自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第98号》2016年4月6日発行
◆初めて曳いた御柱
八ヶ岳の里山は、春の訪れに小鳥たちが生き生きしてきました。コブシや桜草が花を咲かせ、もう少ししたら山桜も開花します。


  ◆里山でのいろいろな出来事

《初めて曳いた御柱》

長野に移住して30年目にして初めて御柱の柱を曳かせてもらいました。

この祭りには「小宮の御柱」というものも付随していて、それは地域ごとに切り出した木を曳く里曳き行事が6年ごとに行われる御柱祭の後の9月から10月にかけて各地で催されます。富士見町に来てからは前回の2010年と2004年に曳子として参加した想い出があります。

今回はその小宮の御柱とは参加人数も木の太さも、全ての面で規模が違いました。平安時代から続いているという伝統のある祭りなので地域の力の入れようも半端がありません。諏訪地区の6市町村の殆どの人達が参加執行するので、どこに行っても祭り一色の感じがします。

元々は自然現象などの信仰や畏怖の対象としての日本古来の神を祈願するということらしいのですが、その関連性や重要性を持ち合わせていない私には詳しいことはよくわかりませんでした。しかし、その気迫と人々のまとまりは充分に伝わってきました。


参加させていただいたのは、諏訪大社上社の本宮三之御柱です。参加といっても、ただひたすらに綱を曳くだけでしたが結構疲れました。

一番太いのが本宮一で周囲3.35m。私たちのは本宮三は2.8mです。長さは約17m、重さは約8トン、そこに25cm位の太さで長さが20mくらいの元綱が2本付き、そこから左右に各150m位の長さの引き綱が付けられます。それを私たち曳子が曳行します。元綱や柱は氏子が担当し、一つの柱におよそ1500人位が参加して約8.5キロをゆっくりと曳いていくのです。

これを「山出し」というそうです。山出しは3日間かかります。

初日は八ヶ岳実践農場下からスタートして「大曲の難所」を通過し、出発地点から8.5km下って終わります。

2日目はそこから茅野駅付近の木落し坂まで直行し難関の「木落し」を行い中央線をくぐり、少し先まで行き終わります。

3日目はそこから国道20号線を横断して中央道下を沿いながらくぐって宮川という河川まで行き、難関の「川越し」が行われます。そして御柱屋敷まで曳行して終わります。

私たちは初日は曳子が少ないので集めて欲しいということで初日のみに参加しました。当初は20名ぐらいの参加予定でしたが、ここの地域での参加が多すぎると言うことで10名ぐらいに絞られ最終的には私を含めて3名になり参加しました。

これには訳が有り、私以外は外人ということがネックだったようです。その外人達もかなりいい加減なところも有り、最初はただ参加するという意思表示をしただけの人もいたように思います。数日前までに保険を掛けるため氏名などの個人情報が欲しかったのですが、それにも抵抗が有ったのでしょうか、最終的にはドイツ人と今年日本に来たばかりのメキシコのエンジニアの2人の参加です。曳行途中で見学客に混じってカナダ人がいましたが、彼は登録されていないので綱を曳くことは出来ませんでした。

曳く速度は非常にゆっくりでしたが、綱を曳いているので足腰に疲労がたまってきます。途中、重い綱のつなぎ目に足をとられて一回転して転んでしまいましたが、受け身を体得していたので難なく過ごせました。お年寄りも多くいて、他にも転んでいる人もよく見かけました。

そんなこんなで、約8時間綱を曳いてきました。

子ども達の木遣り歌や、喇叭(ラッパ)隊が祭りを盛り上げました。御柱が通る街道脇では、店や会社などで様々なイベントや振る舞いが行われていました。家の中から見ている人、屋根に上って踊っている人、庭先で酒や寿司を曳子達に渡している人、県内外から来た観光客、テレビクルーや新聞社の取材の多さなど、ほんとうに祭り一色!でした。私たちも外人が居たので取材を受けました。

でも、この御柱祭はこれで終わりではなく、今度は「里曳き」が行われます。
1ヶ月後の5月3日から5日までのゴールデンウィーク中に開催です。

また、下社は、山出しが4月8日から10日まで、里曳きが5月14日から16日までの日程が組まれています。ここの「木落し」は迫力が違います。どう見ても危険な感じが伝わってきます。実際には画像でしか見たことが有りませんが、死者や怪我人ががよく出るそうです。

御柱祭はニュースで必ず放映されますので、興味の有る方は是非ご覧下さい。



【編集後記】

安いドローンを買いました。それでも高画質ムービーカメラもついています。試しに下の畑で飛ばしてみました。操作は慣れれば難しくはありません。しかし風に弱くすぐ流されます。電波は50m位はとどくのですが、あまり高度を上げると風に流されコントロールがきかなくなります。

林の上まで飛ばして南アルプスを写そうとしましたが、風に流され林の中に入り枯れ枝に引っかかってしまいました。下まで行くと楢の木の天辺にいました。高さは15mくらい。来年の間伐予定の木でしたが、急遽切り倒して回収しました。

写っていた動画を見ると、南アルプスはかろうじて写っていましたが、松の枝にぶつかり、そのまま楢の木に引っかかる様子も写っています。バッテリーが無くなるまでの6分の動画でしたが、最後の方にシジュウカラが2羽映り込んでいました。木まで切って、おまえ馬鹿なことやっているなぁと言われたみたいで、とても反省しています。
御柱がそろそろ動き出します。(八ヶ岳実践農場下)
子どもたちが木遣り唄を披露し祭りを盛り上げます。
外人二人は初めての御柱参加でしたがそれなりにハイテンションでした。
曳き子だらけで前も見えません。
メドデコに乗って左右に大きく振られながらも必死に耐えている様子が分かります。

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