自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第21号》2006年4月19日発行
◆ いなかのSOHO(素人が建てるログハウス ログ積のはじまり)
◆ 今週の話題(電気柵の害獣侵入防止策)
◆いなかのSOHO
前号からの続き「素人が建てるログハウス(原村篇)」です。
●はじめて出会うお隣さん
温泉から帰って来て、作業小屋で一息ついてビールを飲んでいると、窓の外の木立が明るくなったり暗くなったりしています。おかしいと思って外を見ると滅多にこない車がヘッドライトを点けて登って来るところです。
作業小屋の横を通り過ぎ、上で方向変換して下りてきました。そして、お隣の家の駐車場に入り、バタバタドアの開け閉めの音が聞こえ、賑やかな子ども達の声も聞こえてきます。そのうち、家の灯りが点り、しばらくして車のライトが消えました。
しばらくぶりに来て工事が始まっている事に、きっと驚いていると思います。すぐに妻とふたりで挨拶に行くことになりました。
話をすると、ご夫婦共、八王子の小学校の先生です。年齢も私たちとあまり変わりません。子どもは小学生の男の子3人。賑やかです。みんなとても感じの良い人たちで、こちらも安心しました。
●助っ人の登場
翌朝6時起床、今日も早起きです。山の空気はきもちがいいな〜。
昨晩の雨は上がりましたが、曇りです。森の木々の間に、ちょっと濃いめの朝霧が漂っています。梅雨だから雨は当たり前でしょうが、今日一日作業中だけは雨が降らないように祈るだけです。
そう思っていたらだんだん陽の光が差してきて明るくなり始めました。
仮設の水道で顔を洗って、朝ご飯です。
山で食べる食事、キャンプみたいな開放感がたまりません。
のんびり食べていると、力強いジーゼルのエンジン音が辺りに響き渡ります。
どこかで見たような一台の白いサファリが登ってきました。妻の両親です。娘たちがログハウスをセルフビルドするというのに興味があったと言いますが、本当はかなり心配だったのでしょう。
●一段目のログ積み
ログ作業は昨日の続きで、3面カットのログに床根太の欠き込み入れです。全部で10本のログに加工しなければなりません。
一段目のスタートは全部の加工が終わってからにしようと思っていたのですが、一本のログが100キロ以上あるので、それを2人で持ち上げるのは大変です。人数が多いうちに積み上げようと思ったので、加工が出来た順に積むことになりました。
3本は終わっていたので、4本目を加工していよいよログを基礎に固定します。東側2本と、そこから南と北側にそれぞれ1本づつを積みます。
先ず、1本目です。南側の東方向から載せました。足場も良く、ボルトの位置もログの穴にピッタリです。意外とすんなり行ったので、心の緊張が少し和らぎました。
次は東側です。先のログに突き合わせる格好で載せていきます。ボルトが全くの垂直ではないので、ログの穴の途中でかかって上手く落ちていきません。
ここで「掛け矢」の出番です。掛け矢とは、樫(かし)で作った大形の槌(つち)です。普通は杭(くい)などを打ち込むときに使います。大工さんが家を組んでいくときにも良く使われていて、その音はよく響くので、建前をしているのが遠くでもわかります。
その掛け矢でログを打ち込んでいきます。ログを直接叩くとダメージになりますので、ツーバイフォーの木端を当て木にしてそれを叩きます。コ〜ン、コ〜ンといい音が山に響きます。7〜8回打つと徐々に沈んでいきログが基礎につきました。
残り2本も同じようにして納めていきます。ログには前もってセンター長手方向にスミが打ってあります。いわゆる芯ズミです。これを両面に打ちます。そのセンターを目安にして、隣り合わせのログを並べながら積んでいきます。さらに外側に出るログには小口にセンタースミを入れて垂直も同時に見ていきます。
5本目のログ加工をしているとき一台の白い乗用車が登ってきました。クラクションをならしながら手を振っています。助手席からも手が出て、振っています。一体、誰だろう?
(つづく)
◆ 今週の話題《電気柵の害獣侵入防止策》
動物による作物の年間被害額は2000万円位(富士見町)だそうですが、私たちのような非農家や家庭菜園の被害額はカウントされていません。被害にはこのような経済的なものだけでなく、常に心配して悩んでいたり、もう作物を作りたくないなどの精神的被害などもあるので大変です。
10日くらい前から、動物の侵入防止のための電気柵に電気が入りました。地域全体で鳥獣被害対策に取り組むという結論に達して、取り付けられた、主にイノシシ、猿、鹿の農地への侵入防止のための柵です。
ここの農家の人たちは、昨年までは「何をやっても効果はないので諦めるしかない」との結論を出していたのですが、今年は良い作物が採れそうだと、の効果にかなりの期待を寄せています。
ここのすぐ隣は甲六川を境に山梨県です。電気柵はこの川に沿ったかたちで張られました。昨年まではその川斜面の森には数組の猿の群が住みついていて、それらが長野と山梨を行ったり来たりしていました。これでもう長野県には入ることが出来ない事になります。
しかし、県道や国道には電気柵は張れません。さらに、農業用水路の左右にも柵はありません。そして柵の中になってしまった人家の入口も開いています。実際の所、抜け穴が多くあります。
猿の侵入を監視するにはポイントが絞られて良いかも知れません。
猿の場合はなんとかなりそうです、イノシシや鹿にはたぶん効果はないかとおもいます。なぜならば、イノシシは柵のこちら側に棲んでいて、鹿は私たちの家の裏山や、ちょっと上の八ヶ岳に相当な頭数が生息しているからです。
昨日、鹿をすぐ裏の林で見かけました。子ジカが5頭と、親鹿が3頭です。もっといると思います。果たしてこの電気柵作戦、効果があるのでしょうか。
【ややながい編集後記】
五月病という医学用語にはない病気(?)がある。五月に限ったことではなく、環境が変わればいつでも誰しも起きる心の病だと思う。十数年前にはよく相談を受けたが、ここのところは若い人たちとの接点がないのでご無沙汰していた矢先、この時期に出くわした。
何回もその事象に接しているのでこの病気だとすぐわかる。この場合妻と私とでは接する相手に真逆の方法をとる事が多い。
患者(?)は、職場や学校、さらにはあたらしい居住地での適応障害にかかっているので、そのこととの自分との関わりや欠点を必死に話したがる。それを軽い相づちでよ〜く聞く。(かなり軽い症状の場合ここで完治してしまうこともある。)
ココまでは同じで、話を聞いた後、妻は軽いストレスから来ているなら「若いから判らないことが多いのが当たり前。これからがある、とことんやってみろ。根性!」とケツを叩く。
私は、自分が年中五月病みたいなので、怒らないしあまり励まさない。ましてや根性無しとか止めちゃえなどとは決して患者に言えない。ただ問題点の自覚は促すようにだけはしている。話の中で見つけた他人にはどうでも良いけど本人にとってはカセになっている問題を、すぐにもクリアできる方法と目標を示唆して解決するよう促すだけ。
このどちらかで大方治癒する。特効薬は、他の人に話を聞いて貰ったことと、本人の心の中にある時間と、実際に流れる時間、そしてその時間の先にある夢(未来)という希望。(なんだかかっこいい表現だ。)
ちなみに、我が家の家訓は20年前から
---「今日できる事は、明日もできる。」--- です。
掛や矢でシルログを基礎にとめていく。ボルトの位置が少しずれているだけなので軽く何回も打ちながらの作業。
このくらいなら私にでも出来ると、妻も掛け矢でログを打つ。
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