引っ張り出すだけだ。 三路スイッチもあり、パズルをやっているようでなかなか面倒だが頭の体操になる。後で忘れないように電線には用途を書いておき、切断面をビニールテープで巻き保護しておく。
足場が設置され垂木掛け作業がぐ〜んとはかどる。垂木はセトリングの妨げになるのでスライド金具で留める。
電気配線をしながら野地板を張る。巾の狭い野路板なのではかどらない。
リース足場を2ヶ月延長、やっとはじまる屋根工事。
野地板はコンパネが一般的だが、今回は10cm幅の板張りである。 知り合いの画家が手伝いに来てくれたがなかなか進まない。煙突のデザインを決めかねていたのでその方に時間がとられ、野地板を全部打ち終えたのは9月の半ばだった。
すぐにアスファルトルーフィングを打ち、天窓を南側に2カ所、北側に1カ所取り付ける。屋根材は相変わらずヘビーシェイクだ。屋根材の幅は色々なので、なたで割りながら、最大で30cm位、最小で10cmぐらいにし、その中間を適当に2〜3種類の巾のものを多数用意する。
桟木を屋根足場と屋根材の水平方向のガイドにして、そこに並べながら45mmのステンレススクリュー釘で打っていく。間隔は雨や日射しでシェイクが膨張収縮するので必ず1cmぐらい開ける。 葺き足を25cmにすると次の屋根材がうまく下の釘を隠してくれる。一 列打ち終えたら、新しいガイドを取り付け今のガイドを足場にする。 屋根の上までこの作業を繰り返す。棟板は東西方向にピッチをやや狭 くして葺く。トップをメタルフラッシュなどで雨仕舞いを行い、一枚ずつ南側北側と交互に張り進んでいく。
天窓の雨押さえは屋根材によっても違うが、今回は瓦用雨押さえをオプションで注文したがトタン用雨押さえでも施工をうまく行えば十分だと思う。
ルーフィングを張り、ウェスタンレッドシーダーの屋根材を葺く。木の香りがとても良い。
屋根張りが終了。ログには木の屋根がよく似合う。自然にとけ込む最高の雰囲気とバランスだ。
外壁の塗装、煙突も終わり足場が取れる。
煙突周りはカルチャードブリック張りにした。煙突のトップは近くの工房で鉄板を加工して作ってもらった。外壁をステンプルーフのマロンブラウンで塗装し 二重窓を入れ、窓周りもアボガドグリーンで塗装した。11月12日、足場のリースが終わり、一連の外装もほぼ同時に完成。材料の搬入のためドアはまだ入っていないが今年の作業はここで終わる。
天窓と煙突の下地。下地にラスを張りモルタルで仕上げ、カルチャードブリックを貼る。
煙突の外観が仕上がる。トップは知り合いの工房で作ってもらった特注品。
外壁にカビがだいぶ出て取りながらの塗装。ステンプルーフのマロンブラウン、窓枠はアボガドグリーン。

何でも業者に頼めば簡単だが、いざというときに自分の家のことが何 も分からないというのも困る。セルフビルドを行うと色々なことを覚 え、図面だけでは読みとれない様々な情報もわかる。楽しみながら作り、暮らしながら修理や補修をする。急がず焦らず自分流でのんびりやろう。
2000年4月も半ば内装がスタートする。
2000年になってはじめての作業。ログのセトリングがだいぶ進んだようで7cm以上も沈んでいる。座掘りをして埋め込んだ窓の上のコーチボルトが数カ所建具にくっついてしまっていた。すぐにボルトを切断。外のコーナーのボルトは全て締め直す。
ロフトの天井板を張る前に断熱材をいれる。断熱材も屋根材と同じでキットには含まれていないので建材屋から仕入れる。10cm厚のグラスウールを二重にし垂木の間に入れていく。断熱材を覆うように室内側にベーパーバリア(防湿用)を留め、天井板を張っていく。上を向いての作業なので首が疲れた。
ロフトは床があるので良いが、吹き抜けの天井張りは足場をバタパイで組んで作業をする。
天井の板張りが完成。
5月31日に天井の板張りが終わる。板は3.9mで本ざね加工になっているので多少の反りやひねりは納めることにより直る。一人で張る場合、板厚より5ミリ位多く空間を取りログ壁にさん木をガイドとして天井の傾斜に沿って釘で固定する。そこに板を挟み入れ支え反対側から釘を打ち付けていく。下から張っていくので一枚目は仮止めして水平を出しながら張る。本ざねが入りにくい所は、一番入りやすい所から添え木をしてたたき込み釘打ちし、順次たたき込んでいけばほとんどの場合うまく納まる。
天窓まわり3カ所も天井板と同じ材料で加工した。材料足りるかな?
