自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第14号》2006年3月1日発行
◆ いなかのSOHO(素人が建てるログハウス その2)

◆ 今週の話題(自家製生ベーコン)
◆いなかのSOHO

前号からの続き「素人が建てるログハウス」です。

 ●ログの太さと長さで間取りが決まる

1985年7月も半ば、足利のモデルハウスを訪問してから2週間後、こちらの望を基に作られた、たたき台の平面プランが送られてきました。

ここのアーリーアメリカンタイプのログハウスは、前号でお話ししたように素早く確実に建てられるようにログの長さが決まっているので、間取りを工夫しないと、狭くなって使いづらい部分が出てきます。

ログの長さは4メートル物と5メートル物の2タイプなので、壁のない広い部屋は、構造上出来ません。家の大きさは7.8×10メートルで、この寸法より外に約30センチがノッチ部分で寸法より外にはみ出します。それらを加味して設計しなくてはなりません簡単そうに見えますが、無駄の無いようにするにはなかなか難しく手間取ります。

手間取るもう一つの理由が、ログの太さです。太さは平均で35センチ位ですが、その芯が、間仕切りの芯になります。

例えば、トイレですが、一般的には半間(約91センチ)×1間(約182センチ)くらいあれば、在来工法やツーバイフォー建築の場合では一般的な広さです。しかし、ログハウスはログが壁になってくるので、この寸法で間仕切りを作ると、ログの太さ分が狭くなり、トイレ内の寸法は60センチ×150センチ位になってしまいます。

これでは狭くて使い勝手が悪くなります。
これがカナディアンタイプの太いログになるともっと大変な事になってしまいます。こういう事なので、間仕切り壁を何処に入れ、どこの部屋を狭くするかで、かなり迷うことになります。その結果、7畳という変形の和室が出来上がってしまいました。

その後、設計士と十数回の手紙と電話による打ち合わせで構造上問題のない思い通りの形が出来上がってきました。先にもお話ししたハートランドというタイプの間取りをアレンジしたログハウスです。仮の見積も出て、概算で約1,000万円。部材キットの値段です。ちなみに、施工までをすべて頼むと約950万円のアップです。人件費はいつの時代も高いんですね。


  ●仮契約から本契約へ

図面を起こすにも、着手金と言うのが必要になってきます。当然のことですが、どちらかというと、仮契約金の中に含まれてきます。

今までは平面図ばかり書き直して、やっと決定しましたが、次の段階に進むには、基礎図、床や屋根などの各伏図、立面図や各部の詳細図などを作成するために、建てる場所の調査と測量などを行なわなければなりません。

もう後には退けません。退くつもりは全くありませんが、いよいよという感じです。気合いが入ります。新しい年が始まり、輸入業者の設計士の方が仮契約を結びに事務所を訪れました。大体の打ち合わせは事前にすませてあったので、あとは細かい部分の確認です。


  ●これからの予定

春頃から建築を始めたいという私達の計画ですので、結構ハードなスケジュールになりそうです。問題は敷地調査と測量です。設計士はすぐにでも現地に行くと言っています。

原村の別荘地は、標高が1,420メートルと高く、この時期は寒さが一番厳しいときです。寒いぐらいなら良いのですが、雪が多くて測量は大丈夫なのでしょか。車は大丈夫なのでしょうか。ちょっと心配ですが、小淵沢町で乗馬クラブの建築をしている最中だというので、そこから現地までの地図を書いて渡しました。

1週間後、設計士から敷地調査と測量が終わりましたとの連絡がありました。なにごともなく無事で一安心。設計士が言うには、あの気候条件では基礎工事は4月以降じゃないと無理ではないかとのこと。地面が岩のように凍りついていて、重機でも穴を掘るのは大変な状況らしいそうでコンクリートを打つにも気温が低いとダメージが大きいのであまり寒い時期は避けた方がよいと言うことです。

