春一番、いま18才は語る。
Vol.25 1982年4月号掲載
学生の皆さん、春休みはどのように過ごしている?78%は年中無休で頑張っているよ。
さて、今月はご覧の通り、この春進学も就職も決まって新しい旅立ちをする若者諸君へのインタビューと対談で、将来の夢や、高校時代の不満や、学校や先生に対する感想などを語ってもらった。

「高校の先生なんか大キライ!」「なぜ、スカートの長さが問題になるの?!1センチや2センチの長さで何が変わるのかって言いたい」「なめんなよ」と、高校生活のいろんな怒りや不満、さまざまな問題を残したまま、18才の若者はそれぞれの道を歩んでいく。今まで全てに縛られてきた若者達は、これからの人生にどんな期待や想いを馳せて旅立っていくのであろうか。これは、教師や父兄も一緒に考えてもらいたい問題である。
 文:やなせかずこ 
18才の若者対談
深田鈴江さん(掛川市高田)

横浜の関東学院女子短期大学幼児教育科
幼い頃からの夢を果たすために学校へ行って勉強したいと言うのが一番の目的だそうである。
はばたく18才。

78%◆就職先あるいは進学先の学校に対する期待というか、希望みたいなものは持ったり抱いていますか?

松浦◆まだ、あまり期待は持っていません。やってみて出来そうなら、資格を取って一生の仕事にしたい。

長谷川◆現業というせいもあるかもしれないけど、自分でこの仕事って決めたわけじゃないから、行ってみないとわからない。でも、働くってことは自分にお金が入ってくるということだから、そういうお金の使い途を考えるのが楽しみです。そのお金で趣味を生かせていけたらいいなあと思います。

望月◆私は会社だけでこらからずっと生活していくんじゃなくて、自分の働いたお金で、料理とか編み物を習いながら、手に職というか何かを身につけていきたいです。

土屋◆調理の中にも和、洋、中の三種類あって、一通りやってみてその中から自分に合ったものをやっていきたいですね。親の店が和風だから、できれば洋食関係をやってみたい。一年間学校へ行って、その後修行に出て、その店の味を取り入れたり、あとは自分の味を加えながらいい味を出していきたい。

高木◆私の行く学校は外国人の先生が多いから、そういうのを利用して早く英語がしゃべれるようになりたい。せっかく東京へ出るんだから、その間にいろんな人と出会っていいキッカケを作っていきたいと思います。

今坂◆もちろん幼児教育科だから、幼稚園の勉強もやりたいけど、東京へ出るからには、いろんなことを学んできたい。今まで甘えてきた部分があるから、ひとつのステップとして就職するまでに、今よりしっかりとした人間性を身につけていきたいと思いますね。

深田◆私も、今まで甘えて育ってきた部分があるから、お母さんの方針で、家から出して世間の荒波に晒すと言うこともあって、社会に出るためのステップみたいな感じです。人間として何かひとつ欠けているところがあるから…。

長谷川◆私は本当は、キャリアウーマンというか、将来自分の力でできるような仕事につきたいと思っていたんだけど、現場のほうだからね…。その会社はわりと男の人が大事なところを受け持っていて、私のやるところは本当に単純作業だし、ちょっとショックでした。

78%◆キャリアウーマンっていう言葉は、一般的には派手な仕事をやっている女性達に与えられてるみたいだけど、本当はそうじゃないと思うんだけどね。人がどう評価しようと、自分が一生懸命その仕事に携わっていろんな事を覚えていけばいいことであると思う。だから、現業とかっていうのにあまりこだわらない方がいいんだと思うんだけど。その中でも自分なりの仕事のやり方なんかも見つけられるはずだし、あの人に任せれば、いい仕事がやってもらえるって言われるようにならなければ…。


これでいいのか!校則は。


78%◆ところでみんなは、今まで通っていた学校を卒業したんだけど、3年間学校に通っていて得られたものとか、不満みたいなものは有りますか?

