原村と富士見町の身近な自然の中で。
毎日のように野鳥や動物と出逢う環境にいるので、毎年同じような場所できままに観察できます。ここにある写真は野鳥や動物たちとの偶然の出逢いを納めたものです。
彼らは木が切られたり人間の気配がしたりなど、ちょっとした環境の変化にとても敏感です。そのつもりで構えて撮影すればもっと写りの良い写真が撮れるのでしょうが、特に調査や研究をしているわけでも写真集をつくるわけでもないのでお許し下さい。
シジュウカラとゴジュウカラの巣箱争奪戦(カラカラの巣箱争奪戦)
巣箱を部屋から見えるカラマツの木に、シジュウカラ用(勝手に私が思っているだけ)として1996年に観察のため一つだけ原村の自宅前に取り付けた。翌年早速予定どうりにシジュウカラが真新しい巣箱に入居。5羽のひなが孵り飛び立った。その翌春は、どういうわけか、シジュウカラとヒガラが同じ巣に餌を運び出入りしている。同じシジュウカラ科だから良いのかな?中ではもう雛が鳴いているというのに、いったいどちらの雛なのであろうか。シジュウカラの夫婦が主に巣作りをしていたのできっとシジュウカラの雛だと思うのだが…。結局、巣立ちの時に確認ができずどちらか判らずじまい。

1999年は取り付けていたシュロ縄が切れ巣箱が落ち、生んであったシジュウカラの卵は全壊。すぐに掛け直したがシジュウカラ夫婦は中を覗いてはいるものの寄りついてくれなかった。昨年の巣箱を掃除した時は気がつかなかったが、やはり巣箱は付けてはいけないのだろうか。反省することしきり。

2000年、一羽のゴジュウカラが、まだ冬なのに2月半ばから巣箱に出入りしている。入り口の穴が狭いのか、しきりに穴の周りをつっついている。中から外から逆さになったり横になったりして激しくつっついている。その音は、まるでキツツキのドラミングのようだ。一週間ほど毎日通い、とうとう少し大きな穴にしてしまった。

同じ年4月の初め頃からシジュウカラがその巣箱に入りはじめた。時々ゴジュウカラもシジュウカラがいない時を見はからって巣箱に入り、何かをくわえて出てくる。そのうち中に入ったまま入り口からどんどん巣箱のものを外に放りはじめた。シジュウカラが巣作りで集めた材料だ。そのうちシジュウカラが戻ってきて近くの枝にとまり、けげんそうな声で鳴いている。数羽のシジュウカラが戻ってきて険悪な雰囲気が漂う…。さて、この巣箱争奪戦の結果がどうなるか。

雪の積もった朝シジュウカラが新築の巣箱に最初に訪れた。
唐松の冬の葉芽とシジュウカラ
ゴジュウカラが様子を伺いに来た。ちょっと警戒している。
近くの唐松の枝にとまり何かを覗っているゴジュウカラ。
リスと松ぼっくり
この辺(原村)のホンドリスの主食は、標高が高いせいか、どんぐりではなく赤松や唐松の松笠の中にある種らしい。地元の人は戦争中の食糧難の時には唐松の種も食べたというがかなり小さい種だ。

まだ雪のない1999年暮れ、自宅裏の赤松の枝に、リスがちょっと大きめの赤松の実をくわえて一休みしているのを見た。しばらくすると、スルスルと地面に降り、実をくわえたままウロウロしている。そのうち、実を放り出し、松葉が積もっている場所に穴を横方向に掘り始めた。穴掘りは慣れたものらしく、いろいろ場所を探しまわり、ここと決めたところで最初に鼻をつっこみ、両手で穴を広げていく。そしてそこに松の実を埋めるのである。

埋める仕草もかわいらしい。小さな両手で松葉をかき集めるようにして穴に向けてかぶせている。後は鼻を使って一押しして終わる。小さな実の場合はそのまま押し込みながら埋めていく。この作業を4〜5回繰り返しどこかへ行ってしまった。


数日後、同じような光景を近くの茅野市の野営場で見た。日課になっている愛犬との朝の散歩の時にだ。林の中は何か動くとすぐわかる。愛犬も気がついたようでその方向を凝視している。「スワレ、マテ」をさせ、一人だけでそ〜っと近づいていった。

