今、高校バレーが熱い!
78%KAKEGAWA Vol.73 1986年4月号掲載
2校に注がれる熱い眼差し
2月9日、11日に県営草薙体育館で行われた、県高校新人バレーボール大会で、掛川工業高校(以下掛工)と、掛川東高校(以下掛東)のバレー部が見事!優勝した。

掛東のバレー部は長い伝統を持ちながらも。今大会が初優勝ということで、喜びもまた大きい。一方、掛工は昭和53年(1978年)以来8年振りに3度目の優勝を果たした。しかも、今年は男子校である掛工と、女子校である掛東が同時に県大会で優勝したと言うことで、アベック優勝とも言われ、熱い注目を浴びている。

県高校新人バレーボール大会というのは、1年生と2年生だけが出場する大会で、3年生が入っていないことから新人バレーボール大会と言われている。

高校バレーボールは年に3つの大きな大会があるが、中でも今回の大会は春の全国高校バレーボール選抜優勝大会の予選も兼ね、一番華々しいというか、盛り上がりも大きく、春の選抜高校野球大会と同じ位の意味を持つそうである。

次に進む全国大会は、3月21日〜25日までの5日間行われる。勝ち進めば毎日一試合こなしていくことになる。この号が出る頃には結果も出ているはずだが、結果が良くても悪くても、精一杯頑張ったことに拍手を送りたい。

西部予選で5回、県大会で5回、合計10試合を勝ち抜いて、しかも2校揃って県の代表に選ばれたのである。それだけでも、充分輝かしいことである。

両校とも、今回は圧倒的な強さで勝ち進んでいった。県高校新人バレーボール大会の準決勝と決勝の対戦結果は次の通り。

男子準決勝 掛工 2(15-5 15-5)0 沼津工
男子決勝  掛工 2(15-8 15-7)0 下田北

女子準決勝 掛川東 2(15-7 15-2)0 藤枝南
女子決勝  掛川東 2(15-7 15-0)0 浜北西
全国大会に向け基礎練習に励んでいる掛東の選手達。
全国大会に向け練習試合に励んでいる掛工の選手達。
初優勝の快挙を遂げた掛東
今回の大会は、今年で17回目を迎える。しかし、掛東は長い伝統を持ちながらも一度も優勝したことがなく、今回の優勝がもたらした意味は大きい。その意味でも今後のバレー部にかなり大きな変化をもたらせるのではないだろうか。

しかし、昨年の秋に行われた県選手権大会では、掛工と共に優勝していたため、その時が本当の意味での初優勝ということで、秋の大会の方が感激は大きかったようである。そして、今回の大会では選手権大会での優勝が自信となったのか余裕さえ感じられた。

圧倒的な差で勝ち進んだせいか、決勝戦の時にも、どの選手も「勝つ自信があった」と言う。選手の中には「ボールが殆どこなくて、やったような気がしなかった」とか「相手の点数が低くてかわいそうだった」「もっといい試合をしたかった」という声も聞かれ、あっけない勝利に物足りなさも感じているようだ。

ここまで掛東が急激に伸びてきたのは、監督の西郷先生による攻撃主体の練習方法が大きく物を言っている。「それにはレシーブが上手くなければいけない」と、レシーブを重点的にやらされた選手にはかなりきつい練習であったが、そんな辛さも優勝して途端に消えてしまうものらしい。

「秋の県選手権大会で優勝したことによって、部員の表情が生き生きしてきたというか、自信がでてきたように感じるね。『もっとバレーを一生懸命やらにゃあいかん』とか、『やればこんな田舎の学校でもできるじゃないか』って思い始めたようですよ。秋の県選手権大会で優勝してから変わってきましたね。しっかりしてきました。もちろん勉強の方もね…。」と、西郷監督。掛工も一緒に優勝したということで、かなり心強く感じているようである。

しかし、今度の全国大会では、初戦から大変なチームと対戦することになった。毎年兵庫県の代表で出て来る氷上(ひかみ)高校である。全国大会でも何度か優勝したことがあると言う強豪校だ。

バレーに限らず、スポーツの場合、伝統のある学校には優れた選手が集まってくる。そう言った面では正直言って掛東は弱い。しかも相手チームは平均身長が175センチで掛東を5センチ上回る。それだけに県大会とは違ってやり甲斐のある試合が展開されるだろう。

