最初の丸太小屋
仕事場の増築
かわいい倉庫
キットの角ログ
コテージ
20年後の角ログ
布基礎に初挑戦。ツーバイフォー工法の小さな倉庫
1996年春、以前から思っていた「雑木林の中に住みたい」という欲求に駆られ、原村から20キロ離れた山梨県境に近い富士見町の山中に土地を求めた。そこは赤松林だったが3年前にすべて伐採されており様々な実生の幼木が育っていた。周囲は栗をはじめ山桜、椎、沢胡桃、くぬぎ、木楢や朴、リョウブなどがあり、南アルプスの手前の山が望める標高810mの里山的な山林である。
幼木の移植
2001年から此処に住むつもりで、とりあえず住宅を建築する前に倉庫兼道具置き場を作ることにした。今は松の木の大きな切り株と背丈を越す薮だらけの土地だ。一気に更地にするのは重機を使えば簡単だが、栗や山紅葉、針桐や山椒、りょうぶや萩、山桜などの幼木がかなりあるので、整地をしながら大半は敷地の端に移植したり友人にあげたりした。
0.09立米タイプのバックホウ。10年前の中古でも78万円。安いのか高いのか分からないがその威力は絶大だ。
中古で買ったミニバックホウ(ユンボ)が大活躍
最初はレンタルを考えたが、母屋の建物の基礎も自分でやるつもりなので購入を決意。レンタルという時間制限も無いので何時でも必要なときに使えるし、重い物を吊り上げ移動もできる。最終的には、土建業者に頼んだりレンタルするより投入コストは安くなる。運転するには小型特殊免許が必要だが、自宅の敷地内での作業なので不要だ。操作は簡単。プロはいろいろな技を持っているらしいが、まだ真似するのは早い。とりあえず、2m幅しかない町道を自分の土地を削って3m幅の道路に拡張した。ハイド板が付いているので平らに均すのも楽だった。
太い赤松の根は自重が3tもあるユンボの後部が浮いてしまう程、深く力強く根を張っていた。
1997年春、運転にも慣れたところで整地作業開始
抜根作業は大小合わせ約30本。中には直径が60cm以上の太さのものが数本、その根はいまだに大地をしっかり掴んでおり、掘り起こしに苦労する。
抜根が終わって次にすることは建物の位置を決め、基礎の高さを決めることだ。レベルを出すのにはプロならトランジットで行うが、そんなものは無いので長さ60cmの水平器を2 メートルの棒に取り付けて、基礎の外側に打ち込んだ杭に印を付けていった。それを目安に板を取り付け、水糸を張れば測定器なしでも一人でレベルが出せる。
水平器一本でレベルを出した。小さな基礎なので杭や板はこんなものでも十分。要は水平が出せれば良いのだ。
整地に半年。初めての布基礎に着手
整地と基礎の穴掘りが終わったのが1997年4月も半ば、半年もかかってしまった。いよいよ基礎の開始だ。栗石を敷き詰めた上に生コン(捨てコン)を打ち、基礎の中心を墨出ししてベース筋を配筋する。水平レベルの水糸を基準に基礎の中心を地面に写す。
約50cm幅に栗石を20cm位の厚さに敷きつめ、その上に捨てコンを打った。生コン車のシュートが足りなかったので一輪車で生コンを運んだ。そして再度水平レベルの水糸を基準に、捨てコン上に今度は慎重に基礎中心の墨を打つ。でこぼこしてやりにくいが何とかなった。次は配筋だ。10 ミリの鉄筋を使用し、三列のベース筋を配置し真ん中の鉄筋に縦筋を結束線で結ぶ。倉庫なのでシングル配筋。 使った鉄筋は長さ5.5mのものが120本、切断作業は丸のこの刃を鉄鋼用の刃に交換して切断し、曲げるのは1m位のガス配管のパイプに鉄筋を入れで両端を挟んで曲げた。
フーチングの型枠は半端な材料で作った。高ささえ揃えば多少の巾のくるいはなんともない。
基礎のベースになる基礎をつくる
ベース筋を基準にして基礎の土台となる幅約45cm×高さ15cmのフーチングの型枠を適当な材料で作る。板の上下に角材を打ち付け並べていく。下は内側に45cmの鉄筋で所々支え、上側は角材で幅に合わせて止めていく。独立基礎の3カ所も50cm角に同様に作り、型枠周りに土を埋め戻して枠の支えとし、コーナー部分は開かないように三角に切ったベニアで上から補強し、生コンを打つ。
生コンを打ち水平に均した後、型枠の位置決めのため基礎の中心を墨だししておく。
基礎幅は15センチ、高さはコンパネ規格の180センチ
次の作業は布基礎の型枠である。高さも横幅もコンパネを基準にしたので面倒な加工がない。この型枠のコンパネは後で倉庫の壁下地と野地に利用することにする。
