自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第104号》2018年5月6日発行
◆山菜と新参者
◆突然消えた蟻の大群
八ヶ岳の里山は、春になったり夏になったりで気温がおかしくなっています。
この傾向は全国的だそうですが、歳のせいか身体がついていきません


  ◆里山でのいろいろな出来事

《山菜と新参者》

今年は春が早く訪れ、山桜も早く咲き、山菜も二週間ほど早く採れはじめました。私の好んで食べる山菜は毎年変わらず、フキノトウ、タラの芽、コシアブラ、ワラビ、ウド、ワサビなどで、時折ハリギリやヨモギ、ノビル、ノカンゾウ、オオバギボウシ(ウルイ)なども採るときもあります。

今年はというか昨年秋後半頃から、子ども連れの若い人達がこの周りに散歩に来るようになり、特にフキノトウは出始めに殆ど採られてしまいました。

数日後には春の雪が降り、少し遅く出るフキノトウで毎年作る蕗味噌を仕込みましたが、そこは、山菜が採りやすいように秋の終わりに草を刈っている所です。古くから山菜は誰が採っても良いということなので、季節の山の幸のお裾分けを楽しんでもらえればと思っていますが、急に現れた新参者達には当惑しました。

タラの芽も、種を蒔いたり移植したりして密かな楽しみで育てた場所のものまでが全て無くなっていました。目に付くところで他の人の土地なので、まあ採るのは良いのですが、中には枝切りばさみで採っていった跡がありました。人間の性でしょうか、手だけでは届かないところなのでその気持ちは判りますが、幹まで切ってしまうと二番目の芽はそこからは出ません。これには少し悲しくなりましたね。

今の人達は、山菜に限らずキノコや木の実などでも、全部採ってしまう傾向にあります。私たちの時代は、後に来る人やもっと増えて貰うために半分ぐらいは残しておくのが暗黙のルールでした。

山菜やキノコなどは季節を感じながら採ることと食べることを楽しむ物で、大量に採っても困ることもあります。その日食べる分ぐらいを採ってきて食べる…それで十分ではないかと思うのです。



《突然消えた蟻の大群》

コテージに蟻が出るようになりました。ゴールデンウィークの連休にはお客さん達の宿泊が続きます。その前に何とかしなければなりません。部屋の中ではバルサンや殺虫剤などは使用したくないので、ひたすら手作業で勝負です。

最初は数匹だったのが、日毎に数が増え多いときは数時間で40〜50匹を捕獲しました。その内にまた数が減り、十数匹位にまでなりましたが、玄関のドア横にはいつ行っても必ず数匹います。

玄関ドアのモールの下にどうにか蟻が通れるほどの隙間があったので、そこを塞ぎ様子を見ていました。蟻道が塞がれたので入ってくる蟻はいなくなったのですが、今まで入ってきた蟻たちがそこまで来て引き返し、また壁を伝わり、天井方向に向かって行く様になりました。数日間駆除し、殆ど姿を見なくなったので安心してお客様を迎えられました。

外気温が25度前後の春らしくない日が数日続き、その後2日間雨が降り、少し涼しくなった頃、連休初日が始まりました。お客様には事情を説明して、蟻が出ることが有るので処置方法(ガムテープで蟻を貼り付けて取る、ハエたたきでつぶす等)を説明しました。その日は殆ど蟻は出なかったようです。

次の日、子どもさん達ご夫婦とお子さんが合流して連宿泊です。この日、昼間に27度ぐらい気温が上がり、ちょっとした夏です。しかし、夕方からはぐっと下がって10度ぐらいになりました。夜7時頃コテージから直通電話で連絡が入り「室内に蟻が大量に出てきた!」とのことです。

すぐに掃除機と懐中電灯を持って駆けつけると、いつも出ていたクロオオアリです。ひたすらお客様に謝り続けました。

よく見るとそれより大きな羽アリもいます。部屋の中をを飛び回ったり、壁の蟻道には列を成してひしめいています。羽アリは体長が2.5cm以上有ります。捕まえてみると結構強い力で噛んできます。

数匹を掃除機で吸い込みましたが拉致が開きません。しかしそのことで蟻たちはどんどんと天井方面に移動していきました。暫くすると少し数も減り、明日天井付近を点検するということと、下りてきた蟻をガムテープで処理して貰うことでお客さんも納得して頂きました。

次の朝、お客さんが「蟻が一匹もいない!おかしいですね?」と言います。

一応、お客さんが出かけた後、脚立を掛けて梁に上がり、天井や屋根梁などいろいろと調べましたが、何処にも蟻の姿はありません。床を見ても壁を見てもどこにもいません。外も見ましたがそれらしき形跡もありません。そして次の日も蟻たちは出ませんでした。そしてその翌日に、大きな蟻が一匹いたとお客さんが言っていました。そして連休最終日にも現れませんでした。

一体全体、数時間だけ出現したあの蟻の大群は何処に行ったのでしょうか?


【編集後記】

春が早いと小鳥たちも忙しく飛び回ります。コテージの飾り窓の枠内に巣を掛けたキセキレイはもう卵を抱いています。クロツグミはきれいな鳴き声で囀り、下の畑には今年もノスリが来ています。すっかり定住してしまったガビチョウは時折アカショウビンの鳴き真似を交えて忙しく囀っています。今年多いキジは彼方此方で甲高い鳴き声を発しています。

朝方4時半頃にはまだ上手く鳴けないウグイスが近くで囀るので気になってしょうがありません。早く上手になれば朝早くに起こされることもないと思うのですが、今朝も時々つっかかりながら鳴いていました。この春もまた新しい多くの命が誕生している思うと、輝くような新緑やぐいぐいと成長する植物もさることながら里山の季節の中では今が一番生き生きしているなと感じます。

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