木枝の又の所で、松の実をくわえているがどうやら唐松の実のようだ。リスも気がついたようでそのままの姿でなかなか動かない。じっとして様子を見ていたが、やっと動いたかと思うと一歩進みまた止まる。そのうち愛犬が「スワレ、マテ」の命令を自分で勝手に解いてこちらにやって来た。リスはその瞬間急いで隣の唐松の木に登り動かなくなってしまった。これ以上長居は無用、私たちは林を出た。

貯蔵のための松の実をくわえたまま不動の姿勢。
貯蔵のための松の実をくわえたまま不動の姿勢。
警戒態勢の擬態?でもこちらにはすっかりばれている。
はやくどっかに行ってくれとでも言いたそうに目で訴えていた。
キセキレイの子育て
 1999年5月の始め、富士見町で建築中の家の基礎にキセキレイ夫婦が巣を作り始めた。地下部分にある排水口用に横に開けてある12センチの穴にわらや枯れ草を運び込んでいる。穴の奥行きは20センチで外側は板で塞いであり土に埋まっている。地上からは1メートルくらいの位置で、キセキレイにしてみれば格好の巣穴だ。

建設途中でまだログも3、4段しか積んでいないし、そのすぐ上に足場用の床根太を渡そうとしていた時期なのでちょっと困る。仕方ないのでその部分はしばらく諦めて、ログ積みに専念する。時折巣の様子を見るが上手い具合に完成したようである。穴からギュウと詰まったわらがはみ出し見えている。作業をしていると近くまで来て「チチーン、チチン。フィッ、フィッ。」とかなり高音で繰り返し鳴く。まだ巣の中の状態はわからないがしょっちゅう夫婦で出掛けていく。

こちらも彼等がいない時を見計らって、ガンガンゴンゴンと思いっきり音を出しながら作業を進める。数日後、飛び出してくるのが一羽になった。帰ってくると「フィッ、フィッ。」と鳴き、地下からも「フィッ、フィッ。」と鳴き返す。相手の所在を確かめているようである。オス(首の下が黒っぽい)を見ることが多いがメスもよく見るのでどうやら順番で卵を暖めているようだ。

ログも10段くらいになった頃、地下から雛の鳴き声がしはじめた。周りには餌になる虫が多い。近くの電線に留まり飛んでくる蝶や蛾を空中でみごとに捕らえる。また地面を歩き回り、飛び跳ねるバッタと同じ動きをしながら追いかけ、タイミングをつかんで捕獲する。そして一呼吸おいて巣穴に運ぶ。時々追いかけすぎて基礎の壁にバッタと一緒にぶつかることがある。みていて退屈しない。

約一ヶ月後の6月初め、朝来てみると近くの松林から「チチーン、チチン。フィッ、フィッ。」という例の鳴き声が複数聞こえる。キセキレイ夫婦だ。そばの枝には、やや間隔をあけて五羽の子どもたちがばらばらにとまっていた。しばらくすると親が飛び立ち、それをみた子どもたちも波形を描きながらにぎやかに飛び出した。

高い枯れ木の上で地面の虫の動きを追っている。
こちらの作業の様子をジッとみている。きみは現場監督か?
このときカラスが上空を横切ったが何も警戒していない。
カラスが鳴いたので少し緊張した様子だ。
何かと忙しい春の小鳥たち
春の高原は野鳥たちの囀りで一日がはじまる。寝起きには目覚まし替わりで爽やかに感じるときもあれば、窓を開けた目の前の木でまだ下手なウグイスやアカハラの囀りがはじまると耳をふさぐことも。

1999年〜2000年の冬はツグミやウソをよく見た。八ヶ岳は5月の半ばだというのに今年はまだ雪形が残っており明け方は肌寒い日もある。やっと芽吹き始めた低木ではシジュウカラやコガラ、ヒガラが、二〜三羽単位で飛び回りながら、エナガも時折混じり、白樺や唐松の冬芽からやや緑がかった蕾状の新芽や去年の松かさの中の種をついばんでいる。中には巣作り用の材料をくちばしにくわえた姿も見られる。唐松に掛けた巣箱にはどうやら今年はシジュウカラが勝利を収め巣を作り始めた様子で、時折中からカタコトと音がしている。

