自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第4号》2005年12月21日発行
◆ いなかのSOHO(f冬のくらし/薪あつめ)
◆ ログハウスのメンテナンス(ドアの調整)
◆ 今週の知恵袋(農家からいただくモミ米)
◆いなかのSOHO(冬のくらし)

今回のお話は薪ストーブの燃料の「薪集め」です。

この辺りの新しい家や別荘では、薪ストーブを使う家も多くなりました。薪ストーブは輻射熱なのでぽかぽかと暖かく、雰囲気も楽しめます。しかし、せっかく薪ストーブを手に入れたのに、肝心の燃料となる薪の確保がなかなか難しく、東急ハンズや近所のホームセンターで買ってくるなんていう話も聞きます。

数日間ならまだしも、年中生活している人たちは、そんな不経済なことは出来ないし、我が家ではそこまでの考えも及びません。

 ●薪作りや薪集めは、年中の作業

毎年冬に備え、集めては切り、切っては割って、一年かかって乾燥させてようやく「使える薪」になります。したがって、今年切ったものは、一年後以降に使うための薪になるわけで毎年、使った分だけは、かならず確保しなければならなくなります。

薪を調達できる雑木林が自宅近くにあり、いつも手に入る環境にある場合は薪集めも楽ですが、そうでない場合がほとんどなので、できるだけいろいろな人に声を掛けておいて、薪集めに奔走しなければなりません。

 ●タダでもらえた薪

隣の原村に住んでいるとき、建設業者に「薪に使えるようなものがあったら貰えませんか。」と言っておいたら、4トントラックで山ほどの雑木を何回も持ってきました。それも運搬費や木もタダ。

なにやら白樺湖の別荘地で家を建つのに伐採した木が大量に出て、その処分に困っているとのことで、話を聞いていたので持ってきたとのこと。その後、年に数回、解体した家の木部だけの廃材も山ほど持って来ました。この廃材は当時の家には給湯用の薪のボイラーがあったので大助かり。

しかし、時の流れで、その雑木も今では薪として建設会社では売っているようで、ちなみに長い原木で、2〜3トン車一杯で4〜5万円だそうです。

 ●松は手を出さない方が無難

薪ストーブに使うものは「木なら何でも良い」というわけではなく、特に「松」のつく木はあまり人気がなく、もちろんもらい手もいません。世の中うまくしたもので、薪ストーブには不向きなアカマツは陶芸家にとっては宝物だそうなのです。(冬に切ったものだけですが)そういう話があったときには、近所の登り窯を持つ陶芸家に話をして、取りに行って貰っています。

松(カラマツやアカマツ)が不人気の主な理由は、火力は強いがすぐに燃え尽き、おまけにススが多いので、すぐ煙突が詰まってしまうこと。当然、シーズンに何度も煙突掃除をしなければならなくなるので、それが大変だとの理由で「薪として対象外」の木になってしまうのです。煙突やストーブの掃除をこまめにして、それが苦にならなければ、松はいくらでも手に入ります。

薪ストーブには適さないアカマツの太い物は、特に建築の梁などに価値があり、和風建築を専門とする大工さんたちには必要な材料なので買い手もあるのですが、太さ40センチ以下のものはあまりもらい手が無く、チップにすために売られるか、それも面倒な場合はそのまま切り倒されてごろごろしていることが多く、いらない人にはまったくもって「じゃまもの」なのです。

 ●やはり、薪ストーブには広葉樹が一番。

広葉樹は一般にヤニが少なく、均等な火力で長い時間燃えるので、薪ストーブに最適です。カシやナラはそのなかでも特に火持ちが良いとのことで一番人気。ケヤキも堅い木なのですが、燃やすときの煙があまりよい臭いではなく、目が痛くなるような刺激があるのでので敬遠されがちです。

この辺りに多い栗やクルミは堅そうですが、意外と火力は出ません。しかし、太い木でも見た目の大きさにくらべ以外と割りやすいので、やはり人気のある木です。桜はスモークの時のチップにも最高ですが、燃えているときの香りが良いのでストーブでもよく使います。

 ●広葉樹集めのコツは、地元のいろいろな人に声をかけておくこと。

里山の農家の場合、以前は風呂や炊事には薪を使っていました。最近は風呂や調理も暖房もほとんどガスや灯油や電気になり、いまここの集落でも風呂や調理には薪を使いません。(数軒は兼用で風呂を沸かす家もあるそうですが炊事はやはりガスか電気です。)

それに伴い、いままでは大切な燃料だった「薪」を取りに行かなくなったため山の手入れもほとんどしなくなったので、山には雑木が余っています。したがって山の手入れにもつながる「おじいさんは柴刈りに〜」の世界は、もうここの里山でも見ることが出来なくなりました。

この「柴刈り」の「柴」は小さな雑木の意味で、この地域の古い人たち、もちろん柴刈り経験者は、「柴木(しばぎ)」のとを「そだき」とか「そだぎ」と言っています。この割らないで済むくらいの細い柴木なら、地主の了解を得て、山にはいればいくらでも手に入れることができます。切って束ねて山から担ぎ出すのが大変ですが、実益のある運動とおもいながらの作業なら楽しくできます。

 ●柴刈りは山を守っていた

地元の人は「雑木は再生もはやいので切っても翌年にはまた切り口から枝が出てくる。いまじゃ、人も入れない林になってるところもあるが、たきぎとり等柴刈りは本来ならば大事な作業だった。」と言います。

