自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第62号》2009年5月10日発行
◆いろいろな里山の出来事(春の山菜)
◆田舎暮らしと害獣駆除-2
◆今年は山桜が今まで以上に花を多く付けました。連休後半に十分すぎるほど雨が降ったので、草が一気に伸びました。もうそろそろ草刈りの時期です。


  ◆いろいろな里山の出来事

《春の山菜》


今年は山菜が良く育ち、堪能しています。
フキノトウはフキ味噌。この時期はキャラブキで食べています。山椒は香りが抜群の山椒味噌で。

いつもなら山ほど採れるタラの芽は、一足遅く全部採られてしまいました。どうやら山菜採りのルールを知らない人がこの山に入ったようです。それでもめげません。私だけのタラの芽の場所が有るのでそこからちょっと頂きました。

コシアブラも途中の道で丁度良い具合に出ていました。これは少ないので一握りほどにしました。ここも誰も知りません。

山ウドは庭にも有るので、天ぷらが食べたいと言えば直ぐに手に入ります。ワラビも敷地の斜面に良く出てますので、これも容易く手に入ります。三つ葉やアサツキは庭に大量に出るのでこの時期は不自由しません。

他にもウルイ、ハリギリ、ヤブカンゾウ、ノビルなどもありますがこれらは、気が向いたら採りに行くくらいです。

竹の子は我が家には出ないので、近所の家から頂きました。直ぐ近くに竹林があるのですが有刺鉄線で囲われています。持ち主が時々持ってきてくれますが、成長しすぎて食べるところはありません。出始めの頭が数センチ出た頃が一番美味しいということが分からないのでしょうか。もったいないことです。

というわけで、今の時期は山菜を少しずつ楽しみながら堪能しています。



   ◆田舎暮らしと害獣駆除(その2)

前回お伝えしました、罠にかかった子鹿のことから考え「シカの食害による植生への影響」の続きです。

その前に、この子鹿、いなくなったことをお伝えしましたが罠が外れたのでしょうか、足を引きずりながらも元気良く歩いている姿を目撃した人がいるという噂です。この件はこれで終わり、深くは追求しません。

さて、その翌々日。ECOJAPANからいつも購読しているメールが届きました。内容的には今回の件と繋がる内容なので、参考にしながら生物の多様性の見地からこのことを少し記述したいと思います。

パーム油は皆さんご存じだと思います。植物由来の油では世界で一番生産されているものです。例えば揚げ物油やココアバターの原料として、ヤシの実洗剤とか工業用の可塑剤やバイオ燃料など、日常でも加工食品の9割以上に多岐に渡り使用されていると言います。私にはあまり馴染みが無いのですがこの数字を見ると単に気が付いていないだけのようです。

パーム油の原料はアブラヤシです。アブラヤシは何処で作られているかというと、赤道に近い熱帯雨林地方で主に栽培されています。原料生産国は、主にマレーシアやインドネシアで9割近くが作られ、他はパプアニューギニアやコロンビアなどです。生産量もこの40年間で20倍にもふくれあがったと言います。

そうなると市場経済原理で、需要拡大のためアブラヤシの栽培面積が拡大していきます。

元々アブラヤシは西アフリカが原産地で、ここでは外来種です。熱帯雨林の太陽と雨量のもとで育つため、生産性は大豆の10倍と言われています。安価で手にはいるため企業は飛びつき需要は拡大するばかりです。

そのためその地域では需要があり生産性が良いということで、環境破壊がわかっていながら、熱帯雨林がどんどんと切り開かれ、アブラヤシ農園に替わっていきました。

そこで何が起きたでしょうか。

ボルネオ島では、かつては熱帯雨林の奥深くで生息していたボルネオゾウが開発のため行き場を失い、人家の近くに現れるようになりました。そして害獣として駆除されたり罠にかかって命を落とすといった事が頻発しているそうです。また、ゾウがアブラヤシを食べるので、害獣として駆除されると言います。

すなわち、在来種であるボルネオゾウやオランウータンの生息域が脅かされ、人間の勝手で生物多様性減少の危機が進行しているということになります。

関係企業はWWF(世界自然保護基金)なども参加して「持続可能なパーム油」としてさまざまな行動を行なっているようですが、その行為はまるでマッチポンプです。動物保護団体や、自然を元に戻そうの類の団体も加わり、トラストなども始まっているようですが、絶滅寸前で動き出しても話題にはなりますが手遅れです。アブラヤシ農園を全て元あった熱帯雨林の原生林に戻すのならまだ良いのですが、人間は、やはり身勝手だとつくづく思います。

ここの里山での害獣駆除も、根元は同じ所に行き着きます。

北海道で蝦夷鹿が明治の時代に絶滅の危機に遭いました。食肉用として乱獲され1879年冬、大雪により餌が食べられず大量の鹿が死滅して激減したためです。その後、100余年経った頃から急増し、今では農作物の被害や交通事故など社会問題になっています。鹿の生息地に畑を作ったり道路で分断すれば鹿ならずも、野生動物が出没するのは当然で、それを問題視すること自体身勝手と言うほか有りません。

さらに、長野県の場合も頭数は推定数です。本当にどのくらいが適当頭数なのか、どのくらい増加しているのかさえも把握できていない状態で、民家近くまで出没するから駆除するとはなんとも乱暴な理論で非科学的です。このことは、サルや鹿に限らず野生動物全てに言えることです。

増えてしまったシカやサルを駆除(捕殺)するという排除の理論だけで問題が解決するような単純なことではないと思います。その原因は人間の活動が由来していること、さらにはそういう結果を生んだ人間の自然への考え方や経済活動中心の自然破壊などの反省と徹底した調査と対応策を考えないことには、野生動物との共生は実現できません。

山も森もそして海も、この地球は人間だけのものではありません。近年のような経済効率一辺倒で人間が決して創ることが出来ない自然の営みを人間だけのもののように考え破壊しまくってきた結果、野生動物の増加やそれに伴う全国の森林帯の植生の異変などに現れてきているのは現実を見ても明ら
かです。

しかしながら行政が行う自然生態系の保護や回復といっても、稀少動植物や絶滅のおそれがある動植物ばかり予算をかけて対策を講じている様に思えます。元々希少動植物にしてしまったのもシカやサルなどの頭数が増加したのも、政策の失敗から来ています。そしてそれに伴ってきた様々な利権関係も問われなければなりません。今度はさんざん壊してきた自然の回復までもが公共事業になり始めています。人間は、やはり身勝手だとつくづく思います。


【編集後記】

例のごとく、今年もキセキレイがコテージの明かり採りの窓枠内に巣を作っています。一回目は巣が落ちて、せっかく生んだ卵も壊れてしまいました。今度は隣の窓に移動して巣をかけましたが、昨年のようにまたスズメがうろうろしています。ヤマガラやシジュウカラは半開放の風除部屋に毎日出入りしています。たぶん巣材を集めているのだと思いますが、時々出られなくなり中で飛び回っています。みんな忙しそうに動き出しました。

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