土屋◆うちらんとこでは、単車が禁止になったけどさ、年間の事故数が他の学校に比べて多かったという理由で…。あと、違反が多かったもんで禁止されたんだけど、僕らにしてみれば単車に乗りたいもんで、違反者だけに罰を与えればいいんじゃないかと思う。ある程度キツイ罰を与えて思い知らせてやれば、違反なんかしないと思う。だけど全員に免許を持たせないもんで、無免許で走り回ったりとか違反をして反発している部分もあると思う。

松浦◆僕も同じ意見です。

78%◆学校からすごく遠くのバスも通っていないような辺鄙な所から通っている人達もいると思うんだけど、全面的に禁止ですか?

土屋◆最初はそういう許可があったんだけど、それまでも禁止にしちゃった。

女子全員◆そりゃあひどいよね、可哀想だよぉ。

78%◆服装については規制する必要あると思う?

松浦◆あると思う。今思うと、ぶしょったい(見苦しいとかみっともないという意味の遠州弁)格好してたなあと思う。僕もそういった格好してたけどね。お母さん連中が見てて、ぶしょったい格好だったって感じるの無理ないね。

土屋◆僕もやっぱりそれは感じる。服を買うときに、親に正直に言ったら買ってもらえないもんで、親をだましてお金もらって買ったけど、親にも悪かったと思うし、今の1、2年生見てると、ぶしょったいなあって感じる。

78%◆最近、メーカー指定や品番まで決められた中学があるっていうけど、どう思う?

土屋◆メーカーまで指定するのはおかしい。それじゃあ逆に生徒が反発してもおかしくないよ、学校に対して。そこまでやると、校内暴力が起きるね。本当に縛り付けちゃうって感じだもん。

望月◆そんなこと、とやかく言うのがおかしい。

長谷川◆外観で人を判断しちゃあいけないって言われているのに、スカートが長いとかってことを言うこと自体、人の考え方から外れてる。もっと大事なことがあると思うんだけど。


スカートの長さで人間性が変わると思う?

今坂◆修学旅行に行ったとき、向こうでスカートが規定より長いからってスカート検査をして、結局みんなで夜なべしてスカートを短くしたんだよね。なにも旅行先でそんなことしなくてもいいのにね。

高木◆先生によってだと思うけど…。

今坂◆1センチ長いからって、いったい何が違うのかって言いたい。私なんかたった5ミリでやられたんだよ。

深田◆そうそう、5ミリ違うからって、人間性がどう変わるかっていうのよね!むきになりすぎよぉ。

今坂◆髪の毛、まっ茶にしている人もいるけどね。

望月◆それはさぁ、自分の心と反対に見られたくないと思えば、そんな風にする必要はないと思う。

高木◆そう、そいでさぁ、やってる人達が先生を気にしてやってるっていうのおかしいと思わない?コソコソしちゃってさぁ。やるなら堂々とやればいいのにね。

望月◆長いスカートもってる人はさあ、(校外では長いスカートでいるのに)学校へ行って履き替えるんだよね。トイレで…。自分に後ろめたさがあるからよね。自分で自信をもってれば、何言われたって平気なはずだもん。

深田◆そんなことしてまでねぇ。矛盾してるよね。好奇心でゾクゾクするところがいいんじゃない、アハハハ…。でもそんなの一時的だと思う。

高木◆だからさ、一度やればバカらしくなると思うんだけど。

望月◆そうよね。パーマだって一度かけた人は二度目からやらないもん。自由にさせておけば自然にやめるのよね。

今坂◆程度の高い学校って自由になっているでしょ。そういう所は、カールなんかしてもいいって言っても、ストレートな髪の人が多いんだって。

望月◆校則通りの格好してたら街を歩けないよね。すごい格好悪いんだもん。でもネクタイなんかは長すぎるって、みんなで抗議したら短くなったよね。

今坂◆靴もね、革靴が高かったもんで、ズックでもよくなったんだよね、安いし。

望月◆だけどね、私ら就職試験に行く時に、制服制靴で行けって言われて、持ってない人は絶対に買っていけって言われて、そこら中当たって借りてきたわけ。それで会社に面接に行ったら向こうで「最近の子はすごい贅沢になった。革靴を平気で履けるようになったのか。」って、逆に会社の方からさんざん「贅沢だ、贅沢だ」って言われて。こっちはズック靴しかなくて、そこら中まわって借りてきたのに…すごい頭にきた!

