自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第47号》2007年10月15日発行
◆キノコシーズンの到来
◆本当にあった怖い話
◆今年の秋はやや遅れているように感じます。昨年はこの時期落ち葉が多く掃除に明け暮れていましたが、ことしはまだまだという感じです。紅葉のピークはこの感じですと来月になりそうです。



  ◆キノコシーズンの到来

秋晴れの9月下旬、久しぶりに八ヶ岳の阿弥陀岳南陵方面に行って来ました。
目的は、キノコです。

普段は家の直ぐ裏の山で採っていたのですが、今年は生物好きな青年がキノコ狩りに行きたいというので、時期もちょっと早かったのですが、仕事の空きが出来たので一緒にハイキングがてらに行くことになりました。

赤岳や阿弥陀岳に行ったことが有る方にはおなじみの舟山十字路に車を停めます。以前はもっと上まで車で行けたのですが、現在はこの十字路に鉄製のゲートがかかっています。ウィークデイなので車も10台くらいで、半数が軽トラックです。ちなみに私たちも軽トラでした。

ここでもう標高は1600メートル以上。右に行くと立場川本谷のハイキングコースですが、あえてそこを避け、ゲート奥の立場川支流にあたる広河原沢方面に向かいました。

この山は熊が出没するので、警戒のための熊よけの鈴をつけているひともいます。私も、愛犬の首輪に付いていた小さな鈴を拝借してつけましたが、音量がいまいちで効果があるのか定かではありませんが、無いよりは増し?

この坂道は、日頃の運動不足とたばこの吸いすぎで鈍った身体に応えます。20分もしないうちにへとへと。休憩がてら栂と唐松の混合林に入り、きのこ探索です。

木も低く明るい森なのでよく見えます。するといきなりジコウボウを発見。正式にはハナイグチというものですが、このへんではジコウボウです。地元の人の多くは傘の開いた物でも採りますが、私はどちらかというと半開き前の物が好みで、それ以外は採りません。奥山のキノコは、里よりも新鮮に見えます。心もうきうきで、よく見ると、少ないですが方々に点々と出ています。まだ出始めらしく、傘の開いた大きな物は見あたりません。

すると、数メートル先に、赤に近いオレンジ色の大きなキノコを発見。遠くでよく解りませんが、猛毒のベニテングダケの様にも見えます。

近くに来てみると、見事な真紅のタマゴダケです。ほとんどの人は採りませんが、ここ八ヶ岳ではとんでもない悦品なのです。私もまだ過去に2回しかお目にかかっていません。傘の大きさは17センチくらい、高さは19センチくらいでしょうか。傘の裏も枝も黄色で根元には白い大きな壺条の袋があります。まさにタマゴダケ、感激です。

キノコの発見に一喜一憂しながら、今度は道を隔てた反対の森に入りました。まず目に飛び込んできたのが中型の紅色のビロードの様なキノコです。彼方こちらにあります。しかし名前を思い出せません。食べた記憶も無かったので見るだけにしておきました。後で調べたら、カラマツベニハナイグチということで、苦みはあるけれど一応、食用キノコだということです。

そうこうしているうちに、苔上のなかに埋もれたやや黄色いキノコを発見。もしかして、キシメジか?これもまた記憶の彼方です。しかし、記憶上、8〜9割の確率でキシメジです。10数個はあります。もしそうだったら、これも貴重なきのこです。(調べたら正解でした。)

と言う具合にどんどん山道を登っていきました。このまま行けばもう阿弥陀岳南陵の登山コースです。標高2000メートルくらいの砂防ダムのところで引き返し、帰路に就きます。

しばらくすると、カケスのような鳴き声で、ピッチが短い鳥の鳴き声がしてきます。そして直ぐに近くの木にとまりました。それはなんと、ホシガラスです。亜高山帯にいるカラス科の鳥でカラスより小さく、カラスに白い斑点を星のように多くちりばめた感じの鳥です。見るのはこれで3度目。でもこんなにも近くで見たのはこれが初めて。

人間が珍しいのか、それとも鈍感なのか、直ぐ近くまで来ては木の実を飲み込むように食べています。白樺の大きな房も鵜が鮎を飲み込むように躊躇無く飲み込んでしまいました。これは貯食(ちょくもう)と言う行動で、口の中に貯めて後で食べるそうです。まるでリスみたいですね。

そして、道を降る私たちの後を追うようにして前に出たり横で鳴いたりして付いてきましたが、やっと谷側に飛び去っていきました。



  ◆ 本当にあった怖い話

先日、宅配便の業者が配達もないのに我が家へ来ました。なにか、慌てている様子です。

「○○さんの家が無くなっている!」と言うのです。というか、話を良く聞くと丸焼けになってで家がつぶれているということだというのです。

近くだからきっと状況を知っているのではないかと、直ぐに飛んできたそうです。しかし、近所と言っても山一つ隔てていて、その家とは付き合いもありません。その家の近くの2軒は少し知り合いですが、そんな情報は聞いていません。

我が家の西側には100メートル位先に1軒、その直ぐ先に1軒。そして、800メートルくらい先に2軒、その先に2軒の家があります。話を聞いていくとたぶん一番奥から2軒目のようです。一番奥とその手前の家は知っていますが、その家は知りません。

最近は消防自動車のサイレンも聞いたことがありませんし、めだった煙も見ません。ここらは農家の野焼きも多いので気が付かなかったかもしれませんが、火災が起きたのはいつだったのだろうかさっぱり解りません。

後で現場に聞きに行った知り合いから話を聞きました。経緯は次のようでした。

ある日、郵便配達の人がその家に配達に行きました。すると家が焼け落ちていたので、火災に遭ったと思い配達せずにそのまま近くの家に郵便物を届けに行ったそうです。そこで、隣の人も来ていたので、配達員が言ったそうです。

「○○さんの家がまだ燻っているようだけど、ちゃんと消火した方が良のではないか」と言うようなことを言ったらしいのです。郵便配達の人が言った途端、その2人に

「何をおまえさん冗談言って居るんだ!」

と怒鳴られたので、そこで状況が掴めたそうで、直ぐにみんなで見に行き、消防に連絡して、署員にきてもらい数日前の火災と判明したそうです。

幸い、住んでいた家族2人は、出張と長期外出で留守だったので無事でしたが、不思議なこともあるものです。

100メートルも離れていない近所の2軒が2軒とも気が付かずに、全焼してしまうなんて、本当に不思議な事です。3軒とも近くなのですが、みんな山中で、林に囲まれているので見通しが利かなかったのかもしれません。山火事にでもなってしまえば、残る2軒も危なかったかもしれません。

家の中だけ燻されながら焼け焦げ、一気に崩壊したようですが本当に怖い話でした。


【編集後記】

八ヶ岳のキノコ狩りから数週間後、我が家の近くでキノコが採れ始めました。今はシロヌメリイグチとジコウボウが最盛期です。斜面のホダ木からも椎茸が出始めました。一つ残念なことがあります。それは家から数百メートル林の中に入ったクリタケが沢山出る木が、売り地にするために切られてしまったことです。半分は枯れていたのでいつかは倒れる運命にあったので、持ち主としては切るのも無理は有りませんが、ちょっと残念でした。
唐松茸とかハナイグチという美味しいキノコ。この地方ではジコウボウと呼ばれている。
ホシガラスは人怖じしない。数メートルの間隔で直ぐ近くを餌を採りながら跳び回って付いてくる。

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