最初の丸太小屋
仕事場の増築
かわいい倉庫
キットの角ログ
コテージ
20年後の角ログ
同じ敷地には住宅を2軒建てられない
母屋が来客を泊めるのには手狭なので当初ゲストハウスとして計画。設計を煮詰めるにしたがって将来母が老後をのんびり暮らせる様に、あるいは友人達5〜6人家族でも泊まれるようにと、設計が何度も変えられ現在のコテージに落ち着いた。断熱と開放感に重点を置いて平屋にし全て吹抜仕様にした。キッチンやバス・トイレもあるのでいわゆる一軒家である。だが、一つの敷地には台所や風呂トイレ付きの家は一軒しか建てられないという決まりがあるので、母屋の敷地を書類上分けて法律をクリアし、そこに建設することにした。
コテージ横の道から見える甲斐駒ヶ岳。左には鳳凰三山も眺められる。
建坪は約20坪、住み心地の良い平屋
今回も設計や申請など全て一人で行った。100平米以下なので建築士の免許は要らない。5.5間×3.5間でこじんまりとした約20坪の平屋である。諏訪地方事務所で敷地の可分・不可分の説明を受け図面を直し再度申請。建築確認が2003年2月におりる。母屋申請時に色々と覚えたのですんなりいったように思う。 必要書類:建築確認申請書類4部(正・副本・町控え・消防署)/公図の写し/工事届/建築概要書/町の指導表
2×6と独自のティンバーフレーム工法
富士見町の里山標高810m冬は寒い。東〜北側は小高い山と林に囲まれている。母屋の角ログでも寒いのでもう少し太いログにすれば良かったと時々思っているが、多分一人では持ち上がらなかったと思う。今回は2×6というツーバー材をスタッドにして壁の厚さを増やし断熱材も15cmの厚さの物を入れた。吹抜なので梁を見せるためフォーバイ材の4×10((89×235角)を使い、それを支える20cm角の米松の柱を主な箇所に使い梁との調和をはかった。床下は2×8、屋根垂木は2×10を使いそれぞれ断熱材もしっかり入れた。
家の基礎幅より80cm広げてマス目のように掘る。ここも地山が出てこないので栗石や砕石を余分に入れた。
本格的な2回目の基礎作り、まずは整地からフーチングまで。
今回は建築面積が20平米。先の母屋と比べると基礎の規模は半分以下。 下地に敷く栗石は20cm、フーチング(基礎を支える土台)の高さが15cm、基礎高が90cm。これでもかなりの土の量だ。3月始めから10日掛けてミニバックフォーで堀り、栗石と砂利を6立米入れて突き詰め下地を作った。今度のフーチングは母屋と同じ幅が60cmだが基礎の高さが低いので出来合のビックベースなどの鉄筋を利用した。2003年3月末にはフーチングの生コン入れが終わった。奥までシューターが届かないので圧送車での打ち込みで約5.8立米入った。次は型枠の制作と配筋の調整とアンカーボルトの配置だ。
フーチングの完成。生コン圧送車は手作業が伴うシューターに比べ楽で便利だ。
型枠はコンパネサイズで作業を簡略
4月、型枠を組みながらの配筋作業が始まる。基礎幅は15cm、配筋は基礎高が90cmなのでシングル配筋。排水や給水用の穴をボイド管やパイプを切って入れたり点検開口枠取付の作業が伴う。最初に外側の枠を正確な寸法に配置し、これを基準として丸セパで内枠を配置し細かな配筋作業をしながら固定する。 今回はコンパネをそのまま横に使う。カット作業が無いので簡単に高さが揃う。母屋の基礎で使った単管パイプやフォームタイをそのまま使用し、補強などに使う桟木は足りない分を建材屋から仕入れた。
型枠作りから2週間で生コン打ちが終了。残土はスロープ状にならし残りは下の駐車場に移す。
排水接続や水道配管工事と残土整理。