女子全員◆ひどい!ひどい!

土屋◆僕らは(制服制靴で行けって)あまり言われなかったね。言われても僕らなりの言い方で押さえちゃったから。


教師に一言、物申す。

78%◆今まで教わってきた立場の生徒として、先生に対して何か一言有りますか?

深田◆先生がんばって下さい?!(全員笑う)先生大嫌い!特に高校なんて、くそ腹が立つねえ。(全員同感という感じでうなずく)高校の先生なんてお勤めみたいにやってるだけで、いいかげんすぎる。中学なんかだと金八先生みたいな先生がそれでもいるけど、高校の先生なんて、学校の名誉のことしか考えてないみたい。本当に親身になって考えてくれる先生なんかいない。就職とか進学って言えば、その人の一生に関わることなんだけど、それに対して何にも先生の意見を言ってくれない。

高木◆アドバイスもなければ、担任の先生なんか頼りにならないから。他のクラスの先生に相談に行ったりして…。ひどい担任だったもんね。

松浦◆なめんなよって言いたい。

土屋◆先生が外車乗っちゃってさ、日本車といえばスーパーサルーンとか本当にいい車ばっか乗っちゃって。そういう車に乗っている先公に限って憎たらしい先公ばっかりで…。

長谷川◆心に残っている先生っていうのは、みんなが勉強してなかった時に本気で怒って、なんで勉強しなきゃならないかって、一時間かけて話してくれたりした。だけど、化学で100点満点で10点しかとれなかった時に、どうしたらできるようになるか相談にいったら、暗記しかないねって言われた。本当にそれしかないのかって聞いたら「それしかない」と言われてガックリ来ました。もう少し勉強に耐える力とか、面白さを与えてほしかったのに…。自分の教える教科にもっと信念をもってほしい。


親には申し訳ないです。いつかきっと恩返しを…。

78%◆ところで、進学する人達は、まだこれから何年間か親に仕送りをしてもらったり、援助してもらうわけだけど、その辺のところはどう考えているの?

深田◆そりゃあ、やっぱりたいへんだと思う。家だって余裕があるわけじゃないから、ギリギリに送ってもらうようになるから…。家の人は「バイトしろ、バイトしろ」って言う。(全員爆笑)遊ぶお金まで出せれないから、その分は働いて稼げって。お姉さん達を見ててもわかるけど、お金に対するありがたみがすごい判っているみたい。逆に言うとケチ臭くなったって言うんだろうけど…アハハ。お金出してもらった分、恩返し出来るようにならなければね。

今坂◆うん、私の行く東京なんか特にお金がかかるところだから、悪いなあとは思ってるんだけど、お母さんは「それで勉強できればいいんじゃないか」ってことで行かせてもらうんだけどね。金銭面でだらしないところがあるから直さなくっちゃ。

高木◆悪いとは思うけど、親もそれなりのところへ就職してくれればいいと思っているみたいだし、私は英語の方へ行くから、それを絶対生かせるところへ行きたい。

土屋◆家から通いだもんで、お金はそんなにかからないと思うけど、今まで行ってたところが、がんこお金が掛かる所だったもんで、悪いなあとは思っている。将来の役に立つことだからって行かせてもらう。

78%◆ところで、女性の場合、仕事に対して腰掛け的なイメージが強いんだけど、その辺はどのように考えています?

深田◆家庭ってすごく大切だから、私は仕事より家庭をとりたい。

今坂◆聞いた話によると、幼稚園の保母さんの席が空かないっていうのは、みんな結婚しても両立してやっているみたいだから…。

深田◆でも、自分の子を預けてまでも、他の子の面倒を見るっていうのは、ちょっと考えちゃう。

今坂◆そうね。小学校へ上がればいいけど、それまでが一番大切な時期だって言うからね。対話のある、心のふれ合いのある家庭を作りたいから…。校内暴力なんてあるけど、自分の子どもは絶対そういう風に育てたくないから…。

長谷川◆男でも女でも、その仕事に情熱が傾けられればいいと思うけど、私の場合、現場だからね。本当に情熱を傾けられる仕事だったら、やっぱり続けるべきだと思う。

78%話は変わるけど、みんな掛川をどう捉えているかな?