ロフトの床板張り。
6月の半ばからロフトの床板を張りはじめる。根太の上に足場にしていたコンパネをはがしながら打ち付けていく。床板も長さが3.9mで本ざね加工になっている。いわゆるフローリングタイプのものだ。図のように釘(50ミリのスクリューフロアネイル)を打ちポンチで奧までたたき込む。
無垢の床板は若干の反りが有る場合がほとんどなので隙間ができないように添え木をして叩きながら順次納めていく。平面なので作業はどんどん進む。難しいところは最後の1枚。最後の3枚目まで打ち進み、2枚目を仮に置いて残りの幅の寸法を測りそこから5ミリ程マイナスして板をスライスカットし、壁に当たる下面部分を斜めにカンナで削って最後の1枚を作る。これと最後の2枚目をつないで1枚にして最後の部分に叩き入れる。少し壁と隙間が開くが、仕上げの幅木で隠れるので問題ない。
一階の天井板張り。
7月の初め一階の天井を張りはじめる。天井根太(梁)を抜け止めの2×4のL字金物で全て補強したあとロフトの天井張りと同様に張り進む。途中ダウンライト用の穴を開け配線をしながらの作業。天井の仕上げは梁を見せる方法と隠す方法があるが、いままでの家が梁が見えていたのと電気の配線も天井裏に隠れるので今回は隠す方法を選んだ。サニタリー以外の居間とキッチンの天井はその上がロフトホールになるので断熱材は省いた
照明器具の埋め込み穴は天井板を張ってからドリルで開ける。電気配線も順次梁に穴を開け通していく。
一階の床張り。
8月の中頃から一階の床をを張りはじめる。ロフトの床張りと同様に張り進む。薪ストーブ部分と玄関入口、台所と洗面所の床はテラコッタのタイル張りにしようと思い、その部分の下地にはコンパネを張る。吹き抜け部分の天井扇と照明を付け足場をはずすとヤケに吹き抜けが高くなった感じがする。天井扇はオリエントエクスプレスの車中にあった物を知り合いから譲り受け取り付けた。
梁を垂木の余った材料で造りサーキュレーターを取り付け照明器具も足場を取るときに取り付けた。
サニタリースペースの間仕切り
洗面、風呂、トイレなどのサニタリースペースはログウォールではなくツーバイフォー方式の壁。床を仕上げた後、セトリングを考えスライド金物でスタッド(構造柱)をログに固定し、天井とのセトリングスペースを7センチ位あける。スタッドを固定するのは床と壁だけで天井には固定しない。(その真上の天井根太にはスタッドと同じ幅の材料を固定しておき、壁の仕上げ材と同じ厚さの物を厚さを同じに加工して打ち付け、その上にセトリングスペースをカバーする化粧板を打ち付ける。)一カ所の壁だけだとゆらゆらしているが、間仕切り壁同士を固定していけば全体がしっかりした壁になる。
このようにしてツーバイフォーで間仕切り壁をつくり、断熱材を入れて仕上げを板張りと石張りにした。
左がスライド金物。柱には縦にスリットが下まで入っていてそこに金物を挟み込むようになっている。
最後の電気配線
各部屋から電気の配線が配電盤のある洗面所に集中して来るので、各回路ごとに結線し間仕切り壁の中を通し配電盤の位置から出して束ねておく。後からの工事予定の地下室電源や水道の凍結防止帯専用回路なども含め14回路になった。外からの電気引き込み線も倉庫から地中に埋め、地下室に出してサニタリー部分の床下からこの間仕切り壁の中に入れた。同時にログウォールに穴を掘りコンセントやスイッチを埋め込んで取り付ける。あとの配電盤への結線工事は電気工事屋さんの仕事だ。
