自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第99号》2016年8月23日発行
◆カブトとクワガタ
◆整備間伐の後
◆新設BBQハウス
八ヶ岳の里山は、やっと梅雨明け宣言が出されましたが、曇りや急な大雨などが続き、夏の訪れを待っていた作物や昆虫や植物ちがどこか戸惑いを感じているように見えます


  ◆里山でのいろいろな出来事

《カブトとクワガタ》

クワガタは7月の初めから中頃までここでの第1回目のピークでした。2回目は8月中頃でした。

今までは、大きなものを見つければ体長を計ったり写真を撮ったりしていただけで、特に興味は無くそのまま放っていました。ここ数年は、コテージに来る子ども達や近所の子どものために採集してプレゼントするようになったので、この時期だけは興味が涌いています。

先日も、体長6.8cmもあるオスのミヤマクワガタ、7cm近いノコギリクワガタが相次いで採れ、次の日もメスのクワガタが3匹も採れたので、近所の子に知らせると大層喜んで持っていきました。

コテージの宿泊で一夜しかチャンスがない虫好きの子には、夕方から西斜面の上にライトトラップを仕掛けてあげるときもあります。蒸し暑いときで運が良ければ小さな虫かごが溢れるほどのカブトやクワガタが採れます。

7月の終わりで気候条件はあまり良くなかった日でしたが、夜9時過ぎには白い布にあたる光に誘われた大量の蛾や様々な虫たちに混じり、メスのミヤマクワガタが2匹カブトムシのやや小さなオスが1匹が近くの壁や椅子に張り付いていました。

昼の気温が30度を超えたリオ・オリンピックの開会式の夜は、蒸し暑く絶好のチャンス。大〜中くらいのミヤマクワガタのオスが2匹、メスが1匹採集出来たので2人の男の子は「スゴイ、信じられない」と言って喜んでいました。

ところで、「指標昆虫」があるということはご存じでしょうか?
文字から意味合いが想像できますが、自然環境の指標となる日本に生息している昆虫達です。その数は意外と少なく10種類だそうで、ここ富士見の里山で見られるのは、オオムラサキやゲンジボタルやハルゼミ(エゾハルゼミかもしれません)で、オニヤンマはいるのですが指標のトンボではないようです。他にも見かけるチャンスは少ない下の川にいるタガメやギフチョウなども観察されます。

私独断でのここの場所での指標昆虫を想定してみました。
まず一番はオオムラサキ、次ぎにミヤマクワガタ、オニヤンマ、カブトムシ、アキアカネ、ヒグラシセミ、ナナフシ、ゲンジボタルなどで、他にも毎年必ず出会えるコマダラカミキリやテントウムシやカメムシ、クスサンなどさまざまな昆虫が指標になっています。

今年はどういうわけかナナフシだけは現れませんでした。2年目に周辺で森林間伐という環境の撹乱があったせいなのかわかりませんが、こうしてだんだんと必ず出会えた昆虫が減っていくのでしょう。


《整備間伐の後》

2014年の夏から秋にかけて行われた森林整備のための間伐から2回目の夏です。

重機で荒れた山は、間伐で日当たりが良くなった分下草がよく生え、轍の跡も目立たなくなってきました。

その時に新たに作られた作業通路は、山肌を削って作られたので、その一部は道の半分ぐらいまで山側の土砂が崩れている所もあります。その大部分が赤や黄色の栄養が無い感じを受ける土です。

そんな土でも2年も経つと赤松や唐松などの小さな芽が多く生えているところがでてきました。雨によって栄養のある土が流れ込んで溜まったり落葉などが吹き溜ったところなのです。雑草の種も流れ込んできたのでしょうかそこには様々な雑草が目立ちます。

クマザサのように根を張りながら増えていく笹類は力強い植物です。崩れた法面の露出した根からでも葉を出しています。

他にも鳥の糞に混じって種がはこばれたと思われるイチイの幼木やヨウシュヤマゴボウや山椒、イヌサンショウや山漆などもあります。そして、伐採される前に落ちた種子から発芽したコナラや山栗、ホオノキなどの幼木も今年になって背も高くなり目立つようになってきました。