型枠作業はいたって単純だ。セパレーターという専用の左右がねじ切りされたボルトがあり、板ナットをはめ、コンパネに定位置に穴を開け(コンパネ1枚に6カ所位)そこに差して、フォーム体という金具で止めていく。(金物店にあるがホームセンターでも扱っているところもある。)このおかげで基礎幅は一定になる。セパレーターは基礎幅によって各種有り、今回は15cm用のものを使った。 フォーム体は単管パイプ(バタパイ)が留められるようになっており、 コンパネとバタパイの間にコンクリートを入れたときに膨らまないように縦に桟木を入れて、フォーム体のネジを締め付ければ個々の型枠を連結することが出来、壁面はまっすぐに揃う。後は生コンを入れた時、ばらけないようにしっかり固定するだけだ。
今回、生コンは4mの長さのシュートというパイプを横に半割したようなもので打った。落差が少ないので上手く生コンが流れなかったが一輪車よりずっと楽だ。こうして、6月には基礎工事が終わり、東京が40.5 度という猛暑の日に建築が始まった。
コンパネを縦に使い型枠を組んでいきバタパイとさん木で補強し完了。右の白いものがシューター4mの長さがある。
独立基礎の部分が少し膨らんでバンセンで急遽補強し、どうにか生コン打ちが終了。3日後コンパネを剥がす。コンクリートの臭いがまだ新しい。出来映えもなかなかいい。ちょっと型枠作りに苦労した地下倉庫の入口部分(写真右下)生コンもどうにか下までうまく入った。
10畳の倉庫に地下と下屋付きの5畳の薪置き場
土台は2×6をねかせ、ダブルにして据え付け、アンカーボルトに固定し、2×8で根太を取り付ける。その上にコンパネを張ってステージが完成する。小さい倉庫なのでここまでほぼ1日の作業だ。 後は、2×4でステージの上でスタッド(壁になる骨組み)を作って立ち上げる。これを東西南北の四面作り、順番に立ち上げて床に釘で固定し、角が直角になるように注意して頭を2×4で継ぐ。窓やドアの部分の開口は縦方向の力を考え補強しながら取り付け、建具の寸法を確認しながら注意深く作る。外壁材下地のコンパネの継がる位置に転び止めを打って骨組みの完成。東西にトラスを作り、2×8を3本合わせた棟木を下で加工し、ばらばらにしてから上で再度張り合わせて取り付ける。
床の根太を取り付ける。コンパネをはれば平らな作業場が確保できる。
スタッドを立ち上げて頭をつなぐ。ころび止めを入れればもう動かない。
けらば垂木は今回限りでもうやめようと誓う
垂木は2×6にした。棟木の加工部分に挟み込むようにしたので定寸に切って準備さえしておけば半日もかからない。問題はけらば垂木である。平らな所でまとめて作ったのはいいが、ともかく重くて一人では持ち上がらない。結局、ロープと滑車、さらには車のウィンチを利用して 引きずり上げ定位置に据えた。色々作業方法を考えるのも楽しみのひとつ。 次に長い方の屋根の独立基礎部分に三寸柱を立て軒桁を載せる。垂木が動かないように軒桁をノミで欠きこみ固定する。本来は軒桁をのせ てから垂木がけをするのだろうが、角度と寸法出しが面倒だったので逆の作業になった。この方が効率が良い。
妻壁は下で二分割して作り、上に上げて取り付ける。棟木も分割して上で張り合わせた。
垂木は下で加工し立てかけてておき上で引きずり上げながら順番に取り付けていった。
屋根の野地板や壁下地には基礎型枠を再利用
小屋組みが完成し、いよいよ8月。基礎の型枠に使ったコンパネ(ラーチ合板)に付いたコンクリートを落とし、屋根の野地板や外側の壁の下地として利 用する。綺麗な方を内側に向け張る。セパレーターの穴があったり剥がれたりしているところもあるが、構造的には なにも問題はない。次に屋根用のアスファルトルーフィングをタッカーで張り付けて、屋根材下地が出来る。炎天下の作業だったので、ルーフィングはグニャグニャになってしまい、黒いアスファルトもカットした面から溶けだしている。アスファルトルーフィングは寒いときは折り目が割れてしまうが暑いときもべとべとして困りものだ。
野地にルーフィングを張る。足場の関係もありルーフィングと屋根材は同時に張っていく。
こんなもんで「でーじょぶかぁ〜」の屋根材
屋根材は防虫効果が高いウエスタンレッドシーダー(テーパーのかかった手割りの米杉板・ヘビーシェイクまたはハンドシェイクと呼ばれている)で仕上げる。