電気配線を地下から出し、壁が来る位置に予め床板に穴をあけてまとめて出しておく。
2000年11月左官工事:カルチャードストーン
サニタリースペース入口と浴室は腰ぐらいまでカルチャードストーンを使った。方法はモルタル(砂2:セメント1)の厚着貼りで、コンパネ下地にアスファルトシングルを貼った上にモルタルラスを貼り、その上に下地モルタルを7ミリ厚に壁塗りし固い刷毛で表面を荒くしておく。そして下地モルタルが乾いたら(1〜2日位)カルチャードストーンをしばらく水に浸けておき、ややゆるめのモルタルをカルチャードストーンの裏に5ミリ位均等に塗り中央は2〜3センチ厚位余分に盛り上げる。それを下地モルタルに押しつけながら貼っていく。周りからモルタルが押し出てくるまで押さえつければもう手を放しても落ちてこない。
浴室のカルチャードストーン。トイレ前(右)は腰壁2面をカルチャードストーンにした。
キッチンと洗面所はスペインタイルで
洗面所とキッチンに10センチ角のコバルトブルーのスペインタイルを使用した。貼り方はカルチャードストーンと同じ。このタイルは日本製のようにキッチリとしておらず正四角形のものはほとんどない。反りがあったり2〜3ミリは平気で狂っている。色も均一ではなく、表面に細かいヒビがある物もある。アクセントとしてグアダラハーラという絵タイルとセビルのハーフサイズのものを使った。
目地はホワイトセメントをややゆるめに作り、ゴムべらで均しながら目地に押し込んでいく。タイルの表面に付いた目地セメントは、乾いた後すぐなら布でふき取れば簡単にとれる。そのまま何日も置くと金属のへらでないと取れなくなってしまう。
2000年11月30日タイル作業終了。でこぼこしたり目地が均一でなかったりしているが、色鮮やかでスペイン風のどこか陽気な感じのおもしろい仕上がりになった。
タイルの目地はホワイトセメントをゴムベラで均しながら詰めていく。
キッチンの換気扇部分。下地合板はセトリング対策でスリットを入れて止めてある。
2001年4月テラコッタの床タイル
トイレとキッチンそしてストーブ廻りに30センチ角のイタリアのテラコッタタイルを使用した。貼り方は床の下地のコンパネに防水シートを貼り、セメントと砂を1:3の割合で水を若干入れ良くまぜた敷きモルタル(空とろ)を1.5センチ厚に敷き詰め、その上に十分に水に浸したタイルをのせて押さえるだけ。目地はモルタルで詰めていく。テラコッタタイルは素焼きなので後で専用ワックスを塗ることにした。サニタリー入口部分の手洗いはスペインセラミックの洗面ボウルと絵タイルがはめ込まれたメキシコ製のミラーを取り付けた、洗面ボウルを受ける台は以前もらったケヤキの12センチ厚の板をチェーンソーでくりぬいた。ストーブを置く位置は入り口のすぐ左側。玄関床はテラコッタタイル、ストーブの背面は1.8メートルの高さまでカルチャードストーンを貼る。ストーブ部分の床は玄関の同じ流れでテラコッタの予定でいたが、ちょうど近くのホームセンターでオーストラリアのレンガが半額セールだったので、急遽そのレンガに変更した。
寸法が合わないところはタイルをカットしてはめ込んでいく。
薪ストーブの床部分は半額セールで仕入れたオーストラリアのレンガ
ログ壁と接する装飾壁のセトリング対処
ストーブの背面のカルチャードストーンの下地は、2×4材で枠を作りコンパネを打ち付けた。ここで問題となるのはログにどうやって固定するかだ。そのまま釘で打ち付ければセトリングを妨げ、隙間が出来たりログが歪んだりといった原因となる。留める方法はいろいろあるが、要は間仕切り壁の取り付け方法と同じである。

