高校生と祭り
78%KAKEGAWA Vol.68 1985年11月号掲載
高校生の祭り参加の是非が問われ続けている中で、今年も4年に一度(正式には3年に一度)の掛川大祭りが終わった。地元に産まれ育った人達にとって、この祭典は無上の楽しみなのだろう。掛川に産まれ育ったわけではないけれど、何となくその気持ちがわかるような気がする。その反面、年々祭り本来の姿から外れて、ただ騒ぐだけの祭典で終わってしまっているのではないかという疑問も出て来る。

高校生の祭り参加については賛否両論で、いろいろな意見があると思うが、祭り本来の伝統芸能の継承という観点から見れば、20年近くも参加が禁止されているというのもおかしな話しである。

祭りは高校生だけで企画しているものではなく、市民の半数以上の大人達が参加している中で、しかも高校生達の親も参加している。本来なら、大人の達の観点からすれば、親も大人もいるこれ以上安心して参加させられる場所はないと思われるのだが…。「祭り」って一体なんだろうか。
30年振りに復帰した渡御(おわたり)
掛川祭りは終戦直後まで龍尾神社と神明宮と利神社の氏子がそれぞれに分かれて行なっていた。龍尾神社では昭和29年(1954年)頃までは、氏子が屋台を曳いて御神輿を迎えに来たが、国道一号線の通行量が激しくなり、危険だということで、それ以降途切れてしまった。それと同時に、大祭りの時しか出なかった屋台が、小祭りの時にも出るようになり、大祭りも小祭りも大差ないほど盛大になってきた。

なぜ大祭りが4年に一度かというと、閏年(うるうどし)が4年に一度なので、それにかけて「うるおう年」からそうなったという説もある。祭りを行うには経済的な負担も大きい。大祭り前の2年間は獅子の余興だけで質素に行い、大祭りの時には屋台を曳き廻して盛大に行ったようである。

大祭りの時には、屋台で神社の前まで神様を迎えに行き、行列を組んで渡御(神様が御神輿に乗って出発すること)をした。龍尾神社の場合、先導役がかんからまち、その後に御神輿、次に奴道中、各町内の屋台の順に行列を組み、市内に繰り出して行った。

この時に龍尾神社の中では、10月10日の10時に、毎年同じ条件のもとで、普段は開けられることのない神社の一番奥の扉を開け、神様に世の中を見ていただくという儀式も行われる。

全国の祭りのほとんどが、五穀豊穣を祈って行われてきた。今でこそ有り余るほどのお米が出来、農家の人達は減反まで強いられているが、米作が伝わってきて以来、いつも不足していたのが実状で、貧しい家では粟やヒエ、麦などを常食としていた。お米の豊作や不作によって、その1年の明暗が分かれるくらい重要なものであったから、豊作は全ての人々の願いであった。それだけに、神事に対する姿勢も真剣そのものであったと思われる。
高校生のパワーが欲しい
このように祭りは五穀豊穣を祈るために行われてきたが、それが徐々に変化してきたのは、物や社会が豊かになってきたからだろう。ところが、最近になって「屋台を曳き廻わすだけでは意味が違うんじゃないか」という声が強くなり、今年は実に30年振りに「渡御」が再現されたという。かんからまちを先導に御神輿、奴道中、18台の屋台が行列を組み、市内に繰り出す様はさぞ壮観であったろう。

現在の祭りに多少なりとも疑問を持ちだした人々が出て来たことにより、伝統を継承する祭り本来の姿に戻りつつあるのではないだろうか。そこには、昔なら村民や町民が誰もが全員で参加する祭りだった姿が、現在に再び甦る光景も浮かんでくる。

「年々、青年衆が少なくなっている中で、伝統芸能の伝承と言うことでも、高校生のあのパワーはどうしても欲しい。青年の衆は(祭りの御神酒で)酔っているようでもしっかりしてるんだから、何かあれば青年衆が黙ってない。高校生よりも、おじさまやおばさま族の面倒を見る方がもっと大変なんだから…。」と、仁藤のある店主は語っていた。

高校生の祭り参加禁止…龍尾神社の思い
「磐田の裸祭りは、今年から高校生も参加出来るようになったそうですね。伝統的なものを残していくには後継者が必要で、大人が『高校生を監督する』という条件で、長い間学校側と話し合って許可が下りたそうです。裸祭りは真夜中にやるお祭りなんですが、深夜になっても高校生の見学者や参加している高校生が大勢いたそうです。」