この小さな山の周囲には、これらの種子の源となる雑木林があるので、今後も新たに種子が入り込むことも考えられます。

私がここを知って約20年が経ちます。ここの雑木林が気に入って移住してきました。散歩する山道の緑のトンネル、新芽のきらきら光る葉、木陰の涼しさ等々、早く今までのような森に戻って欲しいのですが、こればっかりは直ぐには叶いません。この林の次世代の更新はもう20年ぐらい先のことです。


《新設BBQハウス》

コテージでお客さんがバーベキューを行う回数が年々増加してきて、中には雨でも強行することが多なってきたことと、20年以上使っていたワンタッチのテントもシートがくたびれてきて使用に差しつかえるようになってきたので、急遽BBQハウスをつくることになりました。

3m四方の切妻で、柱と屋根だけで壁は無いので材料費は少なくて済みます。この頃では材木を仕入れていたところより通販のホームセンターや通販の製材所の方が安いことに気がつき、基礎の砂利や生コン以外は全て通販で仕入れてみました。

一々金物店やホームセンターに行くこともないので時間がかなり節約できます。長い材料や重い物も自宅まで配送してくれるので、積下ろしの手間も労力もかなり少なくて済みました。

もうひとつ時間と労力の節約で幸運なことがありました。建てる場所の横にコナラと2本のウワミズサクラが電線側にあり、その枝は電線より遙か上にまで成長していて簡単には伐採できる状況では有りませんでした。

そこで上から順番に切ろうと、梯子を掛け木に登りロープを掛けながら吊し切りにしている内に、太い枝が隣の木に掛かり、その重みで電線の上に載ってしまいました。枝の元はかろうじてロープで幹につながっている状態です。

電力会社に連絡したら高所作業車で切るのでそのままにして待っていて下さいとのこと。次の日、作業車がきました。電線に架かっている部分だけしか切れないということ。私は冬場雪で枝がしなって電線に架かることなどいろいろと事情を説明し、伐採予定の3本の電線の上方の枝を全て切って貰いました。

後日、また木に登りロープで途中の幹と幹を結びその間を切る切り方で(これも上手く行わないと電線側に倒れ架かりますが)上から2、3回くらいに分けて切って無事伐採が終了しました。

自分ひとりで切れば、梯子を掛けたりロープを結んだり切った木をかたづけたりなんだりして、10日以上は掛かっていたのを、わずか3日間で伐採が完了したわけです。

BBQハウスの制作期間中は梅雨時でしたが、この伐採後すぐに重機で穴を掘りベタ基礎を作りその後約1ヶ月で建築し、周りの外灯照明も作り、どうにか夏のピーク前に完成しました。

屋根付きの常設だと、テントの設営や撤収の手間や、強風で飛ばされるのではないかと悩むことなく安心していられます。お客さん達もこのコーナーを見て急遽バーベキューに予定を切り替えることもあるので、急いで作くって良かったと思っています。

まだ私たちは一度もここを使用していませんが、秋になったら近くの人達とゆっくりBBQを楽しみたいと思っています。


【編集後記】

森林の「更新」を書いていて気がかりなことが思い出されました。長野に来て最初の頃に知り合った人達は別荘地だったこともあって年上の方々が多く、そして当然のことながら現在は殆どの方がリタイヤされ、中には定住される方もいらっしゃいますが、80才近く又はそれ以上になっての高速道路の運転は「疲れる、恐い」ということを感じているようで、徐々に別荘にくる回数が減るようになってきているようです。富士見でも知り合ったお年寄りは殆どが他界され、原村の別荘地でもこのような「更新」現象がはじまっています。
このことは避けられないことですが、そういう話を聞くことが増えてきたことは事実です。そしてそこの別荘等は順番に若い次世代に受け継がれていきます。ドイツの哲学者ニーチェは、樹木にとって最も大切なものは果実ではなく実際は種なのだと言い切っています。これも事実だと思います。
ノコギリクワガタ
ミヤマクワガタ
オオムラサキ
電線に架かる枝を落とす中電の高所作業車。
完成したBBQハウス。

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