自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第61号》2009年3月29日発行
◆いろいろな里山の出来事(椎茸のホダ木の移動)
◆田舎暮らしと害獣駆除
◆春になったり冬に戻ったりで、忙しい気候ですが木々や草花は着実に新芽を出し始め、カエルやトカゲも出てきました。こうなると寒い日はちょっと嫌になります。


  ◆続編-いろいろな里山の出来事

《椎茸のホダ木の移動》

今年から、我が家の東側にあるヒノキ林をきのこのホダ木置き場用に借りられることになりました。林の広さは約500坪です。

今までも林の手前の部分を借りていて、愛犬たちのための遊び場として、草刈りや枝などの掃除を毎年していました。

今回借りるのは、その奥の手入れが成されていない場所で、夏は木漏れ日がはいり、適度な湿気があり、尚かつ水はけの良い暖斜面という、きのこ栽培の適地ともいうべき場所です。

今までホダ木を置いてある場所は、西斜面の広葉樹の林で、木樹の条件は悪くは無いのですが、陽当たりがよいのと、風当たりが強いので木が乾燥してしまい、きのこにとっては発生するのにあまり良い条件ではありません。発生率は低いのは確かですが、その分ホダ木を多くしていたので、我が家で消費するぐらいの十分な収量はありました。

一般的な発生だったらホダ木は10本くらいで十分だと思いますがいまはそのため50本近くあります。というわけでヒノキ林の整備をこの春始めました。あまり奥だと、採りに行くのがめんどうなので手前からホダ木を置くことになりました。

4〜5年前に枝打ちされた枯れ枝を集め、隣の林との堺にまとめていきます。そして枯れた下草を、この時期にはそぐわない草刈り機で刈り取り、これもまとめて境に積んでいきます。余分なものがなくなり、歩きやすくすっきりしました。

工事用のバタパイのパイプを支柱にします。長さが約1.8m。地面は軟らかいので難なく打ち込めます。取りあえずは3.6メートル間隔で3本打ち込み、4mのパイプ2本を横に渡し、クランプという足場用の部品で留めていきます。

これで完成。簡単です。今までは、支柱や横木は雑木で作っていました。しかし2年もすると腐ってしまい、ホダ木ごと崩れることがしょっちゅうでしたが、今回からはもうすこし寿命が延びそうです。

ホダ木の直径は10〜15センチなので、60本は立てかけることが出来ます。今年は椎茸のホダ木を10本作りました。いままでのダメ分を差し引いても余裕で置けると思います。

とそんな時、その様子を見たのか、近所の別荘の人が、椎茸を栽培したいので置いて欲しいと言ってきました。もちろん快諾です。ちょうど余った楢の木があったので、次の日そのご夫婦は、早速農協で買ってきた椎茸の菌駒をで打ち込み、新きのこ置き場で仮置きすることになりました。自分で打った菌から立派な椎茸が出るのはとてもうれしいことです。

今年我が家では、他にナメコを20本、ヒラタケを20本作り、ここの場所で栽培することにしました。いままでのナメコは30本以上ありますがやはり収量が減ってきました。ヒラタケは数個という発生なのでほぼ全滅に近い状態です。

今年の秋に期待をかけて、この春もう少し、きのこ林を整備するつもりです。



   ◆田舎暮らしと害獣駆除

先日3月28日、妻が朝の犬の散歩から帰ってきて、
「大変だ、子鹿が何かに絡まって居る!」と慌てています。
かわいそうだから逃がしてきてくれと言うので、まず状況を聞きました。

場所は、我が家に来る道の途中。道から数メートル上の山の斜面。何かに足が絡まっているがちゃんと立って動き回っている。そこはみんな知っている鹿道の入口。

私は、害獣駆除の罠に掛かったと思いました。そこは、私が毎年草刈りをしている場所で、蔓や低い木などをすべて昨年の秋にとってしまったので、蔓などに絡まったと言うことはあり得ません。ちょっとした道具をもってさっそく軽トラで行ってみました。

居ました。道路から2メートルくらい上った斜面でこちらを見ながら立ったまま動きません。逃げようとしてもがいた様で、下の道には小石や土が落ちています。

ゆっくり鹿の前を通り過ぎ、車を100メートルくらい先に停めました。離れたところから斜面を上り、そーっと鹿に近づいていきます。私が近づくのを気が付いたようで、急に逃げようと暴れ始めました。

遠目ですがよく見ると、後の右足にワイヤーが掛かっています。

更に近づくと、鹿は転んだり、ジャンプしたり大騒ぎです。このままでは足がちぎれてしまうと思い数メートル手前で立ったまま静観していました。

暫くすると、鹿の興奮も納まり、立ってこちらを凝視しています。ワイヤーはかなり食い込んでいて痛々しい限りです。

ワイヤーは6ミリ前後でかなり太く切ることも出来ません。外そうとワイヤーの元を探るとそこには罠を仕掛けた者の詳細プレートが付いていました。やはり害獣駆除の罠です。県と町からの許可を受けたもので、これを外せば器物損壊になります。

鹿に別れを告げ、家に戻り状況を妻に話し、役場に電話するように伝えました。妻は捕獲の方法で抗議をしていました。朝食が喉を通りません。夕方、散歩でその道を通ると、もうそこには子鹿はいませんでした。

その夜、シカの食害による植生への影響を調べながら考えてみました。この富士見町近辺では入笠山の高山植物の植生への影響が大きく、とりあえず防御柵で対応している。里山では農作物への食害や踏み込みに問題があるという。
全国的にも特に高山植物など鹿の食害で影響を受けている地域はたしかに多い。そして深刻な問題になっている。

色々調べているといろいろな疑問も出てきました。サルの場合もそうだったが、頭数が増え害獣指定になってしまうのは何故だろうか。

ここ里山でもお互いの生活領域が近年急に交差してきたことでも窺えます。手入れを怠った林や桑畑、休耕の畑、農作物の放置なども彼らを引き寄せた一因だとも考えられます。

山に食べ物が無くなれば当然移動して高山植物類までも食べます。里山の畑も実のなる頃にはもちろん植えたばかりの野菜などの新芽も食べられてしまいます。
ここでも野生動物をかなり見かけるようになったということは野生動物が本来暮らしていた生息環境が以前より違ってきたのは明らかです。

その原因は何だったのか。私は、頭数が増えたのも、高山植物を食べるようになったのも、生息地域が移動するのも、戦後の無計画な植林から始まり造成開発からいまの地球温暖化現象まで、ほとんど人間の経済活動がもたらしたことで自然が乱れ、「その結果…」と考えて間違いはないと確信しましたが、この続きは又後日。


【編集後記】

フクロウが夜な夜な鳴いています。前の山が皆伐されたので心配でしたが、フクロウは大丈夫のようです。後はノスリがどうなるか。今度は何処に巣をかけるのでしょうか。下の川でこのごろ良く見かけるので巣はこの近所には間違いないのですがもう少し暖かくなってから探しに行こうと思っています。
家の道をはさんで東側にある檜林の一画にシイタケのホダ木を置いた。
数年に一度新しく追加するシイタケのホダ木。
足に罠のワイヤーが絡まり動きが取れない子鹿。

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