庭ではホオジロ、カワラヒワ、カシラダカ、キジバトたちが餌を探してウロウロしている。キジバトは朝陽が身体にあたって暫くしてからのんびりとヨチヨチ歩き始める。アカハラはすばやい動きで地面や苔をトントンと掘り返し餌をついばんでいる。ホオジロは雪の日でも毎日庭にやってきて、雪の中から餌を探していた。

今年は下の別荘地の大規模な間伐が冬中通してあったので、生来の安住の地を奪われた鳥や動物たちが上の方に追いやられたのでしょうか、めったに冬場は見かけないキジやヤマドリの姿も見かけることが多くありった。これから開発がはじまりいったい何処で暮らすのだろうかちょっと心配になる。

ツグミの求愛行動。
モズが枯れ枝で鳴いていた。
よく木のてっぺんで鳴いているホオジロ。
尾が長いので結構大きく見えるオナガ。
シジュウカラの群れによく混じっているエナガ。
人懐っこいホシガラス。でもカーァとは鳴かない。
羽の青がきれいなカケス。他の鳥の鳴き真似がうまい。
白樺によく似合うツグミ。
寒い日もなんのその今日はシソの実がごちそうだと言うウソ。
エナガの夫婦が山漆の実を食べていた。
朝は苦手?いつまでもボ〜ッとしているキジバト。
ここでは冬場珍しいキジのメス。がんばれ!
アカゲラの妙技
近くの唐松ではアカゲラがコツコツ木をつつき始めた。唐松の樹皮がポロポロとまだ枯れている笹の上に落ちてくる。アカゲラの次の目標は裏庭の少し古くなった椎茸のホダ木や薪。餌取りのため昨年暮れから毎日のように来るので、もうボロボロになっている。暫くすると、今度は家の丸太の柱に穴をあけ始めたのでその様子を見ていた。用心深い鳥でしょっちゅう首を廻し辺りを警戒しながら穴開け作業をしているが、目が合った途端、ギョッと一鳴きして飛び去っていった。

近辺の家の被害も多く、軒天や板壁には大きな音の響きと共に一時間もしないうちに穴があく。ログハウスの丸太はすぐに諦めて薄い破風板がよく狙われる。べつに巣穴というわけではなく、餌があるわけでもなく、穴あけが趣味なのか快感なのか分からないが、やたらと穴を開けまくっている。その対象物の選択基準もわからない。板壁に穴を開けられた家では夏に日本ミツバチの巣になっていた。以前唐松にも巣穴を開け暫くして巣を放棄した。中を覗くと周りが大量のカビと松ヤニに覆われていた。営巣には不向きだと出来てから判ったのでしょうか、その後だれも利用していない。

この辺のアカゲラが好んで巣を作るのが白樺の木。穴の位置はだいたい地上1〜2メートルの間で、中に雛がいるときは軽く木をトントンと叩くとそれに合わせて雛が鳴く。このいたずらは二回以上やると警戒されるので、注意深く一回だけ。話がそれたが、一度穴をあけられた白樺は、太さにもよるが大体2〜3年位で倒れる。その数年間はアカゲラをはじめゴジュウからやシジュウカラが順番にその穴によく巣を作くる。こんなアカゲラだが他の鳥たちや昆虫にとっては巣穴を供給してくれる便利屋さん。家の周りをトントンやられ、その響く音は室内にいると不気味なものがあるが、それもまた森の中の家なら仕方のない話、しばらくは大目にみましょうか。

頭上の鮮やかな赤がよく目立つアカゲラのオス。
手前の木にはメスの姿が。
凄まじい巣穴作り。激しさでカメラもぶれてしまいましたとさ。
時々穴の大きさを測りながら首を入れてみる。
鹿よけの春のオブジェ?
田植えが終わった春真っ盛りの5月の半ば、富士見の田端では今年も田圃のあちこち案山子(かかし)が現れた。季語で言えば案山子は秋の風情を飾るものだが、ここではそんな悠長なことは言ってられない死活問題なのだ。農家が毎年悩まされる田圃事件は、主に鹿の進入と、秋のイノシシの集団荒しである。イノシシの場合は被害甚大だが今回は鹿よけの案山子。