「うちのチームのメンバーは、度胸があるし伸び伸びやってるからいいんじゃないか」と西郷監督。この言葉に大いに期待をかけよう。
掛川東高校バレー部の西郷巧監督。
悔いのない試合が出来れば
3年前に78%の「高校クラブ訪問」で、掛工のバレー部を取材したことがある。この時卒業を間近に控えた3年生が「僕らが中3の時やそれ以前は、ずっと全国大会に出場していたのに、ここ3年間一度も出場できなかったのが残念でたまりません。」と、悔しがっていたのを思い出す。

掛工のバレー部も、開校当時はごく普通の運動クラブとして活動していたが、11年程前に滝井先生が監督(現在は陸上部監督)となってからは俄然強くなってきた。部員達も監督の指導に応えるかのように厳しい練習に耐えていた。

3年前の取材の時には、1月に行われるインターハイに向けてお正月無しで練習した。「僕達にとってのお正月は、インターハイで優勝したときです。試合が終わって、練習してよかったと思えれば幸福です。」と、けなげな言葉が返ってきた。しかし、結果は無念の涙で見送ったようである。

あれから3年が経ち、今年は8年振りにしてようやく実現した全国大会出場を、当時の部員達はどんな気持ちでこの新人バレーボール大会優勝を祝ったのだろうか。

さて、掛工の場合も、初回の対戦相手が青森県の弘前高校で、過去17回の内15回も全国大会に出場しているという伝統校。現在は13回連続出場している。しかも、全国制覇を2回果たしている強豪校だ。

橋本監督も「初回から弘前高校だからねえ。遠方なので情報も入ってこないし実際にどの程度なのかも見ていないのでまるっきりわかりませんね。一回戦で名前負けしなければいいなという危惧はあります。それと、中学時代も含めて、過去に全国大会などという大きな大会に出場した選手がいないので、緊張しなければ良いなと思います。」と、心配は尽きない。

バレーボールは身長の差でかなりのハンディがつく。掛工の場合平均身長が178センチで、随分高いと思うが、これでも小型に近い中型だそうだ。今回出場校の中には平均187センチという高校もある。ここにも心配の種があるが、掛工は今回の新人バレーボール大会では、ミスが非常に少なかったと言うのが大方の見方である。ミスが少なければ勝ち進めるのではないだろうか。

「掛工のレギュラー選手の中には、昨年も出場している経験があるせいか、まとまっているというか。出来上がっちゃてるから、その分ミスが少なくて頑としてましたね。それが勝因につながったんじゃないでしょうか。」と橋本監督。

スポーツをしている人が、毎日の厳しいトレーニングに耐えて頑張れるのは、一途に「勝ちたい」という一念があるからだろう。3年間の高校生活で大会に出られるのはわずか数回。「どうしても勝ちたい!」という気持ちはよくわかる。そして、周囲からも期待を掛けられ持ち上げられる。しかし、それがプレッシャーとなって、本当の力が出し切れなかったら残念なことだ。

「ここまで来た以上、ああだこうだ言ってもしょうがないから、いままでやってきたことが全国大会に出ればいいですね。要するに悔いのない試合ができればいいと思いますね。どうしてもプレッシャーがかかって、実力の3割ぐらいしか出なくて、何しているのかわからないというチームも多いので、そうならないようにしたいと思います。」
掛川工業高校バレー部の橋本泰幸監督。
ガンバレッ!掛川勢
高校野球と違って、それ以外のスポーツは市民の盛り上がりは薄い。野球が異常という感じも受けるが、今回、県大会で優勝を果たしたバレー部員達も、少なからず不満を感じているようだ。

しかし、今回は掛工と掛東が揃って全国大会出場ということで、掛川市では初の市主催の激励会も行われたようである。県新人バレーボール大会優勝の当日には、市民の出迎えをお願いする公報も流れた。商店街や大型スーパーにも、垂れ幕や横断幕が掲げられた。しかも、国鉄掛川駅では応援のための特別割引切符も準備したと言う。

どんなスポーツでも勝った時の喜びは無上のものである。そして、本当の喜びは、厳しい練習に耐えてきた者だけが知っていることだと思う。私達は共に喜びを分かち合うことで、日頃の成果を評価してあげたいと思う。
掛川東高等学校バレー部選手紹介(敬称略)
Q1=「県大会で優勝した瞬間の気持ち」
Q2=「最後の試合で勝つなとの予感はあった?」
Q3=「全国大会に出場する心構え」
中村峰子(2年生・キャプテン)