「掛川の場合は、飲酒ということが学校側の考えの中に強くあると思うんですが、それが本当に監督できるということになれば、学校側も考えてくれるんじゃないかと思うが、その辺がまだ掛川の場合、磐田ほどいってないと言うことでしょうね。お祭りにはどうしてもお酒がつきものですし、高校生にしてみれば未知の世界に対する憧れというか、体験してみたいという気持ちが強いと思いますから、今のところ、高校生を監督して、そういうことのないように周りで気をつけて、お祭りに参加させようじゃないかという気分は、まだ掛川にはないみたいですね。」

「磐田がそういう風になってきたから、行く行くは掛川もそういう風な考えが持ち上がってくるかもしれませんが…。個人的な考えを述べると、先生と生徒、教育関係と地域の信頼関係が出来て、みんながルールを守ってやれるようになった時のお祭りというのは、素晴らしいでしょうね。学校教育、家庭教育の接点が、お祭りによって出来れば本当に素晴らしいことだと思います。」
10月9日の祭典最中に仁藤で火災が発生した。当日だけ仁藤は祭典を見合わせた。
火災発生の知らせで大勢が押しかける。
男子高校生はどう受けとめているのか…
78%:祭り参加禁止についてどう思う?

A,B,C君:(声を揃えて)別に出たって良いと思う。

A君:問題を起こさないようにすれば…。

78%:学校はどういう理由で禁止しているわけ?

B君:お酒を飲まされたり、たばこやれとかすすめられて、覚えちゃう…。

A君:有職青年とのつき合いが…。

B君:悪、悪の仲間入り…。周りに大人がいても、みんな酔払ってるもんで、いいわいいわになっちゃう。

A君:高校生だもんで、雰囲気に流されちゃうんですよね。「飲め!」って言われば「はい、飲みます!」ていう場合もあるし、何かと(気構えや心の中が)不安定な時期だもんで…。

78%:それは自分自身で意識しているわけですね。

A君:そうですね。

78%:だから、参加禁止もやむを得ないと…。

A君:まあ、そう言う見方で見ればそうですけど、祭り本来の見方をすれば、そうすぐに悪い方へ向かっていくとは思えない。みんなで楽しくやれればいいんじゃないかな。

C君:祭りは本来、騒ぐもんだもんで…。高校生って言えば一番パワーのある時だし、行き過ぎに注意すればいい。本人が自覚するしかない。

A君:抑制出来ないのが高校生。

78%:お祭りって何だと思う?

A君:米の豊作とかそういうのを祈った。

C君:僕らんね、日頃の恨みとか悲しみとか不満を発散させるちゅうか、そういった感じ。

78%:高校生にしてみればそういうことになるわけね。ところで、近所の人とか家の人は「祭りに出ろ」って言わない?

B君:それは言わない。

C君:高校へ行ったら言わなくなった。学校の先生なんか出てるのに、僕らに出ちゃあいかんって言う。汚い。

B君:僕らのとこに高校の先生が3人もいるけど、出ても何も言わないで、知らん顔している。

78%:ところで、お祭りは全然出ないの?

B君:僕は出てるけんがね。僕らんとこすごい田舎だもんで、出てもわからん。先生なんか酒すすめてくるもん。

78%:自分の行っている学校の先生?

B君:ううん、浜松。

78%:何か学校に訴えたいことは?

C君:やっぱねえ、出すしかない。

78%:当日は補導員の人も出るの?

C君:家のお父さんは今年補導員で…。自分の親が補導員で子が悪いこと…祭り出たりしてつかまると親の顔がつぶれるもんで、やっぱ出れないとこもあるんだよね。

78%:父親はなんて言ってる?

C君:出ては良いとは言わないけど。祭りの時はお酒ぐらい飲んでも良い。だけど家から外に出るなって…。家の中で飲むならいくら飲んでも良いって…。(これが実態だ。)

78%:それじゃあ家にいても外に出ても同じじゃない。お酒飲んだりタバコを禁止してるんでしょ?!ところで、当日家にじっとしていられる?

B君:慣れた…。だけど授業中なんか、どっかから(太鼓を打つように)机をカタカタやる音が聞こえてくる。

C君:そうそう、笛の音なんか聞こえてくるとね。

A君:小学校や中学の時は出てもいいって言うか、ほとんど出なきゃいけないような雰囲気だったもんでね。

78%:授業中なんかみんなソワソワしているわけ?