農家の話によると、田植えの終わったこの時期、近くの山からどこからとなく子鹿をつれた10数頭の集団がやってくると言う。鹿は田圃を荒らしに来るのではなく、走り廻って熱くなった足を水の張られた田圃に浸けて冷やしに来るのだそうだ。そのルートも毎年同じらしい。また狙われる田圃もだいたい同じである。

鹿はめったに苗を踏みつけないし苗も食べない。だからと言って何も手を打たないで習慣にさせてしまうと、田圃が足跡で穴だらけになってしまったり畦を壊されて田の管理が大変になると言う。そこで登場するのがこの案山子である。遠目にはあたかも人間がそこにいて作業をしているような動きのある格好をしている。風でクルクル回転する鏡を案山子の手にぶら下げてある。光の反射で脅かそうという技らしい。そばには石油ランプが小さなビニールハウスの中に入っており毎夜それに火を灯す。炎の動きも上手く研究してある。闇夜にボーっと浮かび上がる案山子は紛れもない人間の姿で、しかも炎の動きでわずかに動いているような錯覚さえ覚える。鏡はその光を反射して懐中電灯で照らしているようにも見える。昼間は愉快な姿だが夜は不気味な光景だ。

昨年は高さ2メートル余りのネットを田圃全体を囲った人がいた。毎年鹿が通行する田圃の持ち主だ。夏のある日、一頭の鹿がネットに絡んでしまい、グルグル巻きのまま田圃の中に入ってしまった。さあ大変!その田圃は稲をなぎ倒され半壊状態。鹿はネットを破りなんとか振り解こうと下の田圃へドボン。そして次の田圃へ…。さんざんのたうちまわり鹿はどうにか脱出できたようだが、さあ、後が大変。鹿に責任をとらせるわけにもいかないのでみんな一日がかりで稲おこしをして畦を直しネットをかたづけたと言う。その人は今年もまたネット張りで勝負するらしい。

向こう側が甲六川を挟んで山梨県。鹿や猿やイノシシたちの通り道になっている。
田圃に向かって指をさす案山子はルアーフィッシングをしている様にも見える。
田圃の中に何かを見つけた瞬間のような格好をしている、丸く見えるのが鏡で、三角テントがランプ入れ。
この案山子はへたってズボンが落ちてきた。なぜかさまざまな商品宣伝用ののぼり旗が立っている。
蝉の羽化(コエゾゼミ)
蝉と言うと一般にミンミンゼミやアブラゼミ、ヒグラシを思い出しますが、ここ原村では主にハルゼミ、エゾハルゼミそしてエゾゼミやコエゾゼミが主流で、おなじみの前記の蝉は全くお目(耳?)にかかりません。富士見町田端では逆に一般的な蝉が多くいます。

例年5月後半(2000年は5月30日に初鳴き)から耳が痛くなるほど鳴いている蝉はホソヒグラシの仲間であるハルゼミ属のハルゼミとエゾハルゼミ。その鳴き声はヒグラシのようにも聞こえ、また鳥やカエルの鳴き声のようにも聞こえます。「ミョーキン、ミョーシン」とか「ギョーキン、ギ、ギ、ギ、ギ、ギー」とか「ミョーキン、ケケケケ、ケ〜」のように鳴きます(わかりますか?)。ともかく、雨や暗い曇りの日を除いて、朝6時ころから鳥のさえずりに混じりながら徐々に鳴きはじめ、薄曇りでも陽を感じれば朝8時ころには最高潮に達し、そのまま夕方6時近くまでひっきりなしに集団で鳴いています。(ハルゼミは日照に影響されるようで太陽が陰ると鳴くのをやめます。)ピークの時は外にいると会話も聞き取りにくいほどの大合唱です。もちろん鳥の鳴き声もかき消されてしまいます。いったいどこからこんなに沢山の蝉が出てくるのでしょうか。大きさは4センチ前後で透き通った羽が美しい蝉です。夜に寝ぼけて落ちたのでしょうかそれとも寿命なのでしょうか朝になると道路や草むらでヨチヨチと歩いている姿をよくみかけます。