地元の人や初めてみる人たちから「こんなんで大丈夫かぁ」とよく聞かれる。実際、今住んでいるログハウスで施工して十数年が経っているが何ともない。表面に苔が生えたり太陽の影響などで年々黒ずんで行くが、それ自体腐ることは滅多に無い。と言うか腐り易い部分は製品段階で除かれ、さらに施工するときににチェックしはねたり、その部分を除いたりしているためだ。プレーナー 掛けをしていない単に割っただけの板なので表面積が多く吸湿性も乾 燥も早い。雨が降ってもすぐには雨だれが落ちてこないし雨音もあまり響かない静かなそして何時までもたくましい自然素材の屋根材である。
私はこの屋根が大好きだ施工も簡単だし、雰囲気も良い。山にはこのウエスタンレッドシーダーの屋根が本当に良く似合う。
屋根材を並べる時の桟木を数本残しながら屋根の足場にして上っていく。
外壁は2×8と、土を混ぜたモルタル仕上げ
外壁仕上げは色々と迷うところだ。縦板張りやハーフログは以前使ったので今回の外壁仕上げの候補にはなかった。壁の途中まで自然石の石張りにしようと思ったが、コンパネの下地が弱いのでやめにした。残った2×8の材料で張ると壁が半分しか出来ない。そこで写真の様に2×8材を横に張り一枚分の間隔を開けた。その間に金網状のモルタルラスを張りモルタルで薄く下塗りをし、以前煙突のめがね石を作った時の残っていた漆喰やプラスター、そして色づけに、ここの土や墨汁や絵の具をモルタルに混ぜ込んで色を出し、カナゴテで波がうねるような感じでラフに仕上げをした。塗装をし外観が完成すると思いがけなくなかなかおもしろい仕上がりになった。内装はラーチ合板(針葉樹)で仕上げる。
1998年夏、かわいい倉庫の出来上がりだ。
八ヶ岳の良質の湧き水
久しぶりに聴くアブラゼミや夕方のヒグラシが郷愁を誘う。ここでの夏は初めてだ。今までは扇風機やクーラーも要らず、夏でも汗をかくことはあまりなかったが、標高が600m下がっただけで異常に蒸し暑い。 当然のことだが体が慣れるまでの我慢だ。
倉庫を作っているときも今も電気・水道がない。電気は当面電動工具を動かすだけなので1000Wの発電機で事足りる。中部電力に引き込みの申請を出しておいた。あとは水道だが、敷地の西斜面70m下方に湧水があり、そこを掘り下げて井戸を作り、ポンプで 汲み上げることにした。山の斜面と湧水している場所はここの土地を紹介してくれた人の所有地なので、借地として隣地全ての土地を貸してもらった。
上のポンプ小屋の基礎。1トン以上のタンクが載るので頑丈に作る。
1998年秋、井戸が完成。待望の水道が開通。
井戸を業者に掘ってもらう。浅井戸なら周辺地区の同意はいらない。堀方は至って簡単。ここは湧き水だったのでその場所を約3.5m掘り、直径高さ共1mのヒューム管を3本つなぎ入れ、直径30cm高さ50cmの管を底に置きそのまわりを石でふさぐ。オーバーフロー管をヒューム管の外側に底から立ち上げ川まで配管し排水する。ヒューム管の周囲1m位雨水が浸透しないように地中で防水し埋め戻す。あとは水が上がってくるのを待ち、オーバーフロー管から水が出るのを確認。
待ちに待った井戸の完成だ。後は動力ポンプを設置し電線もパイプと共に地中60cmの深さに埋め込んだ。高低差は約15m。長さはおよそ70m。上方にも給水ポンプ付きの受水槽を設け万一の事態に備えた。次はいよいよ母屋の建築だ。
山の斜面と道路横をユンボで掘り進み、業者が水道管と動力線と100V線を埋設する。
上のタンクと残った材料で作ったポンプ小屋。手洗い場も出来、これからは水が何時でも使える。

ツーバイフォー工法は良く出来た建築工法だと思う。材料も規格があるので、特に思いつきでやってしまう私みたいな者には設計も簡単だし、なんと言っても施工が楽だ。専用の金物類も豊富で、釘も専用の釘が5種類有り、長さで色が変わっているのでとてもシンプル&システマチックである。住むには構造計算などが必要だが、倉庫や小さな建物なら気軽に挑戦できる。工法にはルールがあるが、簡単なので一度覚えてしまえば、様々なところで応用が利く。ログも良いがツーバイもおもしろい。
Data:建築面積22.23平米(1階16.2平米・薪置き場:6.03平米)半地下:16.2平米/工期(水道設備工事含む):1996年4月〜1998年7月/工法:ツーバイフォー/材料:SPF/屋根材:ウエスタンレッドシダーヘビーシダーシェイク/建具:アンダーセンウインドほか/内装材:ラーチ合板、SPF/基礎:布基礎・独立基礎

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