A、C君:笛の音が聞こえてくると、居眠りしている奴がいきなり起き出して、(笛に合わせて)机を一緒に叩いている。

78%:友達なんかで祭りに参加している人は居る?

C君:掛川の子で出てるっていうと、やっぱり学校が清水とか浜松とか、遠いとこへ通っている衆はわからんもんで出る。

B君:それと、田舎の衆ね。

A君:掛工はあんまり厳しくない方だよね。だって去年の3年生なんか出てた…。学校へ来て声がガラガラになってたけど、先生に何にも言われなかった見たい。



2日目はまだ盛り上がりが足りない?。
昼間の屋台もいいけど、やはり夜の電飾で飾られた方が祭りらしさを感じる。
道路に座り込んで次の合図を待つ。
駅前通りの交差点。
小学生や中学生達は疲れた顔をしながらも祭りを楽しんでいる様子。
小さな子はお父さんに抱かれながら祭りに参加していた。
これから祭り見物だ!
中町と西町の交差点で所在なげに見物していた20才の女の子。胸のタトゥーはシールです。
屋台の鉄火太鼓が鳴り響き祭りは最高潮になる。
女子高校生は…
祭り見物に来ていた高校2年生の女子に伺いました。

78%:どこから来ました。

Mさん:桜木。

78%:お祭りは参加出来ないんでしょ?

Mさん:なんかねえ、父兄もね、お祭りに出なくても陰でお酒飲んでる子もいるんだから、禁止するからそうするんであって、本当は堂々と出して(参加させて)「お酒飲んじゃだめだよ」って言えば良いって言っている。学校が考えてる程悪いことは起こらないと思う。

78%:だけど、父兄が出すなって言っているんでしょ?

Mさん:それは聞いたことない。他の学校だと、学校が禁止すると父兄から出してって言っているって聞いたことあるけど…。私らがこっそり出ると、父兄の中には密告する人もいるけどね。

78%:父兄の中でも賛成派と反対派に分かれるわけ?

Mさん:そう…。

78%:お祭りの時は見学ならどこまで許されている?

Mさん:父兄同伴で9時までなら外出しても良い。

78%:今日は父兄は?

Mさん:だって、親はお祭り出ちゃってるもん。
私達も祭りに参加したいね」とでも話しているのかな。
祭り最終日は人も屋台も盛り上がる。この屋台は掛川最古の喜町の屋台。
駅通りの交差点に屋台が集まってくる。
掛工の生徒指導の先生は…
78%:高校生の祭り参加が禁止されていますが、どういう理由から禁止されたんでしょうか?

先生:以前ですねえ、かなり前になるんですが、高校生も参加してたんです。地元のことですし、そういう文化的なことに参加することは意義があるもんですからやったんですが、飲酒、喫煙、それから暴力事件がありましてね。酔っ払った高校生が一升瓶で一般の人をキズつけたということがありまして、それが結構2〜3年続きましてですね。

一つは父兄から何とかならないかという依頼がありまして、オートバイにしても何にしてもそうなんですが、学校で禁止してくれると有難いという意向があったわけなんです。地元の方々もそれについては非常に心配していまして…。

まあ、一番情緒が不安定な時期でもあり、お祭りというのはひとつの雰囲気を持っているもんですから、そういう雰囲気にのまれてしまって、逸脱した行為をしがちであると…。

(現在は)地元の方々から「高校生を出したらどうか」という話しもあるんですが、周りが皆さん酔っ払ってるわけですね。皆さんが何も飲まずに子ども達(高校生)の面倒を見てくれるんならいいんですけど、皆が飲んでて、子ども達の指導は出来ないだろうと判断して、(学校にいる)3年間は我慢させるということも、ひとつの教育的な事ではないかということで…。

私なんかも地元で育ちましたから、お祭りの味は良くわかっているんですけど、子ども達がそういうことになっても自分自身もつまらないから…。確かに中学まで許可してて、高校に入ってからダメだということについては、残念な思いも有るかもしれないが、3年間我慢してやってもらいたいという形で、私共では指導しております。

78%:いつ頃から禁止になったんですか?

