自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第10号》2006年2月1日発行
◆ いなかのSOHO(素人でも建てられるようなログハウスを選ぶ その1)
◆ ログハウスのメンテナンス(床タイルの修理)
◆ 今週の話題(生ハムの燻製)
◆いなかのSOHO

今回のお話は「素人でも建てられるようなログハウスを選ぶ」です。

 ●建てるログハウスはどのタイプか

当時、ログハウスを扱う業者は、今のように何百社もなく、両手の指で事足りました。しかし、選択肢は少ないながらも、建てる側にとっては、やはりどのタイプにしようか迷います。

そこで、季刊のログハウス専門誌「ウッディライフ」に出ているログハウスの広告を頼りにして、工法のタイプ別に数社のパンフレットを取り寄せることになりました。丸太だけ輸入するというのもありましたが、一から加工する技術はありませんので、とりあえずキットものを選びました。

種類分けは、太い丸太のカナディアンタイプ、大草原の小さな家みたいなアメリカンタイプ、北欧の主流フィンランドタイプ、そして間伐材利用の日本タイプです。しばらくして資料やパンフレットが順番に届きました。それぞれ工夫をこらした完成写真や配置図、平面図などを見ているだけでも、夢がふくらみうきうきしてきます。

その中で、一番気に入ったのは、フィンランドのロッジポールパインを使った、平屋でどっしりと落ち着いた感じのするログハウスです。フィンランドと言えば北欧タイプの角ログをイメージしますが、ここのログハウスは、丸太のままで、立木の樹皮を剥ぎ、数年かけて立ち枯れさせたパインの丸太を使って組んだログウスです。

室外も室内も無塗装、同じ色具合で丸太の色は感じの良いシルバーグレイ。自然に退色というか変色したものなので、とてもいい雰囲気です。本当に素晴らしいと思ったログハウスです。早速、扱い代理店に電話して、いろいろ話しをしました。個人の会社で、社長はログビルダーだそうです。 

切って皮を剥いただけの丸太と違い、一本一本立ち枯れさせて立ったままで皮を剥ぎ数年後に加工するので丸太自体にとても手間暇が掛かります。ログの材料費がかなり高そうです。こちらも予算がありますので、一応見積を取りました。見積書が来て、開けて仰天見てびっくり!
何と、坪当たりが最低で100万円。水道や電気などの様々な設備を入れると坪当たり130万円は超えます。それに、基礎工事は建てる場所により別なので、それを入れると……財布が大変なことになってしまいます。

予想を遙かにオーバーです。もちろん逆立ちしても無理です。残念ながらロッジポールパインのログハウスは諦めました。

  ●カナダのログハウスは…

こんどは、ちょっと感じの良いカナディアンタイプです。たぶんこれからの主流になるタイプだと思います。資料を送ってもらったものはログシェル(躯体)だけのもので、カナダのログビルダーにより組まれたものを、解体してて輸入するという、ハンドカットのログハウスでした。ログシェルだけですので、他には何もありません。

床も、屋根も、屋根に掛ける垂木も、窓やドアなどの建具なども一切ありません。あるのは家の形に組むことが出来る加工された丸太だけです。今ならなんとかできる自信がありますが、その時は何も知らなかったので、後の部材の手配や施行方法などのことを考えると、このカナディアンタイプに踏みきる勇気もありませんでした。

ダイナミックでログの太さも迫力がありますが、すべてクレーンで組み上げるというので、ハンドメイドらしくありません。ログシェルだけの値段にしては結構高い金額です。施行にも自信が無いので、急に興味がなくなり、選定から削除です。

 ●日本のログハウスはどうだろうか…

日本のログハウスの場合、使用される丸太はほとんどが杉か檜です。工法もカナディアンタイプが主流です。近くに間伐材を利用したログハウスを造っている製材所があるというので行ってみました。倉真という山の奥の方で、車で数十分の所です。

そのログハウスは駐車場横にポツンと建っていました。よくキャンプ場などの炊事場などで建てられているようなタイプです。

使われているのは直径が10〜12センチほどの檜の丸太で、家自体も2坪くらいから10坪ぐらいまでの小さな物があるというのですが、丸太も細すぎて、寒冷地での永住には不向きです。間伐材だからこんな物かな、と思いましたが倉庫とかガーデンハウスには良さそうです。

もう少し重量感のあるログハウスはないものかと資料を探している内に、見
慣れた地名の名を冠した森林組合が広告に出ていました。こんどはちょっと遠く、ここから車で一時間半位の所です。しかし、同じ静岡県の西部地区なので親近感が湧きます。