この羽化の写真は日本セミの会の会員の方によるとコエゾゼミだそうです。1996年の6月の終わり頃に偶然家の前の白樺の側の低木で羽化がはじまったものを記録しました。

迷い込んだやまね (2000.08)
冬眠鼠(やまね)その姿は鼠によく似ている。リスにも似ている。しかし日本の天然記念物。げっ歯目やまね科に属し、東北から九州の低山から亜高山帯に住んでいる。ここ長野県では「まりねずみ」とも言う。丸くなって寝る姿から名付けられたものらしい。冬眠するので冬眠鼠と書くようだ。

その短い物語は2000年8月28日の夜はじまった。
二階で仕事をしていると、居間で「わー!ぎゃー!」と言う声がきこえる。いそいで降りていくと、居間の階段から何か?が「ドサ!」という音と共に目の前に落ちてきて、ヨタヨタと隅のテーブルの下に入っていったという。
ネズミが大の苦手のが妻「ちょっと小さいネズミだ!」
私「ネズミはもっとすばしっこいぞ。」などと言いながら隠れた場所を探してみた。ライトをあててみるとネズミによく似た何か?がテーブルの足にセミのようにじっとしてつかまっている。何だか分からないのでそーっと手袋をはめ手を伸ばし捕まえた。簡単に掴まえることができた。
私「おおっ!やまねだ!」妻「??」
とても柔らかくて小さい。暴れることもなく静かに両掌の中に居る。大きさは7〜8センチ位、しっぽも7〜8センチ位はある。
写真だ!写真を撮ろう。「カメラ!」と言って少し手を開いたその瞬間やまねは、するっ〜、トン!と床に飛び降りた。しばらくログの壁と下駄箱の暗い隙間に身を潜め、その内ドアの隙間から地下へ行ってしまった。地下は食料庫。大人二人が半年は十分暮らせるほどの食料がいっぱい保管してある。小さいやまねなら何年暮らせるか?
妻は「ネズミの親類だ!何するかわからない」と大パニック。
狙われそうな穀物類や乾物を全部かたづけ戦闘準備態勢だ。以前一度ネズミに入られたのでかたづける手際がよい。
その夜中、二階の寝室で寝ていると暗闇の中でなにやらことこと音がする。
ポト、ドサ。カサカサ。電気を点けると、やまねが箪笥の上から壁に飛びかかっている最中だ。ポトは壁に当たる音。ドサはつかまれずに床に落ちた音。カサカサは床から箪笥に登って行く音。いつまでもやっている。今度こそと隅に追いつめ掴まえた。そして真夜中の記念写真。

庭に放してあげると、左足に登って来た。途中で人間だと気がついたのかぴょんと芝に降り、一呼吸してモコモコと走り?ながら近くのカラマツの陰に入り込んでいった。なんとのんびりとしたやまねなんだろう。初めてのやまねとの出逢いだった。

サル騒動とクック (2002.11)
今までは1頭の色の黒いハナレザルしか見たことがなかった。そのサルは時々出没する程度で、畑の作物をひどく荒らすことはなく、トウモロコシを1本とか、カボチャ1個だけというふうに、しかも一度には食べずに置いていき、数日かけて残りを食べるというちょっと変わったサルで、いつも静かに去って行った。その位なら別に気にはしていなかった。
8月の中頃から別の14、5頭の猿の集団が現れるようになった。半分収穫し残しておいた甘くておいしいトウモロコシは見事なまでにその集団に荒らされてしまった。トウモロコシは太くて実の一杯詰まったものを真っ先に食べ、茄子は皮を剥いでその中の白い種周りの部分を好んで食べるようだ。

9月、夏野菜を終えた畑には、未成長のトウモロコシやカボチャ、まだ採れる茄子、里芋、山芋、豆類などが収穫を待っていた。その日、キーキー言う鳴き声が聞こえる。デッキから下の畑を見るとサルが豆棚のところで必死に豆を採りながら食べていた。コラ〜ッ!と言うやいなや、サルはスッ〜と豆棚に隠れ、頭をちょこちょこ出してこちらを覗いている。とぼけたサルだな〜と思いながら周りを見ると、いるいる!40〜50頭だろうか、畑でゴソゴソと動いて漁っているのが見える。さあ大変。こんどこそ畑が全滅だ!

