自然派SOHOの田舎暮らし快適実践術
メールマガジン「八ヶ岳の里から」バックナンバー
《第2号》2005年12月7日発行
◆ いなかのSOHO
◆ ログハウスの冬のメンテナンス
◆ 今週の知恵袋
長野県八ヶ岳の西麓に住むこと16年。2001年同富士見町に移転し再びログハウスを造り、自宅横に2003年メンバーズコテージも新築。八ヶ岳の麓から、いつまでも大切にしたい自然と、SOHOの快適な田舎暮らしをお伝えします。

◆いなかのSOHO(住む場所の選択-その2)

田舎に住むにはツテがなければ、なかなか思うような土地を買えません。どのようにしてSOHOの拠点となる理想の土地を手に入れ、家を建てたのかなどのいろいろな話を毎回シリーズでお伝えしています。

今回のお話は「水」です。
自然環境に恵まれたところは、周りに家がない場合が多く、環境は良いが、利便性が悪い。人が少ないので自然派にとっては理想的に見える。当然のことながらそのようなところは電気も、水もないところがほとんど。

水道もない人里離れたところで住むには、水の確保が一番の課題。

水道を役場で引いてもらったら?と簡単に云う人もいるけれど…工事費は、すべて自己負担。ここの場合は、一千万円以上もかかるし、引いた後は水道を町に寄付をして、自ら水道代を払うということになるらしく、結果として、損だか得だかわからないことになる。

それが原因なのか?わからないが、水道もこない山の中にある多くの家では、敷地内に井戸を掘って汲み上げて飲料水として使っている。山の中腹や、小高い丘だった場合は簡単な浅井戸もままならないことが多く、深井戸を掘る羽目になる。それでも中には水が出ないことも。

深井戸を掘るには町のきまりがあり、これが結構面倒なのです。

最初の関門として、近隣の土地所有者の許可を貰わなくては、許可がおりないということ。(中には、深井戸を勝手に掘ってしまう悪質な例もあるし、水が出ないのをわかって売ってしまう不動産屋も見かけるので、土地購入には細心の注意が必要。)

また、近くに井戸があると、新しく掘ることは不可能になる。そして、町も地下水の汲み上げには規制をかけており、面倒なことが多い。

ここの土地内では、たとえ浅井戸を掘っても水はあまり出そうもない地形なので、私の場合、この土地を買うときに、湧き水の有る下の土地と、配管のためのそこに続く山林を貸して貰うように、地主さんと話をしてから、ここの土地を買い求めました。もし水の使用権が得られなければこの土地を諦めるつもりだったんです。

湧き水の有る下の土地までの山の斜面の配管が苦労。だが、浅井戸を掘るだけで良いので、役場への手続きや近隣住民との交渉などの面倒なこともなし。掘った後、役場の「井戸の深さの検査」を受ければすぐにでも使えるのです。

湧き水までは、山の斜面を這いながら約70メートル。高低差は15メートル。全部自分で掘ってから、業者に配管と、揚水ポンプの為の電線を埋設して貰った。(井戸は深さ3メートルで湧き水の出る砂礫層まで掘って貰った。)

その湧き水も、地元の人たちの話では「子供の時から飲んでいるし、農作業で喉が渇いたらフキの葉っぱを採ってきてクルッと巻いて水をすくって飲んだもんだ。」とのことなので水質も安心安心。もちろん私も土地を訪れるたびに手ですくってそのまま飲んでいた。

飲料水としての使用にあたっては、専門機関の検査を受けなければならないが、ここの場合は、「社団法人長野県労働基準協会連合会」という所で「環境計量」という水質検査を行ってもらった。その結果、飲み水としてなんの問題はなく、いまも安心して使わせていただいています。

原野やいなかの山中の土地を、たんに安いだけで購入すると、水の問題で苦労して、最終的には雨水をろ過して(それも悪いわけではありませんが)使わなければならないことや、井戸を掘っても煮沸しなければ飲めない場合もあるそうなので土地の選択には、水の確実な確保が第一の条件になります。
(つづく)


◆ ログハウスの冬のメンテナンス

最初に原村に建てたログハウスは、アーリアメリカンタイプのログハウスで、外も内もワイルドでとても感じの良い雰囲気のログハウスでした。

内壁は無塗装でピーリング(皮むき)した丸太がそのまま見えています。木の形なりに壁もでこぼこしているので、当然ホコリも余分にたまります。掃除をこまめに行わないと木肌がくすんできて後大変な作業になります。

今の角ログは、製材してあり壁は平面なので、その点掃除は楽々。積み重なっているログの間のスリット(つなぎ目のくぼみ)に溜まったホコリを掃除機でなぞりながら吸い込み、その後濡れた雑巾で壁全体を拭きます。

壁を拭くたびに木の香りが戻ってきます。部屋全体が木の香りに包まれ、しばらくは新築のあの木の香りで満たされるので、拭き掃除もこれならあまり苦になりません。


◆ 今週の知恵袋

この時期、里山では欠かせない作業があります。それは、この時期にしか出来ないキノコの菌を打つ原木の玉切り作業です。

11月中頃、葉がついたまま伐採して放置し、水分が抜けた今の時期に原木を切ります。長さは90〜100センチぐらい。地元の多くは3尺(91センチ)が標準の長さのようです

ほとんど自家用なので、2〜3本の楢の木を切れば十分な本数がとれます。ここの農家の人たちは共有林を分割して管理したり、自分の山林を所有している農家が大半で、原木の木は余るほどあります。(年々山の手入れをする農家が減ってきてはいますが…。)

今年は、借りている山の地主さんにも頼まれて、3軒分の木を切りました。コナラを7本、山桜を3本。原木にすると合計80本くらい。原木は、この後年末ぐらいまで組み上げておき、さらに乾燥させます。(その後コナラはシイタケ、山桜にはナメコの菌駒を打ちます。)


【編集後記】

メルマガを書いている地下の仕事場の窓から南アルプスの一部が見えます。町営の富士見パノラマスキー場も、ゲレンデ頂上付近には先日の雪も加勢して(人工降雪は毎日行っている)スキー・シーズンに向け準備万端。夜間は頂上から麓まで照明が星のようにキラキラと輝いていてとても綺麗です。(ここからは景色の邪魔にならない距離にあるので気になりません。)
深さ3.5mの浅井戸。数十年間一度も枯れたことがない湧き水の場所を掘り下げた。直径1mのヒューム管を3本つないである。常に2トン以上の水が溜まっている。
高低差は約15m。長さはおよそ70m、山の斜面を堀り、下の道路の横を60cmの深さで掘り進み、水道パイプ2本(予備含む)と動力と100Vの電線を埋め込む。

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