そこは、掛川から森の石松で有名な森町を抜けて行き、天竜川の支流にあたる気田川が流れる春野町というところです。以前鮎釣りや、キャンプなどでよく行った所です。この春野町森林組合の中のグループで杉の間伐材でログハウスを造っているというのです。即行ってみるしかありません。

掛川から森町に行く森街道を北に行き、国道362号線に合流。ここからまだ北に行きます。この道をドンドン走って一山越えれば大井川に行ってしまいます。その途中に春野町はあります。道路の左右は鬱蒼とした杉と檜の林が切れ目なく続きます。それもそのはず、春野町は9割以上が森林で、4軒に1軒が林業です。林業の町なのでこのくらいの森林が無くてはやっていけません。

崖っぷちを走り抜け、なんとかモデルハウスの建っている所まで来ました。世間とは隔絶したような静かさ。緑や清流が綺麗で、とても環境の良いところです。前もって連絡してあったので、組合長らしき方がまだ新しい自慢のログハウスを案内してくれました。

ログはすべて春野町で伐採された杉が使用されています。直径は20〜30センチはあります。大きさも永住向きでしっかりしています。しかし、イメージしていたより、外観はかなりの「和風味」です。杉材のせいでしょうか。窓などの建具は一般的なアルミサッシで、内装も、なにか私にはしっくりときませんし趣味も合いません。

純和風ログハウスみたいなコンセプトが有ればよいのでしょうが、まだスタートしたばかりの事業らしく、和洋が混沌としてデザイン的にもこなれているようには思いませんでした。(現在はどうだかわかりません。)ここも残念ですが、意匠的な面で断念です。

思っていたログハウスがことごとく断念せざるを得ない状況になりました。
(つづく)


◆ ログハウスのメンテナンス《床タイルの修理》

我が家の床で、板張りではない所があります。入口からすぐ横のストーブの床と洗面所とトイレ、そして台所です。そこにはテラコッタの床タイルが張ってあります。しかし、下地に問題があるところが数カ所有ります。一番ヒドイのが台所です。

普段使いなら問題はなかったのですが、数年前、一度に20人以上の人が台所に集結したことがありました。その日から、台所の数枚の床タイルがカタカタいいだしました。タイルは割れることはありませんが、踏むときに少し沈むので、かなり感触が悪く、早く直さなければと思っていました。

先日、目地を取りタイルの下地の様子を見たところ、敷きモルタルが固まっていない砂の状態で、数ミリの空間もありました。早速、下地を詰め直し、目地をモルタルで詰め直して、とりあえずの補修が完了しました。まだ心配な箇所がありますが、その補修は暖かくなってからにしようと思います。


◆ 今週の話題《生ハムの燻製》

冬の時期にしかできない燻製があります。それは生ハムの燻製。
一般的には生ハムは燻製しないのですが、燻製すると香りも良く野性味が出て美味しくなるので、我が家ではベーコンでも何でも燻製しています。

生ハムも作り方をいろいろ試しましたが、少ない肉の量で出来るオリジナルの方法に落ち着きました。本来なら豚のモモ肉で行うのですが、最近では肉のきめが細かいリブロースをよく使います。通常の生ハム作りは最低でも半年ぐらいかかります。我が家では肉の量が少ないので早く塩がまわってしまうため、全行程が2週間程と短く、かなりインスタントな生ハムです

 ◆行程◆

肉(1キロのものを2ブロック)を1日間そのまま冷蔵庫でひきしめます。
安いブランデーで肉を洗ったあと、7日間塩漬け(黒コショウと岩塩)。
塩漬けした肉をちょろちょろと流水で3時間塩抜き。
その後冷蔵庫で1日休ませて次の日スモークハウスへ。
スモーク(桜かヒッコリー)最初の日は8〜10時間くらい(冷燻)
    その次の日から1日に3〜4時間くらいを5〜7日間(冷燻)

スモークの段階から風乾とスモークを外のスモークハウス内で繰り返すので、外気温は4度以下の日が続く時でなければ出来ません。またスモークハウス内の温度も上がらないようにするため燻製作業はやはり冬が一番です。

先日、塩漬けが終わり、今日がスモークの最終日ですが、数日前に中間スモークで小さいブロックの方の試食をしました。なかなか良い出来でした。


【編集後記】

スモークが終わった途端、春のような暖かさがきました。どこから来たのか銀バエが飛んでいます。90%の確率で近所の馬を飼っている衛生管理のいいかげんな家からだと思いますが、あとの10%は遠くの畑で生ゴミをまいているところのかもしれませんが、いずれも定かではありません。そんなことはどちらでもよいので、現実的な被害に遭わないように、慌てて生ハムを冷蔵庫にしまい込みました。それにしても昨年から今年にかけておかしな気候です。普段なら雪のはずが、今日はしとしとと降る雨でした。
春野町のログハウス

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