桃とクック(愛犬)を放し、一緒にサルを追い払うことになった。桃は猛ダッシュで集団に向かって行き吠えまくり、クックも小さいながらキャンキャン吠えながら追い払っている。川を越え向かいの林まで追っていった。そのうちサルはてんでんに木に登ったり山に入ったりでどうにか追い払ってしまった。これで一安心。

ふと気が付くと、桃とクックがいない。サルにやられたのか!必死にさがすがどこにも見あたらない。桃はすぐに林の中から現れた。桃と一緒にクックを捜すことになったが、桃はかなり興奮していてそれどころではないようだ。そのうち騒ぎを聞きつけた妻も一緒に二手に分かれて捜索。30分位捜したがどこにもいない。まさか遠くの県道に出たのかと思いながら私は県道方面へ。すると妻が「いたよ〜」と叫んでいる。一本道をクックが一生懸命こちらに向かって走ってくる。ああよかった!と心で思いながら平静さを装い、ご苦労様でしたと飛びついてくるクックをいつものように抱き上げた。

帰り道、川を越えようとして家の方を見ると、サルが家の斜面に作った階段と通路をぞろぞろ歩いている。子どもザルを背負った母サルも混じって今度は20〜30頭の集団だ。先ほどの仲間だろうか?こちらに気が付き、急に全員が立ち止まり私達の方をきょとんとしながら振り返った。よく見ると、ほとんどのサルが口にオレンジや黄色の小さなカボチャをくわえていた。一瞬言葉を失ったが、その間抜けな姿を見て大笑い。

サルの群れは一般的に50頭前後らしい。そしてその遊動域は10〜20キロ平米でおもに落葉広葉樹林で生活するという。ここの山には沢山の実があり、無防備な畑にはお手軽でおいしい食材が山のようにある。彼らの餌場として条件が充分揃っているのは確かなことだ。
トウモロコシを目当てに手前の畑にゆっくりと近づいてきた。
川向こうの茂みに隠れて何かを見張っているようだ。
美味そうに取り立てのトウモロコシを切り株の上で頬張っていた。
桃とクックに追われても木の上で悠々としている。
鹿とサルの謎 (2004.11)
ここ数年、鹿やサル、猪が多くなってきた。その増殖の理由は想像に値するが、それにしても近隣の農家からはいままであまりなかった農作物被害届が、多く出されているという。サルは南アルプスから国道20号を越えて侵入しているようで、今では近所の沢で冬越えをしているようだ。時々暖かい冬の日には集団で下の畑に押し寄せて、のびるなどの根を引っ張り出して食べている。

11月も半ば、裏の林が朝方からやけに騒々しい。またサルの集団がやってきた。どうやらこんどは旬を終えて収穫されずにそのままにしてある農作物や熟しはじめた柿が目当てのようだ。
サルは地域で追い出すという暗黙のルールがあるのでこのエリアに来たサルはロケット花火で脅かす事になっている。有志には無料でその花火が役場から地元へそして個人宅に配られる。

今年はサルも花火に馴れたせいか、以前は一目散に逃げたのが、花火の炸裂音を聞いても振り返りながら余裕でゆっくりと歩いて遠のいて行くようになった。こちらとしてもこの手が効かなくなると為す術が無くなるので、彼らを追いながら花火を打ち、故郷であろう国道方面に追いやっていった。

沢を下り、ちょっとした広いところで急に鹿が数頭出てきた。ジ〜ッとこちらを見たまま動かない。ちょうどサルの集団の中に身を投じた格好である。周りにはいま追っているサルの集団がうろうろしている。以前聞いた話では、鹿はサルがいると絶対に現れないとか、鹿を見ればサルはその近所には居ない、などの長老の話が頭を過ぎった。はて?この光景はなんなのか?ここの鹿はサルに驚くこともなく平然としているではないか。でも何故わざわざここに現れる必然性があるのだろうか?
 