松浦◆田舎!(全員笑う)

78%◆田舎って、どういう所が?

松浦◆どういう所って言われても…。都会なんか行くと街を歩いてても人がいっぱい居てガヤガヤしているけど、とにかく掛川は静かすぎる。犬の吠えている声が聞こえたり、なんとなく田舎だなあって感じ。

78%◆他の人は?

望月◆私はもともと掛川の人間じゃないから(山梨から引っ越してきた)みんなとは違った見方が出来ると思うけど、同じ田舎だけど、みんなギシギシしていない。気候の関係もあるのかもしれないけど、みんな心が暖かい。

深田◆田舎から田舎に来たっていう感じね。でも若い人にとっては田舎って感じるかも知れないけど、年取ってから故郷って感じがするわね。お嫁に行って、時々帰ってくるのには、やっぱりこのままでいてほしいって感じ。


やれやれ…ああ、実感!

78%◆最後になにか一言あったら…。

松浦◆やれやれって感じです。今まですべてに縛られてきたから…。これからが勝負ですね。おっかさんが言うには、4〜5ヶ月の辛抱だって言ってました。

78%◆やれやれっていう感じは、本当に率直な意見だと思う。

望月◆だけど、逆に今度は、誰も縛ってくれないというか、干渉してもらえないって事は、自分自身の力で頑張っていかなければならないってことだから大変だと思う。すっごい不安ですね。今まで甘えてきたから、急に社会にほっぽり出されたっていう感じで、今になって不安になってきました。

長谷川◆いま18才だからね。(本人は真面目に言ったつもりだけど、周りにはバカ受けした)学校に行ってる時、万引きとかいろいろな事件があって、朝礼で先生が「今日はこういう事件があった」というのを、ただ聞き流していただけで何もできなかった。自分で立ち上がって何かやらなければならないとは、切に思っていたけど、何もできなかったので悔いが残っています。だから、これからの10代、20代は平々凡々には生きたくない。

高木◆高校時代、なんにもできなかったから、向こうへ行ったらサークルとか、いろんな事に挑戦してみようと思っている。

今坂◆将来をかけて短大に行くんだから、それなりに一生懸命やりたいと思う。今まで精一杯生きてきたという実感がなかったから…。



今回の対談に参加してくれた、今年高校を卒業したばかりの若者達は、高校生活に不満を持ちながらも、高校の3年間、何も出来ずに過ごしてしまったと残念がっていた。

読者の中にも、これから高校生になる人もいると思う。これら先輩の反省材料をよく研究して「自分ならこうだ」という意志を持ちながら高校生活を考えてみたらどうだろうか。
土屋達也君(掛川市肴町)

中遠調理師家政専修学校
両親がスナック喫茶を営んでいる。「専門学校を卒業したらどこかに修行に出て味に磨きを掛けてくるんだ」と情熱のあるところを見せてくれた。
望月美智子さん(掛川市下垂木)

保険会社事務
山梨県の田舎から掛川に来て感じた事は「同じ田舎でも掛川の人達はギシギシしていないし、心が温かい。」とうれしい批評をしてくれた。
松浦快味(よしみ)君(掛川市仁藤)

自動車整備士
この春から市内の自動車関係の会社で整備士として働くことになっている。車が好きで「4〜5ヶ月の辛抱だと言われたから、根性で頑張ります。」と語ってくれた。
高木香苗さん(掛川市原里)

東京神田語学院
「英語が好きだから欧米人と接触していろんな事を知っていきたい。」将来は雑誌記者とか旅行会社等で働きたいという夢を持っている。
今坂明美さん(掛川市弥生町)

東京の成徳短大幼児教育科
「今まで甘えて育ってきたからこれをひとつのステップとして、就職するまで今よりしっかりした人間性を身につけたい。」将来は保母さになりたいという。
長谷川三穂さん(掛川市各和)

浜松の写真現像所
「キャリアウーマンを目指していたのに私の行く会社は男の人が大事なところをやっていて、私のやるところは単純な作業だから、ちょっとショックでしたが、写真の趣味を生かしていきます。
18才若者インタビュー
僕の夢はデッかいぞ!