・バレー歴9年/ポジション:レフトアタック/ジャンプ力:58cm
・体調:良好/性格:何事もしっかりやるタイプ
Q1:夢みたいでした。初めてのことなので…。
Q2:その前に県選手権で優勝していたので、今度も勝たなければいけないと…勝つ自信は多少ありました。
Q3:相手は身長が大きいようなので、雰囲気に負けないで、自信を持ってやりたいです。
溝口市子(2年生)

・バレー歴6年/ポジション:センター/ジャンプ力:50cm
・体調:まあまあ/性格:普段は凄くおっとりしているがいざとなると力を発揮する。
Q1:秋の大会の方が感激が大きかったですね。この前は殆ど活躍の場がなくて感激は少なかったです。
Q2:最初はちょっと不安でしたが、やり始めたら大丈夫という予感がありました。
Q3:自分のもっている力が精一杯出せれたらいいですね。
鈴木晶子(2年生)

・バレー歴9年/ポジション:セッター・ピンチサーバー/ジャンプ力:50cm
・体調:良好/性格:可愛い性格。はきはきしてしっかりしている。
Q1:秋の大会で勝った時の方が喜びは大きかったですね。
Q2:波に乗っていましたから、最後の試合の時には勝てると思いました。
Q3:ピンチサーバーというのは、ピンチの時にみんなを奮い立たせる役をするんです。だからコートの入るときにはなるべく騒ぐように心がけています。
山田京子(1年生)

・バレー歴8年/ポジション:レフトオーブン/ジャンプ力:54cm
・体調:きわめて良好/性格:典型的A型人間。神経質で真面目。
Q1:勝った瞬間、全国大会へ行けるんだなあって思ったら感激してしまいました。
Q2:負ける気はしませんでした。
Q3:精一杯やることだけです。
田宮利桂(1年生)

・バレー歴8年/ポジション:レフトオーブン/ジャンプ力:52cm
・体調:今は良好/性格:明るくてひょうきん。
Q1:勝った瞬間、一応やるべき事をやったから、嬉しかったですね。
Q2:初めは浜北西とは相性が悪いと思ったんだけど、やっている内にこれならいけると思った。
Q3:この前みたいな思いっ切ったプレーがしたい。
村松朋美(1年生)

・バレー歴8年/ポジション:セッター/ジャンプ力:50cm
・体調:だいたい良好/性格:おとなしいけど強気でなんでもやれる。
Q1:嬉しかったけど、あんまり活躍しなかったので物足りなかったですね。
Q2:勝つなと言う予感はありました。
Q3:持っている力を全部出して、アタッカーが打ちやすいようにトスを上げたいです。
萱野美保子(1年生)

・バレー歴4年/ポジション:補助アタッカー兼レシーバー/ジャンプ力:51cm
・体調:良好/性格:何でも精一杯努力する。
Q1:もちろん嬉しかったけど、殆どボールが来なくてやったような気がしなかった。
Q2:終わってからじわじわと実感が湧いてきた。
Q3:自分はレシーバーでもあるし、強打をひとつでも多く取るのが目標。恥ずかしい負け方はしたくないですね。
榛葉まゆみ(2年生)

・バレー歴6年/ポジション:補助アタッカー・レシーバー/ジャンプ力:54cm
・体調:良好/性格:やる時にはやるけど心配性のところがあってやたら悩んでいる。
Q1:たくさんいる中でベンチに入らせてもらってすごく感激です。
Q2:ベンチから見ていて他のチームと比べて、大丈夫だと思っていました。
Q3:大声を上げて盛り上げてあげたいですね。
鈴木規恵子(2年生)

・バレー歴8年/ポジション:ライトアタック/ジャンプ力:58cm
・体調:良好/性格:あまり物事にこだわらない。
Q1:勝った瞬間は、もう感激でしたね。だけど相手の点数がかわいそうでした。もっといい試合をしたかったですね。
Q2:勝つと思いました。
Q3:これからの練習を精一杯やっていきたいですね。
石亀晴子(1年生)

