自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第26号》2006年5月30日発行
◆ いなかのSOHO(素人が建てるログハウス 小学生の助っ人)
◆ 今週の話題(ノスリとカケスケ)
◆いなかのSOHO

前号からの続き「素人が建てるログハウス(原村篇)」です。

  ●手作業の限界か?

次の朝、もう作業の説明はいりません。

丸太積みは順調に進み、ログスパイクを打つ音が森の中にこだまします。

5段目からは窓の開口部があるため丸太を切って積まなければなりません。丸太が短くなる分軽くなり積む作業は楽になりますが、開口部の垂直や左右の振れをしっかり確認していく作業が増えるので時間的にはあまりかわりません。

1〜2センチの窓の左右の隙間はあまり問題にならないので垂直だけを見ながら積むようにしました。

この隙間は丸太の収縮があるため、窓をはめ込む外枠が丸太の収縮で押されないように意図的に取ります。内装の時に断熱材を詰め込むので、かえって詰め込む余裕のある方が良いのだそうです。

日本の大工さんならびったり納まる様に造るところですが、造るのに気を遣ないのも、アメリカナイズされたラフな造り方も開拓時代を思わせます。

慣れてきたせいか、体力が付いたせいか、作業はドンドン進み、丸太はもう半分近くの6段目半周まで積み上がりました。余裕を残しながらも今日の予定より1段多く積み上がったのでかなり充実感がこみ上げてきます。

そんな中、明日から用事がある2人が帰ることになりました。いつもより早く夕食をすませて、お見送りです。今日帰るので頑張ってしまったのかも知れません。


   ●小学生たちの助っ人

夕方近く、隣の先生の別荘にに大勢の子供達が来ました。

話を聞くと、生徒達の夏の合宿だそうです。小学校の4、5年生の男女14、5人が来てかなり賑やかです。

すぐ隣で建築している私たちにも興味があるようで、見学に来たり遊びに来たりで行き交いが激しくなりました。何の合宿かは定かではありませんが、最大限この八ヶ岳の環境を活かした合宿に違い有りません。

次の朝、全員がその別荘の庭で朝礼みたいな事を行って、規則正しく朝食を済ませ全員徒歩で出掛けていきました。数時間で帰ってきて、後は自由時間のようです。家の中やら、外の林で遊び回っています。

その間、私たちは昨日一応の前期の予定は終わったのですが、長い間仕切りの丸太を運び込もうとしていました。他にこれといった作業もなく、次の段取りで必要だったからです。

それは最長の5メートル材のログですので、運び込むのはかなり大変です。2人の助っ人が帰り、今は3人なのでかなり手こずっていました。

半ば諦めていたのですが、遊んでいる小学生を見て、3人で相談し、となりの小学生も、運ぶだけなら出来るのではとの勝手な結論に達し、手伝って貰えないかと先生に交渉に行きました。

「建築のお手伝いで山で丸太を運んだことが子供達にとっても、良い体験になることでしょう。」と体験学習に理解のある話のわかる先生なので、即答で了解です。早速、みんなが集まり丸太を担ぎます。私たちは前に2人、後ろに1人で、行き先の舵を取ります。

「イッセーノセ〜」のかけ声で丸太を持ち上げました。なんと、軽いこと!

背丈のバランスがかなり低いので、私たちは担ぐというよりもぶれないように支えているようなもので、あんなに重かった丸太は殆ど14〜15人の小学生たちだけの力で持ち上がっています。

「数は力なり」ですね。感謝感謝です。

〈最近のこと〉
先日、その当時小学生だった子ども達が富士見の家に遊びに来ました。もう彼等彼女らは25歳で立派な大人です。

私は女の子達は覚えていませんでしたが男の子は良く覚えています。男の子にはその間何回も会っていますが、今回は6年ぶりで会いました。泣き虫だった子が立派に成長して以前より増して逞しく感じました。

その時丸太をみんなで運んだことも今でも良く覚えていると言いました。非日常の出来事はいつまでも残る記憶の財産なのでしょうか。

(つづく)



◆ 今週の話題《ノスリとカケス》

昨日の午前中は良く晴れて夏のような太陽の日が射していました。そんな中、すぐ近くの赤松林に営巣している二羽のノスリが、青空の中で気持ちよさそうに飛まわっています。通常ですとこの夫婦の子どもはもう卵から雛になっているはずです。

まだ巣立ちには早いようですが、珍しいことに鳴きながら二羽だけでディスプレイ・フライトをしています。もう求愛行動ではない時期なので、たぶんテリリーの誇示だと思われます。それとも天気がよいので単なる遊びでしょうか。家のすぐ上空から近くの畑や裏山などを行ったり来たりしています。

時々帆翔(上昇気流をとらえて上っていく)しながらかなり上空まで行ったと思った瞬間、急に羽根をたたんでかなりのスピードで鉛直に急降下したりも切り返ししています。

その間数十秒毎に鳴いています。鳴き方はほとんど「ピーヨー」とヨーの長音に余韻が残る鳴き方です。30分くらい首が痛くなるまで見ていましたが、突然家の裏の檜林で、数羽のカケスがノスリの鳴き方を真似して「ピーヨー」と鳴き始めました。

ノスリはその上空を威嚇するように鳴きながら旋回したり低空で横切ったりしています。カケスはそれをからかうかのように、林の中でノスリと同じように「ピーヨー」と鳴きます。お互いに何をやっているのかは私には見当がつきません。

カケスの声は、単独で聞けばノスリに聞き間違えるほど正確です。しかし、肺活量の差でしょうか、いくら真似上手でも、ヨーの長音に余韻が残りません。

ノスリが「ピーーヨーーーー。」
カケスは「ピーーヨー。」です。

鳴き声の大きさでも、遙か上空のノスリの方が1.5倍位大きく聞こえます。


【編集後記】

以前お話ししました「コブシの花の付きが悪い年は凶作」という田端の言い伝えはこのまま行けば当たりそうです。此処の農家の人たちは田植えをし終わり、水の管理に余念がありませんが、どうやら今年は稲の根の張りが良くないそうです。そういえば我が家の野菜や、ハーブ類も成長が芳しくありません。いずれも原因は日照不足です。害獣予防の電気柵設置でサル、鹿やイノシシによる被害が今年は防げそうで農家の人たちはほっとしていたところでしたが、又ひとつ新たな心配事が増えたようです。
4段目まで積まれたログ。5段目からは窓の開口部がある為短いログが多くなる。
中央の3本のログが小学生たちで運んだもの。長さ5m重さ約100kg.。

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