先生:もう、かなり前になるんじゃないですか。私がここに来て13年になりますが、その時はもう禁止されていましたから…。私が高校生の時の昭和39年(1964年)はよかったので、その後ですね。

78%:例えば、地区の自治会で申請すれば許可がもらえるんでしょうか?

先生:一つの地域で「私の所は大丈夫だから出してくれ」と言っても、やっぱり全体に影響することだもんですから、全ての自治会が同じ歩調でやらなければ、生徒指導に差がつきますから許可はいたしません。

特例としては、文化的に囃子などで無形文化財などの継承という形で修行してきた子を借りたいというお話しがあれば許可をしたということはあります。それも毎年1人くらいで今年は一人もいませんでした。それ以外は全部許可をしておりません。
肴町、西町の屋台がゆっくり通る。見物人も徐々に増えてきた。
喜町の女衆には編集室のスタッフが混じり込んでいた。
中町の出囃子には男の子2人。
中央一丁目の出囃子は女の子2人。
掛西の生徒指導の先生は…
78%:高校生の祭り参加が禁止されていますが、これは静岡県下全ての高校が禁止されているんでしょうか?

先生:一応そうなっていると思いますが、我々はこの西部地区を主体に考えておりますが…。ここは西部地区になるんですが、全部禁止です。このことについてはいろいろと問題があって、すべての高校が、どの地域でも画一的にできるようにならないと、これは難しいもんですから、その辺でまだ時期尚早という観点に立っています。

78%:生徒が、例えば違反した場合にどういう処分がされるんでしょう?

先生:それは学校によって異なります。しかし、処分うんぬんよりも、決められたことは守らなければいけないですから…。処分の内容などについては、やはり学校外に話すということは、ちょっと差し控えたいと思います。これはやはり誤解を招きますから、その辺はどうかご賢察ください。

78%:この参加禁止はこれからもずっと続くんでしょうか?

先生:先ほども言いましたように、現段階では時期尚早というふうに考えます。掛西関係については、父兄の理解は全部得ております。ただし、他の学校についてはそれぞれにやっておりますから…。これは一校だけというわけにいきませんからね。

この前もPTAの会長さんが言っておりましたけど、祭りをやる方も高校生の受け入れ態勢を「自分達もこうするから」という、いろいろな改善策を示すことも必要ではないかと言われておりました。あなた方も含めてみなさん、屋台とかそういうことのみを祭りの対象にいたしますが、祭りの行われる側面的なことも含めて考えていただきたいと思います。

いますぐどうのこうのと言うのは、なかなか難しい問題で、時がいろんな形で浄化っていいますか、そういう形になって解決していく問題ではないかと思います。現在のところ、環境その他の相関関係で成り立ってくるという、そんな考えでおります。
西町の出囃子には男の子2人。
西町の屋台も加わり駅通りには31の屋台が勢揃いした。
10月10日、仁藤の大獅子が新番組「ニュースステーション」で放映される。皆さん準備中。
市の教育委員会は…
78%:高校生の祭り参加が禁止されていますが、教育委員会としてはどの様に考えていますか?

教育:掛川市の教育委員会は、幼稚園、小学校、中学校の関係をやっておりましてね、高校、いわゆる県立の方は県の教育委員会の管轄です。だからお祭り参加についても、高校の中に連絡協議会というのがありまして、警察とか諸管轄でやっているようですが、直接教育委員会はノータッチです。
(ちなみに警察署については、祭典当日掛川警察署が設営している警備本部に行って取材を申し込んだところ、警察ではそういうことには全く関与していないとのことでした。)

78%:中学生も参加出来ないという様なことを聞いたんですが?

教育:小学生や中学生は参加していますよ。郷土の行事に参加するということで…。

78%:高校生の参加禁止についての見解をお聞きしたいのですが?

教育:まあ、高校の方は高校の考え方でやっているもんだから、それに対してこっちがやった方がいいとか、中止した方がいいという意見は、言うだけの立場にもないですしね。まあ、それはそれなりの内容をもって、禁止した方が健全育成の立場からいいということでやっていると思いますよ。

78%:お祭りに参加することが健全教育に反するということですか?

教育:それは、今言ったように、小中学校の方は、郷土の祭りに参加するという立場でいいではないかと言うことで、教育委員会も賛同してやってるわけです。

78%:ところで、祭り本来の意味とか目的というのはどういうことなんでしょうか?