山田君の進学する学校は掛工の設備工業科の延長で、配管をやったり設備や空調設備の勉強を行う専門学校である。

「卒業した後の就職については全然考えていない。高校を通して5年間設備関係について学ぶんだから、ぜひ役立てたいとは考えている。できれば、上下水道関係の研究所とか、商品開発の方へ進みたいとは思っているけど、ちょっとここ(頭を指して)が足らんもんでどうかなと思っている。親は何年か経ったら独立して自分で会社を作れって言うけど、自分自身全然その意思はない。人を扱うことに自信がないから…。

当面の目標は、やりたいことが何でも自分の力でできるようになりたい。たとえば、何かやろうとした時に、親に甘えて金を出してもらうんじゃなく、自分で働いてその金でやりたいことをやっていきたい。生涯の夢はデッかく、無人島でもド〜んと買ってみたいやあ。」と、将来の抱負などをを語ってくれた。

今後の自分の選択する就職先次第で、5年間の勉強が役に立つか無駄になるかが決まってしまうようである。
学校内の規則も厳しく、ラジオはイヤホンで聴かなければ駄目、テレビの持込も駄目、アルバイトも駄目等々、高校よりも状況は厳しいようである。
山田 耕(こう)君(18才)掛川市新町
東京の国土建設学院専門学校に進学
給料?いくらでもいい。

「父親が水道、空調関連の会社に勤めていた関係で、小さい頃から現場へついて行って、見たり一緒に手伝ったりしているうちに、設備という仕事が自分に合っていると思い始めた。最初は別の会社を希望したんだけど、先生に勧められて日管興業にいくことになった。以前会社見学に行ったとき、会社の雰囲気が気に入っていたし、設備関係ではかなり大きな会社で、将来性もあるということで決めた。特に、会社案内に“しつけの日管”と書いてあったのが強く印象に残っている。その会社の人の話では、親が子どもをしつけるようなことではなく、社会に出るためのしつけというか、その会社で一人前になる人間にしつけてくれるという事だった。その会社で何年か働いて、資格などを取って自分で始められるなあと思えば独立するつもりでいるが、先のことはわからない。」

黒田君は妹さんと2人兄妹で、長男として家を継ぐ立場にあるが「しばらくは家を出て一人でやってみたい」ということで。4月からは寮生活に入っていく。
初任給は9万円程度で「給料はいくらでもいい、あまり給料のことは考えなかった」と、欲のないところを語った。給料をもらったら、家の人に借金を返して、残りは預金に回すそうである。
黒田浩治君(18才)掛川市逆川
浜松市の日管興業へ勤務
いってまいります!

若林君はこの春から、東京にある沖電気という会社に入社してコンピュータ関係の仕事に就く。

「以前は家を離れることに対して別になんとも思わなかったけど、最近だんだん不安になってきた。親戚がそばにあるので多少は気が楽な面もあるけど、東京という場所自体が恐ろしい。物は何でもあって便利だけどね。でも、僕の行く会社は北海道から九州まで、日本全国から人が集まってきているみたいだから、いろんな話が聞けて楽しそう。期待してます。」

寮生活は男女一緒だそうで、多少の期待を抱いているようであるが、洗濯だけは経験が無いので困るとぼやいていた。高校生活を振り返ってどうでした?

