自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第17号》2006年3月22日発行
◆ いなかのSOHO(素人が建てるログハウス 基礎の始まり)
◆ 今週の話題(スズメバチの巣とヤマガラ)
◆いなかのSOHO

前号からの続き「素人が建てるログハウス」です。

  ●基礎のはじまり

前回お話しした諸々の申請が下りてから、いよいよ基礎の工事の始まり。当初の予定していた日程とはだいぶずれましたが5月も終わる頃、基礎工事の業者と現地で最終の打ち合わせが始まりました。ここでは新緑のスタート時期で、心地よいけれど少し寒く感じる風にあたりながら現地での打ち合わせです。

実際の20メートルの自然保護協定に定められたセットバックラインを確認します。図面では道路から21メートルの所にセットバックを取りましたがそこはやや窪んでいて、以前もお話ししました、水が流れた跡があります。話し合いの結果、そこを避けるため更に2メートルバックすることになりました。そして隣地境界のセットバック5メートル以上あることを確認したあとまず、敷地の図面と建物の配置図と設計士の行った建物のランドポイントを目安に大雑把な仮の縄張りが行われました。

そして、基準ポイントが決まると、さすがプロだけあって仕事は速く、作業員が3人で次々と杭がポイントに打たれていきます。その杭には基準点からどんどんと水平に板が打たれて行きます。もう2ミリ上とかもう5ミリ少し下などの指示が飛び交います。1時間もしない内に実際に建てられる家の形より外側に数メートル大きく板が張り巡らされました。

この水平に打たれた板が基礎の天端の基準になります。張り巡らされた板に囲われた部分はかなり大きな面積に見えます。高低差はというと、約1.5メートルあります。


  ●いきなりの変更

以前凍結深度のお話をしました。原村では当時0.8メートルです。従って高低差が1.5メートルあると言うことは、基礎の高さは合計で最低2.3メートル以上なければいけません。素人考えでは、高低差に応じて基礎の高さを深くしていけば良いと思いますが、実際に作業する側にとってはかなり面倒なことのようです。

段差があること、いちいちレベルを合わせなければならないことなどで、作業効率がかなり低下します。と言うことは作業時間が長くなり人件費がかさみ、基礎工賃が高くなります。

基礎の下に岩盤が有ったり大きな岩があれば話は別ですが、この場合、一番良い方法は、一気に基礎部分を同じレベルで下り下げることで最大のコストパフォーマンスが得られます。したがって今回の基礎は、最初の予定では高低差に沿った基礎だったのが総堀りの基礎に現地で変更してしまいました。

生コンの量や鉄筋が増えますが、基礎工事が均一の行程で統一されるので、作業や部材に無駄がありません。作業性と人件費を考えると生コンの量が増えても十分に賄えます。唯一問題があるとすれば、残土処理です。今回は、北側の低い部分を埋め立てることで解決しました。いわゆる盛土になります。

暖かい地方の業者は盛土した表面を表土としますが、ここのような厳寒地では、盛土部分は凍結深度の深さには含まれません。いくら天圧してもその部分は冬必ず凍るからです。自然はやはり正直です。


  ●立木について

この土地は別荘地ですが、以前は作業林道が通っていたところです。したがって立木も少なく、実際に伐採するのは7本です。その中にまだ若い木が2本有りました。7メートルくらいの唐松と、5メートルくらいの白樺です。

このくらいの大きさなら移植は出来るというので唐松を北側に、白樺を南の入り口付近に移植してもらうことにしました。

基礎ギリギリのところに、太い形の良い白樺がありました。大きすぎて移動は困難です。基礎工事の人たちは、作業のじゃまになるので切ったらどうかと主張しました。確かにじゃまです。しかし、切るのは一瞬ですが、この大きさになるに30〜40年は掛かったはずです。根は工事で傷むかも知れませんが、なんとか工事は出来そうだというので無理を言って残したままで工事をしてもらうようにしました。

後の5本の木は基礎の中にあります。40年くらいの唐松ですがやはり移動は困難です。伐採するしかありません。切る木と移動する木に目印を付け、打ち合わせが終わりました。実際の作業は数週間後になるということです。

基礎の完成予定は7月初頃。ログの搬入は7月後半。どうやら今回は夏休みに間に合いそうです。
(つづく)


◆ 今週の話題《スズメバチの巣とヤマガラ》

今では都会の方が被害が多くなってきたキイロスズメバチ。公園の木や民家にも巣を作り出したようです。我が家にも5年前から、巣を作り始めました。山には作りやすい場所は多くありますが、もっと簡単で安全なところは人工的に作られた軒下です。雨も陽もあたらず、巣も荒らされないので、スズメバチにとっては好都合な場所です。

倉庫に5年前から巣が作られはじめました。最初の年は巣作りをおもしろがって見ていました。気が付いたときには野球ボールぐらいでしたが、秋には40センチぐらいの大きさになりました。

時々、巣の下に幼虫や羽化したばかりのスズメバチが落ちてくるときがあります。するとすぐにそれを追いかけてスズメバチが飛び降りてきます。何をするかと思えば、その落ちた幼虫をくわえてまた巣に持っていこうとしています。上手くいかない時は数回のトライで終わり、そのうち諦めて飛び去り二度と見向きもしません。

地上から5メートルくらいの所にあるのでよほどのことが無い限り危害はありませんが、上空をスズメバチが飛び交うのはあまり良い気持ちはしません。退治するつもりもないので、冬もそのままにしておきました。次の年、巣は放棄されています。もうスズメバチは来ません。

春になりました。すると、どうでしょう。こんどはヤマガラが、その巣を元にして自らの巣を増築しだしました。こういう利用方法もあるんだと、感心することしきり。ここなら安全で、ヘビも入る余地がありません。数週間後ヤマガラのヒナの鳴き声がしてきました。スズメバチの巣で育ったヤマガラは今どこにいるのでしょうか。


【編集後記】

我が家の廻りに別荘が数軒有ります。冬は何か無ければ滅多に来荘しません。この3月の
時期になると畑や庭の準備のために来荘します。年末からは直接合うことがないので、お会いした時の挨拶が「今年も宜しくお願いします。」です。傍から見ればかなり変な挨拶ですが、このような年始の挨拶で会話がはじまります。別荘の年度初めといったところです
設計者とログハウスのスタッフと基礎工事業者。
草も大分茂っていたので遣り方の杭と水貫(横の板)の間を草刈りをしていた。

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