そうこうしているうちに、鹿とサルの集団は仲良く丘を駆け上り何処かへと消えていった。偶然出くわしたとも考えにくい。なぜならそこは獣道ではないからだ。サルを助けに来たのだろうか?未だにその謎は解けていない。
この群れは田圃の真ん中で落ちた米もみを食べていたみたいに見えた。山を集団で駆けめぐるときは遠くから地響きが聞こえる。なにか気になる事があると急にとまる。そしてこちらを凝視してしばらくは動かない事が多い。ここでは有害鳥獣として駆除の対象動物である。2005年はニホンザルもその指定を受け駆除されている。
初めて見たオオマシコ (2006.12)
このオオマシコはシベリアやモンゴルからサハリンなどで夏を過ごしたあと中国東南部や朝鮮半島そして日本にまでも越冬しに来るようですが日本に来るのはかなりの少数らしいようだ。見たことのある人も数少ないに違いなく私もはじめて本物をに出会えた。

以前原村でよく見かけたベニヒワやベニマシコの様にも見え、大きさも一回り大きくやけにふっくらとして太っているように見える。オスが1羽で、メス(たぶん)が3羽。朝早いので山に遮られて陽もあたってこない。オスは数十分の間、ヤマハギの枝に留まって、たぶん実だと思うが食べていた。メスは1羽がオスの傍らでじっとしていて他の2羽は近くの枝に留まったり地面に降りたりして忙しそうに何かをついばんでいた。

そのうち林の間から陽が射し込み、オオマシコ達を照らし出した。暫くして北側の松林に飛び去った。数日後、散歩途中にある近くの竹林で妻がオオマシコ達を見かけたそうだ。家の直ぐ近くに居るんですね。なんだか嬉しくなってきます。毎年ピンポイントで此の地区に来てくれればと願っています。
シイタケを食べる猿 (2007.01)
以前から不思議に思っていたことがやっと判明した。猿はシイタケを食べるとは聞いていたが、その現場を初めて目撃した。夕方近く西の外を見ていると、直ぐ下のシイタケのほだ木でなにやら動くものが!それは直ぐに猿と判ったが、いったい何をしているのかわからない。もうシイタケは採り尽くして無いはずなのだが。

よく観察していると、5〜6ミリくらいの初冬に出てきた出来損ないのシイタケを器用に剥がしては食べて居るではないか。全部たべても一個ぶんにはほど遠い。必死である。「オイ!」と声を掛けても、ちょっと振り向いただけで、また一生懸命に採っては食べている。他の多くの猿は下の畑でノビルや玉ネギの苗を食べているのだがこの一頭だけはここに陣取り、今日で全て食べ尽くす勢いだ。