顔も服もバイブレータのはねで生コンだらけになったが、生コン打ちも無事 終了し、しっかりとした基礎が出来上がった。4月も後半、気温も高くなりガーデニングの季節になってきたので、型枠の片付けや大量の残土を片付け、家の前に石畳や枕木の階段を作り、道路側に芝生を貼る作業を行う。ついでにエレガンテシマという木を植木屋から購入して家の風除室の前に植えた。母屋が少しカッコが付いてきたように見える。
水道工事店に行き部材を仕入れてくる。直ぐに配管工事に移って作業を行っている最中に町議選の地元選出候補者が我が家のためにだけ選挙演説をしに来たので手を休めて聞いていた。雑誌ウッディライフの取材も重なり、春の連休も間近なので早く終わらせたいと思った。水道配管工事には埋め戻しまで3日ぐらい掛かった。下水処理には沈殿分離式簡易浄化槽を付け、トイレはくみ取りの1000リッターの便槽を埋めた。排水は100ミリの塩ビ管で雑排水と風呂の排水の2系統を母屋の配水管に繋ぐ。給水は20ミリの水道用塩ビ管と温水用塩ビ管を使用し途中に止水バルブを埋め、地中に入る部分は保温材を巻いた。地上部分は後から凍結防止帯を巻き保温材を被せる予定でいる。
土だらけの庭が徐々に変わっていく。残った土は一輪車で何十回も妻が下まで運んでくれた。
中庭を堀り配管類を埋める。給水・止水バルブは寒冷地様で水抜きの時に地下へ水を逃がすような構造になっている。
奥から来る太い塩ビ管が風呂場や洗面所の配管。手前の箱が簡易浄化槽で台所の排水が流入し、箱から出た塩ビ管と
風呂から来る塩ビ管が下の方で繋がり母屋の排水管に接続される。右の写真は便槽を埋めたところ。
基礎のレベル調整と基礎パッキン
素人だと基礎の天端レベルは一度では決まらない。一番高い部分を基準にモルタルで調整していく。低いところで3cm位あった。キッチンと風呂場と北側の部屋以外は床下の通風のために基礎パッキンを土台の下に挟み込むのだが、その部分も基礎パッキンの厚さを引いたレベルで調整していく。トランジットで確認するのだが、調整しては一々覗きに行かなくてはならない。手間が掛かるので基準点から土台に使用する2×6の板を縦に利用してレベルを乗せて水平出しをした。これなら一人で出来る。ゴールデンウイークが終わった後、防腐処理を施した2×6材をダブルにした土台を取り付けた。

床根太は2×8、床の下地はコンパネを再利用
5月中旬床根太を取り付ける。使用したのは2×8材。ダブルやトリプルの部分は壁の下になる部分で他はシングル使いになる。基礎に掛かる部分の転び止めは2×8、その他は後で行う電気配線や断熱材を入れるときに、以前床根太の穴開けや断熱材のカットなどで苦労したので、2×4を平面に使い上部だけの転び止めとした。床根太の上に床下地の合板を貼るのだが、基礎工事で使ったコンパネをきれいにして利用することにした。セパレーターの穴が空いたり少しコンクリートが付いたりしているが問題は無いと思う。内装工事になったら床下工事のため全て外さなければならないので、屋根が付いて雨の心配が無くなるまでは、仮止めの状態である。
床根太の配置は慎重に行う。金槌での釘打ちが大量にあるので腕が疲れる。
躯体は大工3〜4人で組み上げてもらう
本来なら全て自分で行うつもりだったが、今回は本業の仕事が暇な期間内にということと、もうすぐ梅雨入りということもあり、屋根までのフレームを大工さん達に依頼した。私は水道関連の設備の打ち合わせや図面通り当てはまらない部分などの指示や、細かい部分と梁材の加工などに専念した。5月29日に工事が始まり6月9日には屋根下地まで組み上がった。途中台風や雨があったが、ここまでで25人工、私一人では上がらない材料も多かったので、費用は掛かったが早く出来て、プロの仕事も拝見できたので良かったと思った。
2×6材が入り明日からの組み立てを待つ。床のコンパネはスタッドが建つ部分は開けてある。