・バレー歴7年/ポジション:レフトレシーブ/ジャンプ力:50cm
・体調:絶好調/性格:控えめで先輩を立てる可愛い性格。
Q1:涙が出て来ました。うれしくて…。
Q2:勝つんじゃないかと思いました。
Q3:自分の精一杯の力出して頑張りたいですね。
堀内洋見(2年生)

・バレー歴8年/ポジション:レシーバー/ジャンプ力:?cm
・体調:ちょっと太めだけど大丈夫/性格:まじめ。
Q1:レギュラーの人達が、これだけ頑張ったんだからと、改めて12番の責任を感じました。
Q2:アタッカーが揃っていますからね。
Q3:いつでも助けられるように、レギュラー以上に緊張してやらなければいけないと思っています。
掛川工業高等学校バレー部選手紹介(敬称略)
Q1=「県大会で優勝した瞬間の気持ち」
Q2=「最後の試合で勝つなとの予感はあった?」
Q3=「全国大会に出場する心構え」
川村英次(2年生・キャプテン)

・バレー歴5年/ポジション:セッター/ジャンプ力:69cm
・体調:バッチリです
Q1:嬉しかったです。
Q2:一応予想通りでした。最初から優勝するつもりでやってましたから。
Q3:自分の役割を果たして、キャプテンとしてチームを引っ張っていきたいです。
元場貴哉(2年生)

・バレー歴5年/ポジション:エースアタッカー/ジャンプ力:70cm
・体調:だいたい良いです。
Q1:自分自身、全国大会へ出たかったので嬉しかったです。
Q2:負ける気はしなかったです。
Q3:一戦一戦、全力でぶつかっていきます。
佐野 誠(2年生)

・バレー歴-年/ポジション:センター/ジャンプ力:74cm
・体調:ベストじゃないけど普通です。
Q1:練習の成果が出たと思いました。
Q2:勝つ自信はありましたね。
Q3:一戦一戦、大事にして日頃やってきたことを出し切って行きたいです。
鈴木雅久(2年生)

・バレー歴5年/ポジション:セッター対角/ジャンプ力:63cm
・体調:いいです。
Q1:やっと東京へ行けると思いました。
Q2:
Q3:一試合一試合、声を出して頑張りたいと思います。
佐藤謙二(2年生)

・バレー歴5年/ポジション:補助アタッカー/ジャンプ力:80cm
・体調:良好
Q1:やっと全国大会へ出れると思いました。
Q2:勝てるとおもっていました。
Q3:自分の役割を果たして、一戦一戦ベストを尽くしたい。
曽根 康(2年生)

・バレー歴-年/ポジション:ウラエース/ジャンプ力:70cm
・体調:良いです。
Q1:一年の時から優勝を狙っていたのですごく嬉しかったですね。
Q2:
Q3:チームの目標がベスト8だもんで、それに向かって頑張りたいです。
遠藤一也(1年生)

・バレー歴4年/ポジション:セッター対角/ジャンプ力:76cm
・体調:いいんですけど、右手ケガしてる。
Q1:最高でした。
Q2:
Q3:自分の役割をしっかりやるっていうことですね。
千葉 巧(1年生)

・バレー歴3年/ポジション:セッター対角/ジャンプ力:63cm
・体調:いいです。
Q1:嬉しかったですね。
Q2:勝つと思いました。
Q3:がんばります。
飯田和司(2年生)

・バレー歴-年/ポジション:レシーブ/ジャンプ力:70cm
・体調:きわめて健康です。
Q1:嬉しかった。
Q2:
Q3:代表で出るもんでがんばってやっていきたい。
服部誠寿(1年生)

・バレー歴-年/ポジション:レフト/ジャンプ力:66cm
・体調:今はちょっとお腹の調子が良くない。
Q1:自分が番地に入ってて、優勝してくれたもんで感動しました。
Q2:
Q3:初めてだもんで、周りのいい選手のプレーなんか見て勉強したい。
小嶋規泰(1年生)

・バレー歴4年/ポジション:レシーバー/ジャンプ力:-cm
・体調:いいです。
Q1:嬉しかったです。
Q2:
Q3:一戦一戦、思い切りやってきたいです。
勾坂昌彦(1年生)

・バレー歴-年/ポジション:レシーバー/ジャンプ力:70cm
・体調:健康です。
Q1:とにかく嬉しかったです。
Q2:勝つという予感はありました。
Q3:とにかく頑張ります。