地面の凍りがとけて、地温が上がり、夜の気温がマイナスにならない時期は原村の気温の統計資料から判断して、安心できるのはどうやら4月中旬以降のようです。春の連休からちょっとづつログハウス造りをやりたかったというこちらの計画は、自然の力にもろくも崩れてしまいました。

この時期を逃すと、スタートのスケジュールは夏休みまでずれます。ちょっと落ち込みましたが、たかだか数ヶ月の遅れです。長い人生を考えれば大したことではありません。その前に準備することは山ほどあります。ログハウスを早く建てたい一心でこの半年間勢い込んでいましたが、ちょうどよいクールダウンの期間です。そうこうしている内に、すべての設計図が完成してきました。同時に本契約を結びました。ちょうど20年前の1986年春、今頃の季節です。
(つづく)


◆ 今週の話題《自家製生ベーコン》

自家製ベーコンの肉を購入するために、先週の休み前に、農協のスーパーに買い物に行ってきました。なぜ休み前かというと、そこのスーパーは別荘の人たちが多く利用するので連休の前や週末なると買い物客も増え、店頭に新鮮な食材が一気に並ぶからです。肉類も同じで、カットしたてのもが、いつもの倍以上も並びます。

ベーコンは豚バラ肉(三枚肉)を利用するのでカットのしかたによっては出来上がりがだいぶちがってきます。いつもは少ないのであれこれ吟味は出来ません。しかし週末は量も多くて良いものが出るので、そなかから一番良いと思うものを選んで買ってきます。

今回も、脂身、肉、脂身、肉、脂身ときれいな層になった良いものが手に入り、早速ベーコン作りがはじまりました。作るといってもその方法は至って簡単。肉に粗塩と黒コショウ、三温糖とお気に入りのハーブ類をすり込んで一週間くらい冷蔵庫で寝かせ、塩抜きをして、一晩外のスモークハウス内でそのまま肉を引き締め、次の日8時間ほど燻製すれば出来上がり。

ベーコンは温燻じゃなかったのと、スモークに詳しい方は疑問を抱くかも知れません。そうです。普通は65度くらいで4〜5時間ぐらい温燻するんですよね。我が家では、冬に造るときはいつも生ベーコンです。春や夏の気温が高いときにはもちろん温燻の方が安全です。どちらにしても焼いて食べるのですから問題はないと思います。

この出来上がった生ベーコンは、それこそ薄くスライスすればスパイシーな生ハムです。生で食べるには脂身が多いので実際には焼いてから食べますが、生でも美味しくいただけます。

イタリアではパンチェッタと言ってスモークしないベーコンもあります。塩漬をしながら乾燥熟成させたもので、多くの場合燻製しないようです。今回出来上がったものは、ちょっと塩がきつくなってしまいましたが、甘みのある味わいと繊細なハーブの香りとスモークの香りが入り交じりなかなかの出来です。さっそくパスタやサンドイッチに利用して食べました。

●材料のデータ-
粗塩(肉の量の4%)、ブラックペパー(同1%)、三温糖(同1%)
ハーブは、ナツメグ、セージ、シナモン、ローレル、オールスパイス(適当)
スモークチップは最初にヒッコリーで4時間、最後にブナで4時間


【編集後記】

庭に植えてあるナツズイセンが芽を出しました。知らない間に5センチ以上のびています。なにもない茶色だらけだった土から、緑鮮やかな芽が出てくると、見ているだけで心が安らぎます。
気を良くして土手に行ってみました。枯れ草を分け入ってみると小さいフキノトウが、もう出ていました。開ききったものも数個あります。あまりに小さいのでそのままのしておいたら、数時間後、3人の中高年の人たちがそれを採っていきました。毎年春になると必ず来る山菜好き(?)な人たちです。おまけに枯れたようなノビルやタゼリなども根こそぎ掘っていきました。何にするんでしょうね、気になります。

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