自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第107号》2019年1月6日発行
◆太い楢の木の伐採
八ヶ岳の里山は朝晩マイナスの気温ですが、例年より暖かい冬です。雪も昨年末から3回降りましたが、午前中にはほとんど融けてしまい根雪はありません。

  ◆里山でのいろいろな出来事

《太い楢の木の伐採》

昨年の夏に、近くの家の楢の木の伐採を頼まれました。この楢の木は、以前赤松林だった所の一番南側にあり、西南方向は畑で、その向こうが田圃です。その後、赤松林が住宅用地にするため皆伐され、切られずに残った木です。他にも広葉樹が残され、栗や山桜、ヤマモミジ、リョウブなどが点々としていました。

その家の宅地は東側に他の家があるので、東側部分は白樺を植えたり残っていた自然木で目隠しするための植栽ゾーンを設けてあります。その一番南側にあるのがこの楢の木です。

この楢の木の周りには、山桜が5本、栗の木が2本生えていましたが、5、6年前に伐採を頼まれ東側の山桜3本を残し栗の木は切りました。

陽当たりの条件が変わったので、その後は枝を南西にのばしながら成長しましたが、予想以上に成長したので、その家の大事にしている芝生にも影響が出始め、さらには楢の木のすぐ西下の畑も半日が影になるまでに葉を付けたのです。

このようなわけで、木を切りたいということになりました。

しかし、夏は葉があるのと、木が水を吸い上げている最中なので葉が落ちてから伐採することになりました。

11月下旬、風もなく初夏を思わせるような日射しの中、伐採が始まりました。

前もって連絡をしてこの日に合わせて2人の助っ人が来てくれました。一人は後片付け役を、もう一人はここの庭の管理者で、倒した木を運びやすい長さにチェーンソーで切る役を担ってもらいました。

まず準備です。反対に倒れると隣の家に入って大変な事になるので、高さ5m位の所にワイヤーを掛けて、倒す方向にチルホール(手動式のウインチ)で引っぱっておきます。

思い入れのある木だったと言うことで、家主さんが幹の周りに御神酒をかけて木とのお別れをしました。ついでに全員が集まって記念写真をパチリ。

太い木なので、40cmバーのチェーンソーでは一度に刃が回りません。根元の太い左右の張り出た部分を切り落とし切りやすいように整えます。そうそう書き忘れましたが、この幹の太さは約80cm以上あります。受け口(木の倒れる方向に口を開けたように切り取る)も左右に分けて切って作りました。

この受け口の反対側に追い口を入れていきます。チェーンソーのバーがとどかないので左右半分ずつに分けて入れていきます。右側に切り込みを入れてクサビを打ち込んでおきます。次に左側に回り切り進みます。ツル(受け口と追い口の間で切らない中央付近の部分)をは8cm位残して左部分にもクサビを打ち込みチェーンソーを抜きます。

後はくさびを交互にガンガンと打ち込んでいきます。チルホールで強く引いて貰いながらクサビをめいっぱい打ち込むと、バリバリとツルがはじけながら木が倒れていきました。西側に太い枝が数本張り出ていたので倒れる方向はチルホールとその枝の間ぐらいでした。

ちょうどそこは下の畑の法面です。後の作業にも都合が良く、誠に上手い具合に倒れてくれました。(予想ではもう1m位芝生側でしたが…。)

後は、枝を払って玉切りして片付けです。

木を切り倒すのはそんなに時間は掛かりませんが、後片付けの方が時間と体力が何十倍も掛かります。玉切りにしてもこれだけ太いと時間が掛かります。さらにこの太さだととても一人では持ち上がりません。

というわけで、ユンボの登場です。芝生側には入れないので、植え込みの木々の間をどうにかくぐり抜けながら伐採箇所までたどり着きました。

これがあれば百人力。下の畑で輪切りしたものを次々と上に運びます。根元の太い部分も平らな部分に移動したので、安全に玉切りできました。

年輪を数えてみました。樹齢は50年位です。

幹の周りは2メートル70センチ。

高さは約20メートル。太いところで直径約85センチ。

根元はもっと太く地面から出て根を張っています。それを見た家主さんが切り株に座って南アルプスの山を見ていたいから、椅子の形にして欲しいと言うことで少し背板っぽく加工して椅子の形にして、一応座れるようにしておきました。

冬間近にこんなに汗をかいたことは記憶にありませんが、太い木の伐採はとても良い体験でした。おまけに来年用の薪も余分に出来たことも喜びの一つです。



【編集後記】

コアな話ですが、以前ギターを弾いていて1977製Fenderストラトキャスターを静岡の楽器店に預けっぱなしになっていました。もう30年以上前の話です。その楽器店が閉店となり、わざわざ届けに来てくれて、ギターが我が家に戻ってきました。今ある1975製のテレキャスターに慣れていたので、ネックも細く感じ少し弾きにくいのですが、再会すると様々な(と言うか不確かな)思い出が蘇ってきます。

里帰りしたので、ボディやネックをクリーニングして弦を張り替えました。音を出してみました。3つのピックアップは歪みの少ないシングルコイル、セレクタースイッチで好きな音質に切り替えできます。柔らかく優しい音が出てきました。昔のようには弾けませんが、しばらくはこのストラトで指を慣らしてみたいと思っています。
この芝生の左側斜面に右にちょこっと見えている楢の木を倒します。ウインチは家のベランダの基礎にアンカーを取り付けました。
玉切りした楢の木の下の部分。他の割った薪を見ればその大きさが解るでしょうか。

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