自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第97号》2015年12月21日発行
◆私の思う自然エネルギー その1
◆猿が減ってきた
八ヶ岳の里山は、秋に逆戻りしたような気温になったり雪が降ったりで、冬がなかなか安定しませんが、先日の雨で、ここから見られる鳳凰三山や甲斐駒ヶ岳、散歩で見る八ヶ岳がようやく白くなってきました。


  ◆いろいろな里山の出来事

《私の思う自然エネルギー その1》

子どもの頃、タライに水を張って太陽にあてておき、なまぬるいお湯にして水浴びをした覚えがある人はいるとおもう。このようなことは私の周りでは普通に行われていた。これは太陽の赤外線を熱にした自然エネルギー利用ですね。

今から約40年前、太陽熱で本格的に温水を作る動きがはじまりました。省エネや省資源が謳われたいわゆるオイルショックの時です。1976年にはすでに太陽熱温水器が製造販売されていて、我家にも1980年には仕事の関係で某社のゆワイターが設置してあったことをみると一番成長した時期だったのではないかと思います。当時はその趣旨が地球環境の観点では無く経済からの観点が主流のようでした。謳い文句も「太陽からは請求書が来ない!」とか業者は言っていました。同じエコでもエコロジーでは無くエコノミーの時代と感じています。

太陽の光を集熱パネルで集めた太陽熱で水をお湯にする装置なので構造はとてもシンプル。水道の圧力で水を溜めたり出したりするので電気動力もいらず、この装置で一家4人が使う風呂のお湯の大半はまかなえたことを覚えていて、夏などは熱くて水道水でうすめて使っていました。

この装置は、身近にあるものでも手作りされています。ペットボトルをリユースして作られた物や、ゴムホースを連ねたもの、水道に使われる塩ビ管を工夫して作った物など世界中の人達が個人利用で工夫して作っています。我が家のように冬場凍結するところでは年間を通して利用するということは不向きかもしれません。

自然エネルギーは、多くの方がご存じのように、再生可能エネルギーです。
前述の例は太陽光の熱を水に移し熱として利用します。このように、「熱から熱」へという自然のエネルギー利用はそのものがもっているエネルギーを生かすことが基本で有るように感じています。

例えば今流行の太陽光発電は、「光を電気」にしています。エネルギーは複雑な装置を使い変換するとそのエネルギーの持つ性能や効率が落ちます。太陽光発電の場合も研究が進んでいてもまだ効率は低く、さらに施工工事や付帯装置も多く、耐用年数も然程でもなく、定期的な保守管理をしなければ維持できません。そして、数十年後は大量のパネルの廃棄処理が問題になることでしょう。

個人で行うのは自己選択で特別な問題が無いように思えますが、昨今のメガソーラは疑問です。この地域でもそのことが話題になっています。お隣の北杜市もソーラーだらけになってきました。富士見町では、ここの近く、それも八ヶ岳の中腹なのでさらに問題が大きくなっています。

太陽光パネルを設置するために28haもある森林の木を切り開き、造成をするというのですから問題が無いわけがありません。さらに、自然エネルギーである樹木(二酸化炭素を蓄積しさらにバイオマスにもなる)を、大量に電気を使って製品化され、寿命も長くはなく、効率の低い太陽光パネルを設置するというのですから、本末転倒です。

県の条例で20ha以上の開発は環境アセスメント(環境影響評価)が必要だといっていますが、北杜市の例では開発面積を分断して20ha以下にして免れる業者もいるそうですので、これもあてにはなりません。さらに、スクリーニング手続き(環境影響評価をするかどうかを決める手続き)で、環境アセスメントを出さなくとも良いと決められることもあるので、住民運動で意見しても無視される結果になることもあり得ます。

このような開発が今後も続くのか判りませんが、業者はお金だけ儲ければよいということから事業が始まるので、地球温暖化対策などと称して様々な手段で開発実現までもっていくのは常套手段です。

話がそれましたが、自然エネルギーは「熱から熱」「光から光」「風から風」など他にもありますが、さらに植物などのバイオマスも含め、それらを自分が住んでいるところの環境に合わせて日々の生活の中に取り込んでいくのが、自然エネルギーを利用することでの環境への配慮ではないかと思います。
(続く)



《猿が減ってきた》

私たちがここに移住するころから猿が出始めたが、数年もすると猿の集団が何組も現れるようになり農作物の被害も毎年増え始めた。国道20号線沿線に蔦木という集落がある。我が家から500〜800m位のところ。ここもご多分に漏れず猿の農作物の被害に悩まされているところです。

そこで10年ぐらい前に高校生が中心になって「サル・柿合戦プロジェクト」を開始しました。簡単に言うと、干し柿用の「甲州丸」栽培が盛んなのですが、住民が高齢化したため柿もぎが出来ずそのまま木に残っているのでそれを狙って猿たちが山から下りてくる。これを断ち切れば猿の他への農作物被害が食い止められるので、柿を残さないようにしてもらうため、木の剪定をし高齢者が取りやすいようにするというプロジェクト。その干し柿は地元の道の駅で販売された。

ほかにも集落全体を電気柵で取り囲んだりして対策をし、被害は年々減ったという。しかし、その分猿たちは上の私たちの住んでいるとこまで足を伸ばした。そこでも電気柵で囲むようになり、冬には害獣駆除でハンターが見回っていた。年々減ってきた様にも見えたが、まだ年に数回は、私たちの家庭菜園も犠牲になる。

富士見町では猿が3群れ以上いるとしているが、私が見る限りここだけでも3群れ以上いるので、実際にはもっと群れはいるのではないかと思う。

今年は不思議な年で、猿の出没時期でも十数頭の群れを見かけたくらいで、今までのような50?100頭の群れは見かけなかった。役場からも猿を見たら知らせて欲しいと言う通達があったが、数回連絡したぐらいで秋から以降一度も見ない。もちろん近くに有る大好きなくるみや栗や柿も手を付けに来ない。

天候が良かったので山に食べ物が豊富にあったかもしれないが、それでも一度覚えた美味しい場所(畑の作物)は忘れられないはずである。

それとも、昨年行われた間伐で鹿や猿の隠れる場所が少なくなったという成果かもしれないが、鹿は今まで通りよく見る。毎年冬場にも猿はよく見かけたが、今期はどうなるか、心配ながらも観察してみたい。


【編集後記】

人生長く(64年目)やっていると古い物がたまってくる。実家の横に仕事用に作った倉庫にも印刷物やディスプレイ品など多くの荷物があったが殆ど処分した。綺麗さっぱりしていたところ先日実家に帰ったら、段ボールがめいっぱい積まれていた。弟たちの荷物だった。定年後に家を新築したので不要な物が出たのだろう。私は物をなかなか捨てる気分になれないので理解できる行為だ。しかしこれから人生も後半ということを自覚して少しずつ断捨離をしていかなければと思い出した。仕事や趣味の物も多いので綺麗さっぱりとはいかないが、それ以外の物はコツコツと整理しながらやっていきたいと思っている。

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