「僕達の学校は、途中で校長が替わってガラッと雰囲気が変わった。新しい校長は何でもかんでもビシビシ押さえつけちゃって、今までとちぐはぐな面がいっぱい出てきて、その影響が2年生に全てかかっているみたい。厳しいのはいいけど、あまり厳しすぎると逆に反発が起きるんじゃないかと思う。」と語ってくれた。
「東京でどうなるかわからない。もしかしたら戻ってくるかもしれないけど、とにかく行ってまいります!」
若林正敏君(18才)掛川市十九首
東京の沖電気へ勤務
大学だけが人生じゃない。

小柳津君は、高校卒業後一年間鉄工所でアルバイトをして、その後、藤枝の警察学校に入校。今年の春から警察官として職務に就く。
オートバイに乗っていた時、乗用車やトラックの運転手のマナーの悪さに、カチーンときたという小柳津君は、高校3年の時、父親を交通事故で亡くし、その恐ろしさを人一倍身にしみて感じている。

「お袋と当時中学3年の妹と自分の3人が取り残され、本当に途方にくれた。だから、事故はもう懲り懲りだ。そのためにも人身事故を無くすために頑張りたい。だから、違反者がキップを切られたからといって、変な目で見ないでほしい。僕自身は隠れて取り締まりをするようなやり方は好まないが、警察の方としてもやむを得ない場合もあるので理解してほしい。人間的に暖かいというか、市民に信頼されて“頼もしいおまわりさん”と言われるようになりたいですね。」

「高校生活は、学校に対して反抗心を持っていたので、授業中は居眠りばかりしていました。近いからという理由で西校へ行ったんだけど、進学する人のための勉強しか教えてくれなかった。大学、大学って、大学行く人ばかりじゃないんだから…。大学行くのは学歴取得と遊びのために行く人が殆どなのに…。警察学校の一年間の方がよっぽど自分の為になりました。」
小柳津 稔君(20才)掛川市家代
警察官として勤務
今、開放感に浸っています。

「今、悩みは全然ありません。高校を卒業して開放感に浸っています。4月までは、時間的に束縛されていないからすっごくいい。」という石川さんは「女子校で3年間学んで、女の人の考え方はよくわかったけど、男の人の考え方がわからなかったから、そういう所で世間が狭くなっちゃったかなあ。」

そしてまたまた殆どが女子ばかりという学校でこれから2年間学ぶことになって、ますます世間が狭くなりそうな気配。短大ではコンピュータ関係のことを勉強する。

この4月から静岡市内で下宿生活に入るが、「束縛されないし、一人で生活する事も楽しみだけど、よくよく考えてみると、料理とかいろいろやらなきゃいけないから面倒くさいなあとも思う。それにニュースなんかで『アパートで一人暮らしの女性がどうのこうの』っていうのを聞くと恐ろしい気もする。」と、女の子らしい不安を抱いている。

生まれ育った掛川については、「この前78%で駄菓子屋特集を読んで、ああ、掛川っていいなあって感じました。こぢんまりしてるけど、一応一通りのものは揃っているし、のんびりしていていいなあって感じる。だけど、小学校に体育館がないのは淋しいですね。」
石川祐子さん(18才)掛川市富部
静岡市の短大に進学
学校関係の仕事がしたい。

早川さんは養護教諭の専門知識を身につけるために、名古屋の短大に進学することになった。
「高校1年の時に保健委員をやり、その時は特別に感じなかったけど、3年になってから思い返してみたら、自分にはこういう仕事が合っているんだなあと思い選びました。将来は学校関係で保健の先生か保健婦として勤めたいと思ってます。名古屋の短大に行くことについては、はっきり言って楽しみはひとつもない。ただ勉強しに行かなきゃいけないって感じで行くだけ…。寮生活には4〜5人の仲間がいるんですけど、どういう人達と一緒になるかわからないので不安。」

早川さんは、高校生活と掛川市にこんな不満も持っていました。
「学校に来ている人達の中で風紀の悪い人達が居たけど、学校は本気で取り締まってくれなかった。仲間の中にはそういう人達に、『似合うよ』って言う人もいたけど、私は絶対にそんなことは言わない。口に出さないからいけないと思うけど本当は『このやろう』って言うか『本当に頭にくる人だなあ』と思った。」

「掛川市についてはあんまりいい所じゃない。市長さんが生涯学習都市とか言っているけど、その割にはせんせんみんなに浸透してないし、文化施設もない。新幹線が停まるにしては貧弱な市じゃないかと思う。」と手厳しい。
早川泰代さん(18才)掛川市領家
名古屋市にある短大に進学