教育:そうですねえ、難しく言えば神社の祭典ということでしょう、一番の元は…。それを氏子として参加するということですから、小・中学校の(生徒)中でも、他の宗教を信じている人には意味が無いとして、参加しない子どもさんもいるでしょうしね。ですから。教育委員会としては、祭りに全員参加しろとは言えないです。郷土のいわゆる親睦とか、いろいろな条件が挙がるでしょう。そのためにみんなが総参加でやっているということでしょうね。

座る位置を並べ替えたり大騒ぎ。カメラリハも終わり、大獅子も後ろで目だけを覗かせる。
静かだな〜いよいよ本番、3、2,1…。
放映開始。張り切っていた割には放映時間は短かった。
もうすぐ9時。大祭りも終わりに近づいた。
見物していた男性は…(連雀にて、30才ぐらい)
78%:高校生の祭り参加が禁止されていますが、それについてどう思われますか?

男性:僕はいいんじゃないかと思います。

78%:その理由は?

男性:別に理由はないんだけど、みんなのお祭りだからね。趣旨も氏子のお祭りだってことだから、反対する方がおかしいんじゃないかと思いますね。僕らも出たしね。

78%:当時も禁止されてたんですか?

男性:いやあ、その時は禁止されてなかったですねぇ。地元の学校の人達も公然と出てましたから…。

78%:因みに、高校生の時には祭りでお酒飲みました?

男性:飲みましたねぇ。
屋台は纏まりを解きそれぞれの町内に向かう。
9時を過ぎてもまだまだ盛り上がる。
年番本部では…(松尾町・城内・北門の3町)
78%:高校生の祭り参加が禁止について、どのような考えを持っているのかお聞きしたいんですが?

年番:今のところ、高校生に対して高校生の姿勢というようなものがわからないしね。青年も高校生の面倒を見る所までいってないように思われるので、やむを得ないんじゃないかと思います。高校生の方の自覚とかね、祭典に参加しても正常に祭典だけ参加してるなら、いいんですけど。

78%:昔はどうだったんでしょうか?

年番:僕が高校生の時にはすでに出れなかったですけでねえ。

78%:何年ぐらい前ですか?

年番:今34才ですから、18年位前ですか。

78%:その時は出なかったんですか?

年番:出なかった…と言えば、あれですけど…。

78%:ご自分の町内で高校生は出ていますか?

年番:出てないと思いますけどね…。

78%:出られないのもやむを得ない?

年番:まあ、高校生の自覚の問題と、学校側の姿勢などいろいろ難しい問題があると思いますけどねえ。

78%:ご自分の時にはやはり、出たくてウズウズしてた?

年番:そうですね、自分の時は…。だけどね、お祭りというのはバカ騒ぎみたいなことをしているんですけども、一応規律に則って運営していくもんですから、高校生が参加できないという取り決めがある以上は、それに従っていくわけですね。

78%:高校生を見つけたときどういう処置をします?

年番:まあ、僕は今のところ見つけたことがないのでね…。
あとがき

地元の祭りに参加出来ないために、地元以外の町の祭りに参加している高校生も多い。地元の祭りなら親や近所の大人がいるからまだ安心できる面もあるが、それをわざわざ目の届かない他の町に追い出しているのである。

大人も子どももそうだけど、「旅の恥はかきすて」みたいな所があり、知らない土地なら何だって出来るという心理的作用が働く。そう言うときに大きな問題を起こすのではないだろうか。

いくら大人が酒を飲んでいても、その中にはしっかりしている人は何人かいるもので、目に余る行動をすれば、顔見知りの地元の人なら注意してくれるはずであり、そう信じたい。

「授業を中止して祭り見物をさせてやりたい」と言った先生もいれば、祭りに参加したのが見つかり自宅謹慎させられた上に、進学校への推薦を取り消しにされたという、厳しい処分を受けた生徒もいる。

「高校生が悪い」、「学校で禁止するのはおかしい」、「地域の人がちゃんと面倒を見てくれないからだ」などと、お互いに責任のなすりあいをしても何も解決しない。

三者が納得のいくまで話し合い、年に一度のお祭りを全員で楽しんでもらいたいと思う。地域の人が大人から子どもまで顔を合わせる機会が少なくなる中で、唯一、お祭りがその役割を果たしているのではないかと思う。そういう機会をもっと有効に使えないものだろうか…。