日本建築の大工さん達だがツーバイ工法が多くなってきたので大分慣れたと言う。中電が電線カバーを取り付けた。
2日間でスタッドが終わり、梁の加工取付がはじまる。梁材は建材会社のユニックでスタッドの上にあげてもらう。
作業が早いので足場を急遽発注。隣の山梨県の業者が最安だったので連絡したら直ぐに営業が来て下見をしていった。
次の日の6月4日、足場材を積んだ4t車が到着し、半日かかって足場が付いた。
2003年6月9日、大工さん達の仕事が終わる
吹抜の平屋なので小屋裏がない。そのかわり各部屋や台所などの上に仕切り壁が必要になる。壁は台所と風呂場・洗面・トイレの間に1カ所、洋間と和室との間に1カ所、ホールは梁だけの空間である。垂木受けの屋根梁や棟木も4×10で統一した。妻壁と同じ構造の仕切り壁をホールの左右に取付て棟木を受けるようにした。足場が付いたので屋根下地(野地=針葉樹合板)を打ち付け直ぐにアスファルトルーフィングを貼った。天窓が3カ所有るのでこれも取り付けてもらった。外壁下地も針葉樹合板を打ち付けて防湿シートを貼ってもらい、窓の開口も開けてもらった。開口の方法にルーターを使用したのには驚いた。内側から角4箇所をドリルで開けてそれをガイドに外から一気にルーターでカットして開口するのである。丸鋸の垂直移動のカットは不正確で危険だからということである。破風と鼻隠しの板を取り付けてもらい。フレーム大工の仕事が終わった。
おかけさまで躯体が一気に組み上がり、これで雨の心配も無くなった。これからはまた一人での作業になる。
これから外壁、内装、建具、電気、水道など様々な工事がはじまる。システムバスは業者が行うことになった。
電気配線工事と並行して窓入れや内装工事
電気配線工事は台所に配電盤を付けるので各部屋への送電用のVA電線は全てここに集中する。今回は照明が多いのでスイッチ類も多かったが配線作業を一週間ぐらいで終えた。途中に窓が入荷したので取付ながらの作業になった。窓は原村のログハウスの時と同じアンダーセンウィンドウ。配線工事が終わりかけた日に朝からシステムバスの工事が始まった。2名の若者が来て夜8時までかかったがおかげで風呂場だけが完成した。残りの飾り梁を加工して取付、鉄工所に依頼して作ってもらったL型アングル(6ミリの厚さで280ミリの高さで75ミ角のアングルに13ミリの穴を6箇所開けたもの)を補強と飾りを兼ねて黒に塗装し梁の繋ぎやコーナー約90箇所にコーチボルトで留めた。
風呂場の内壁は断熱材を入れ合板で塞ぎさらに防湿シートで覆う。システムバスはパーツで持ってきた。左は155厚の断熱材
上は電灯とスイッチ類の配線図。コンセントは床下に配線したがこの図面にはそのルートは記していない。
配線コードは台所の壁に集中する。照明器具の下地を取付ながら配線していく。右は梁にL型アングルを付けたところ。
飾り梁はチェーンソーでアーチカットしてカンナで仕上げた。断熱材を入れたとこからパネリングしていく。
内装も順調に、7月末にはパネリングが完成する。
断熱材は2×6より15ミリ厚いので押し込みながらパネリングをした。床は防湿シートを受けにして落とし込んで留めていく。天井は100ミリの断熱材を追加して255ミリ厚にした。おかげで保温性はかなり高いように感じる。和室の梁を格天井風に仕上げてみたら和風感が増したように思う。まだ到る所が完成形ではないが、順番に手を加えていこうと思っている。
断熱材はあまり詰めすぎない方が良いようだがしっかり詰めた。この後防湿シートを貼っていく。
パネリングはパイン材のレッドウッド。腰まで縦貼り上部を横貼りにしてアクセントを付けた。
8〜10月は内外装と設備工事で大忙し。