キットに含まれていたセトリング用の金具がもうないので、左の図のように金物屋やホームセンターで売っているツーバイフォー用の金具を加工して代用した。
キッチンの壁の下部も上記の方法で行い、上部は12ミリベニヤを直接壁に打ち付けた。この場合のセトリング対策は、ベニヤに丸鋸で数カ所スリットを入れる方法。さらにジグソーでスリットを釘の太さよりやや小さめにまで広げそこに釘打ちして壁に留めた。いずれの場合も、釘はスリットの一番上に打つことが肝心。
ストーブの装飾壁は上が開いているのでそのまま、キッチンの壁は天井部にセトリングスペースを取ってある。
セトリングについて気が付いたこと
木、特にログで建てられた家は木に特殊な加工をしてない限りは長年の間に縮み、落ち着くものだと思っていた。事実この家も7センチくらい縮んでいるのがわかる。外側に張り出したログには長いボルトが通っているのでセトリングして弛んだ分を締め直すのだが、ある日ボルトの座金が1センチほどログに食い込んでいた。雨の日がしばらく続いたのでログがふくらんだのである。他の箇所もみてみたが、弛んでいるはずのナットがちゃんと締まっていた。
それから以降は、乾いている日を基準にして座金とログの間を5ミリ位の空きをとってナットを緩めたままにしてある。このままではせっかくの通しボルトの意味がないので、強力なスプリングをワッシャー代わりに入れようと思っているが未だそのままになっている。

2001年8月既存のデッキを風除室とエントランスに改造。
キットに含まれるデッキは、出が3メートル幅が7メートル面積が21平米。入り口ドアの部分に9.9平米の風除室を設け、残りはエントランスにする。風除室の床はデッキ材に直接体育館などに使うアピトンという南洋材を打ち付けた。構造材はツーバイフォーのランバー材を使い、窓はアンダーセンのダブルハングウインドウをはめ込んだ。フィンランドとアメリカとのコラボレーションだが、どうにかうまく融合しているように私は思う。
キットに含まれるデッキ。雨や雪の日の出入りに苦労するので2×8ランバーコアの柱に2×6のランバーコアの梁をかける。
スタッドはすべて2×6。垂木は2×8で、野地板はキットの残りの内装用板材で張った。
エントランスの完成。いろいろと便利なスペースに生まれ変わった。
外壁はカルチャードストーンと自然石の外壁と煉瓦やタイルで少し重厚な雰囲気に仕上げた。
外壁のカルチャードストーンは内装で使った物の残り。足りない部分は自然石を利用して仕上げ、それでも足りない上の部分の壁はモルタルのコテ仕上げのまま。コンクリートで出来た独立基礎は、すべて自然石で囲み、モルタルで積みながら仕上げていった。入り口外の部分は、スペインの磁器で出来た床タイルでゆったりとした階段を2段作り、その横には、飾り窓の様に見える感じで煉瓦を積み上げディスプレーのコーナーを作った。ついでに近くのホームセンターで購入してきたポストのベースも煉瓦で積み、入り口との違和感を無くした。
ついでに裏口に食料庫を増築。
出が2メートル幅が約3.8メートル面積7.6平米の食料庫を増築した。食料庫の屋根はそのまま玄関方向に下屋として延長した。窓はアンダーセンの細長いオーニングを2つ。狭いスペースだが食料庫として十分な機能を果たす。母屋のドアは下屋に出られるように移動した。この下屋には灯油タンク、ボイラー、便漕、分別ゴミ置き場などがあり、雪の影響もなく雨にも濡れないのでとても重宝だ。独立基礎部分は煉瓦で囲い、玄関近くの独立基礎には外水道を付けた。