広葉樹は杉や檜、松などの針葉樹とは違い、切っても更新しながら新しい芽が出てきて数年後には「柴木」として使えます。木を絶やさず利用するさまざまな知恵が農村地区の里山にはありました。また「炭」を焼くのにも多くは広葉樹の堅木が用いられています。この地区でも、以前はよく炭を焼きによく山に入ったそうです。

里山をもつ人たちは、数十年先を見ながら暮らしのために木を切り、炭を焼き、山から広葉樹のつくる腐葉土をもらいながら畑を作り、繰り返し山の手入れをし、間伐をしながら毎日暮らしていました。いまは、もうその様な農家はこの地区でもめったに居ません。

 ◆したがって、農家もいらない雑木(薪)が豊富

いまだに砂利道や農道が多いこの地区では道路舗装や河川を改修するときにも、大量の雑木が切られます。その大部分は農家の土地がほとんどなので、前記のように手入れがされていない林ばかりです。ちょっと声を掛けておくとのそのような情報が地元農家から入ってきます。公共事業だと立木の所有者に伐採料が入ってくるので農家に損はありません。ほとんどの場合、土建業者や管轄の営林署が伐採を行うので、重機が入り、適当な長さに切って出しやすく積んであります。しかし、最近は切り出した後では遅すぎることがよくあります。

切り出した木はよく目立って、欲しい人たちも多いので、当然、競争率も高くなります。中には、切った夜や翌日に人目のないことをいいことに断りもなく持っていってしまう(犯罪になりますよ。)人もいます。だから切り出した後では遅すぎるのです。切る前に情報を入手し、了承を得て即日取りに行った者が勝利(?)します。

というわけで、我が家はおかけさまで、薪だけは今のところ不自由したことがなく、日頃の努力(?)でこの冬も快適に過ごせそうです。


◆ ログハウスのメンテナンス

木の家は、湿気に左右されよく伸び縮みする。顕著なのが木製のドア部分。我が家の場合、梅雨時はドア枠にすこしドアが当たり閉まりにくくなる。

数年前の梅雨時、力を入れないと、ドアが閉まらなくなるほどになったため、ドアをはずして天地をノミとのこぎりで削り直した。しばらくは復活した快適な閉めごこちに満足していた。

しかし、冬になってだんだん乾燥してくると、今度は、ドアとドア枠の間にわずかな隙間が出てきて、少し冷たい風が吹き込んでくる。最大限ふくらんだ時に、戸当たり寸法ぎりぎりまで削ってしまったせいだ。それが乾燥して縮めば隙間が空くのは当然のこと。完全に木の性質を見極めなかった事による失敗であった。

こうなると、当面は隙間テープで補修するしか考えが浮かばない。補修はしたものの、開閉の度にテープが擦れるので、すぐだめになる。冬の間は、自然換気だと思ってあきらめている。季節が変わればまた戻るので、もっと柔軟性と耐久性のあるゴム系統のものを取り付け、湿度が中間で安定したの時に再調整しようと思う。


◆ 今週の知恵袋

この地区は富士見町の中では特に質の良い米が取れるところ。今年の米は気象条件も良く、場所良いところでは例年に比べかなりの収量が有ったようでした。毎年農家の「はざかけ」を手伝っていて手間代として米をいただいています。その手間代は、天日干したモミで一俵ほど。

米は天日干ししたモミで保存するのが一番良いといいます。保護のためのモミに一粒一粒が覆われているので滅多に虫も付かないし、白米や玄米で保存する場合に比べ酸化もしないので、食べるときに精米すればいつでも美味しい米が食べれれるからです。

我が家では、モミの入った袋をそのまま茶箱に入れて保存しておきます。倉庫に今年いただいたモミを保管しようと茶箱を開けたら、なんと昨年のがそのま残っていました。去年はいろいろなところから、食べきれないほどいただいたため
つい忘れていたためです。(贅沢な話-反省)

すぐにコイン精米所に行って白米にしてきて翌朝たべてみました。色艶はきれいで味は良いように思いましたが、今年のお米の出来が良すぎたのか、比較すると残念ながらあまり美味しくは思えませんでした。しばらくは、この新しいような古米を食べることになりそうです。


【編集後記】

先日、プリンターのイメージドラムがダメになりました。一番使う黒だけは昨年交換したのですが、あとのマゼンタ、シアン、イエローがまだ交換していませんでした。プリンターを購入してから3年経つのでそろそろかな〜とは思っていたのですが、いっぺんに3色ともダメになってしまいました。年末にかけてかなりの出費です。プロ用なのでトナーを含めると一月分の給料がすっとんでしまう金額ですが、大切な仕事の道具なので交換しました。メージドラムは3万枚でだめになるそうです。トナーや消耗品を入れると、一枚あたり原価が20円近くなります。個人SOHOにとっては厳しいところです。次に備えてその日からは一枚プリントしたら20円を貯金しています。
様々な樹種だがこうやって玉切りして持ってきてくれることもある。
家の近所で道路整備のために切られた雑木。大量だったので3軒で分けた。
玉切りして適当に割って乾燥させる。焚き付けに使う細い枝も35センチの長さに切っておく。
奥に4列入る今季用の薪置き場。一冬で2/3位は使う。
1年後に使う薪置き場。
2年後に使う薪置き場。

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