床材はヤニつぼが少ないポンデロッサパイン。台所はテラコッタタイル、和室は沖縄畳にした。照明器具はすべて電球型電灯色の蛍光灯ランプを使用した。屋根は相変わらずウエスタンレッドシダー、外壁はオークションで見つけたラーチ材の下見貼りサイディングを貼った。外壁の塗装を終えた9月19日に足場が外され外装が完成。後はじっくりと細かい内装や設備などの取付を行う。ドアなどが付いたところで床下に潜って水回りの配管や接続作業を行い断熱材を入れて完成。10月の後半は入り口の階段やベランダの施工に専念する。11月11日に建物の完了検査が行われ、検査済みのシールが貼られた。
外壁塗装は妻が行ってくれた。キシラデコールのウォールナットとブラックを混ぜたもの窓枠はタンネングリーン。
玄関の柱は家の中の柱と同じ米松200角。階段やデッキはウェスタンレッドシダー2×6を使用した。
2003年11月ほぼ完成。
本職のグラフィックデザインをやりながらの建築だったが、現場が隣だったので殆どの作業がスムーズにいった。建築や設備機器などでわからないことがあれば自宅に戻り、ネットで検索し回答を得られた。ネットオークションも多用して、外壁材、金物、システムキッチン、洗面器、ミラー、ダイニングテーブルセット、ソファーベット、ドア、オーディオ機器などを落札した。ホームセンターや金物店にもよく行ったが、多数有るネットショップには品物の豊富さや価格などでは太刀打ちできないと感じた。さらに、家のデザインやアイデア、技術の参考になるサイトもあるのでこれもまた役に立った。
アプローチは砂利業者から買った蛇籠石と枕木の階段。デッキフェンスは森への広がりをイメージして作った。
昼から夕方そして夜の感じ。植栽はこれからで味気ない感じだが来春に始める予定。
明るい室内、コンパクトなキッチンとサニタリー
ほぼ完成した室内は、木の香りが充満している。壁や柱、床、天井は無塗装で、ドアや和室の梁や一部の棚は室内用自然塗料のウォールナット色で塗装した。オークションで落とした家具も配置され、照明が点くと雰囲気が変わる。昼は天窓から外光が入るので、晴れの日はもちろん曇りや雨の日でも明るい。夜は室内からも星空が望める。天窓の取付加工はシダーシェイクの屋根だと雨じまいなどで少し面倒だが、それだけの価値は十分あると感じた。
梁の存在感があるホール。梁を留めているL型アングルは飾りとしてもアクセントとなった。
天窓は網入りのフィックスタイプ。天井にはシーリングファンを取り付けた。
カーテンなどのファブリックはウイリアムモリス。知り合いが作ってくれたステンドグラスを柱の間に配置。
右ドアから入ると洋間の寝室、左ドアは和室。どちらの部屋にも天窓が付いている。
和室の梁は格組天井風にしてみた。壁は地元の稲藁をすき込んだ珪藻土で仕上げた。
和室の梁と、ホール梁のアーチカットの残りから作ったハンガー掛け。洋間は飾り板をつけた。
トイレ前の手洗い場は洗面ボールや蛇口、ステンドグラスをあしらった小さなミラーはすべてオークションで仕入れた。トイレは簡易水洗。棚を壁に埋め込んで小物や備品を入れてある。脱衣所の洗面や大きなミラーもオークションだ。風呂はクリナップ社のシステムバス。湿気対策と掃除がしやすいようにしたかったために導入した。設置は専門業者、窓などの加工は自分で行った。台所はIHヒーターや食洗機などがコンポートされたシステムキッチン。火を使わないようにしたかったので展示中古品をオークションで仕入れた。完成後はちょくちょく手を加えながら住みやすく楽しい感じで過ごせるように工夫しながら手を入れている。

Copyright(c) 2000-2018 Creative Design Office LETTER HOUSE(since1979) arrival media All Rights Reserved.