数年前からどうも誰かがシイタケを採ってるように思えたが、犯人(猿)はこの猿だった。
鹿もシイタケを食べるが、その場合は喰跡がしっかりあり残りはホダ木にくっついたままである。
猿の場合は人間のように上手に剥がして食べて柄の石付き部分は棄てるようだ。
アカショウビンがやってきた (2012.06)
6月23日の早朝、いつもと違う鳥の鳴き声で目が覚めた。その時はまだ寝室の窓は閉めてあり他の小鳥達の声は小さく聞こえほとんど室内には聞こえてこない。しかし、その大きな囀りは二重の窓ガラスを通しても部屋中に聞こえてくる。窓を開けて聞いてみると、ピーキョロロロロと語尾が下がりながら次第に小さくなりながら囀っている。これは、紛れも無くアカショウビン!一昨年前の夏から、近くの県境を流れる川の周辺から時々鳴き声はしていたが、ここまで来るとは夢にも思っていなかった。家の直ぐ西の楢の木にとまり、暫く囀り、南に飛び去り、また戻ってくる。大きな赤い嘴、体もこの森には派手過ぎる色、赤というか濃いオレンジ色。
その後、毎年この時期6月の終わりから夏の半ばまで鳴き声だけは聞こえるが、遠くで舞う事はあるがその姿を間近で見ることはまだ無い。
畑を守るノスリ (2012.07)
富士見町の我が家の借りている畑は約1500平米、家から17メートル低いところにある。畑と繋がる南の奥2000平米は手入れがされた林がある。西側には道路を隔て三面張りの川が流れ、その向こうが緩やかな斜面て、こも約1500平米有り半分が野原で南奥半分が杉林だ。畑と野原は周りが木々で囲まれているが我が家からはよく見える。そこに現れるのがノスリ。個体の濃さの違いから数羽居るのではないかと思う。春から秋には枝にとまって畑の様子を覗いながら、時折舞い降りてモグラやネズミなどを捕獲する。冬も雪の中とまっていることもあるが狩りの様子はわからなかった。一時期モグラやネズミが少なくなり畑の被害も軽減した。ノスリは来なくなり、翌年また畑の被害が多くなってきた。するとノスリが現れまた狩りを始めた。カエルやヘビを銜えながら飛ぶ姿も見る。時折我が家の小鳥の餌場にいるシジュウカラなども襲いにくるが木々の枝が邪魔をしているので直ぐに諦めてしまう。
仲の良いアオゲラ夫婦 (2013.04.30)
畑に降りる枕木の階段にアオゲラの雄が飛んできました。山桜の花見をしているような感じで上空を見ています。よく見るとその先にはナラの木を登っている雌がいました。暫くして雌も雄の居る場所へ降りてきました。窓から覗いている私と目が合いますが警戒はするもののあまり気にしていない様子です。そのうち二羽で交互に枕木の横を激しい勢いで突っつきはじめました。すぐ隣に色々な昆虫が生息しているコンポストがあるのに、それを横目で見ながらの作業です。暫くして白っぽい幼虫のような虫を引き吊り出しました。餌になる虫がどこにいるのか判るのは経験からなのでしょうか。それにしても凄い感ですね。よくわかるものだと感心したのは言うまでも有りません。
青いアマガエル (2015.08.09)
畑西側の緩やかな斜面を草刈りしていたときです。バッタやカナヘビやカエルが沢山居るところなので注意しながら草刈り機で伸び茂った草を刈り払っていました。中程まで行ったところで緑色のカエルに混じって青いカエルが草をよじ登りながら逃げています。2センチあるかどうかの小さなカエルです。エンジンを止め手のひらに載せ観察しました。右の則腹ぶぶんが緑色があり全体には青くはありませんが、まさしくアルビノです。始めて見たので写真を撮るため家に持ち帰りました。他のカエルがいつも居るデッキの植木鉢に放して写真を撮りました。そして、餌となる虫たちが多くくる庭の茂みに放ちました。
後日、情報を聞きつけた愛好家が庭を探し回り見つけ出し、しばらく飼育したいとのことで持ち帰りました。
一年後だんだん色が取れてきたようで、今は黒っぽいカエルになったそうです。
ヤマボウシを食べるホンドテン (2017.08)
我が家の薪小屋あたりに数年前からホンドテンが住み着いています。と言っても一年中居るのでは無く長いときは2週間ぐらい、居なくなると数ヶ月は姿が見えませんのでどうやら別荘のようです。
駐車場にあるヤマボウシが赤く色づいた実を落とし始めた8月の終わり頃、昼間なのに突然現れました。そしてヤマボウシの実を一つ一つ確認しながら気に入った実を選んで食べ始めました。しばらくしてデッキで見ている私に気がつき、目と目が合い、そのまま動きません。30秒ぐらいの間でしたが怪訝そうな顔をしながら林の中に消え去りました。
数日後、薪小屋の中に現れました。薪小屋の横の枝を入れてある小さな小屋の屋根には糞が毎日のようにあります。いつも始末しているのですが一向に納まりません。薪を整理しているときその奥にひょっこりと姿を現しました。私との距離は1メートルも離れていないところです。じっと見つめられてしまったので「こんにちは、糞は山の中でしてくれ」と声を掛けましたが、首を出したり引っ込めたりしながら斜面を駆け抜けていきました。きっとまた屋根に糞をするのでしょうね。

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