今はカルチャードブリックが流行っているが、色々なレンガタイルが流通している。その中でこの外壁に使用した名古屋モザイク工業(株)が扱っているインブリックは、吸水性のあるブリックと違い、撥水性がきわめて強いので外壁や水廻りにはちょうど良い。モルタル目地を詰めるときにもレンガは汚れず仕上がりが綺麗にいく。後から防水シーラーを塗布する手間も省ける。
ログ一段分落として仮デッキを作っておいた。玄関と同じ工法柱を立て垂木を取り付けていく。
外壁仕上げは名古屋モザイク工業のインブリックで後の2002年10月に仕上げた。
居間の延長でもあるデッキを南側に作る。
やはりデッキは日の当たる南側にあったほうがなにかと便利だ。母屋の基礎の関係で約2メートルの高さにデッキを作った。出が4メートル幅が8メートルのやや広いデッキだ。材料はカナディアンレッドシーダーの2×6を使用。デッキの下は、床を張ったので、雨の日は使えないが、色々な用途に使えるスペースとなった。ここからは南アルプスの手前の山が雑木林を介して望める。借りている畑も下の方に見えるのでとても便利なデッキだ。
デッキの下は木工をやったり地下に行く通路など使い道がいろいろ。
デッキにオーニングを設置。
2001年の夏はログの厚みが薄かったせいか、涼しいはずの家の中が太陽の熱気で暑くて寝られなかった。我が家にはクーラーは無い。そこで強い日射しや雨を防いでくれる、世界的に高い評価のあるドイツ・シュミッツ社のマルキルックス(代理店は新潟県のハナオカテント)という電動のオーニングを取り付けた。そのおかげで2002年の夏は外気の暑さはあるものの室内は木陰の雰囲気で快適そのもの。オープンデッキでの食事も楽しい。普段は1メートル位出して雨樋代わりに使用している。雨はオーニングの先端の樋から左右に分かれデッキの外へ落ちるようになっている。
最大に伸ばすと3メートルになるのだが、取り付けの高さが低いので先端は少し頭に当たる。
デッキの東南側にバーベキューコーナーを作る。
炭焼きの肉や魚が好きなので、知人に借りた海外の本を参考に、屋外で料理して食べられる場所を作った。正確な数は忘れたが3000個以上の赤煉瓦を積み上げたと思う。四隅にも煉瓦で柱を積み、その上にパーゴラを載せた。将来はうまくいけば巨峰の葡萄棚になる予定。床は玄関と同じスペインのタイル。バーベキューをセンターに、左右に釜戸(移動式の鋳物製)と焼き鳥のコーナーがある。餅つきと薫製、収穫祭にバーベキューと大活躍の野外調理場だ。
基礎はぐり石と生コンと鉄筋でしっかりと作った。
敷地に高低差があるのでパーゴラはデッキの床とほぼ同じ高さになった。
小さな燻製小屋を作る。
野外料理とともにスモークも好きなので薫製小屋を作ってみた。煉瓦や石鉄板等いろいろと考えたが、冷薫が主なので板材でもたぶん大丈夫と思い残った材料で制作した。まだチップを燻すストーブは取り付けていないが、とりあえず市販のスモークチップで燻製。ベーコンや生ハム、牡蠣、鶏の胸肉、時々いかくんも混じる。市販のソーセージやチーズなども以外といける。
デッキから見下ろせる位置にあるので煙の状態が何時でも確認できる。

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