掛川近郊の海
Vol.16 1981年7月号掲載
夏といったら海。夏と海は切っても切れない仲であります。なぜか夏になると自然に足が海の方に向かっているのです。泳ぐ、泳がないに関わらず、海を眺めるだけでなんとなく安心するような、そして一夏に一度は海を見ないと夏が終わらないような、そんな気分にさせてくれる。
今年はファッションもマリンルックが大流行。サーファー族も年々増えている。そして投げ釣りにも絶好の季節となりました。そこで今月は「海」特集。掛川近郊の海の情報をお届けします。
海は楽しいけど、時にはひどく恐ろしい物体に変化することがままある。「決して海を甘く見ないこと」この鉄則を肝に銘じて楽しい夏休みをお過ごし下さい。
イラスト:こまいやすこ 文:やなせかずこ
掛川近郊の海(主な海水浴場)
相良砂浜海水浴場(相良町)
海水浴のシーズンで一番賑わうのは、7月中旬〜8月中旬頃までの一ヶ月間くらい。この一ヶ月の間だけで約30万人位の人手で賑わうという相良海水浴場。遠浅で100m位までは、背丈以下の浅い状態が続いている。

砂浜の砂は白く、砂利も少ないのも人気の一つ。昔は静波に比べて波が荒かったので人気もいまひとつパッとしなかったが、最近ではテトラポットを沖に沈めて、人工的に並を押さえるように工夫されて荒波を防いでいる。折角の自然を損なっているのは残念だけど、海水浴場としては危険も少ないし、泳ぎやすい。

砂浜には17軒もの海の家が建ち並び、商魂たくましく呼び込み合戦が行われる。海の家の席料は大人600円子ども300円だ。この季節になると海の家ばかりではなく、近在の地主さんは、急遽土地を駐車場に早変わりさせて、たっぷり駐車料金を取ってしまうのです。これはここ相良に限らず、どこもみな同じ。(普通はただなのに)ばかばかしいと思いつつも、つい財布の紐を緩めてしまうのがレジャー族。出来るだけ朝早く出かけて、無料駐車場を見つけるのがコツ。

ところで、相良町にはもう一つ片浜海水浴場というところが榛原町寄りにあり、こちらも相良と同様の遠浅。遊泳には向いているが、砂浜は砂利が多て裸足で歩くと足の裏が痛いのです。こちらはあまり人気が無いせいか、海の家も3軒と少ない。「人があまり大勢いるのはどうも…と言う人にはもってこいの海水浴場です。

相良では、時々クラゲが出没するので要注意!気をつけろと言っても、なにせ海の中にいるので、どこからやってきて何時さされるのかわからないので、気をつけようがなくくて困ってしまう。特に女性の場合クラゲが波に乗ってふくよかな胸の谷間から水着の中にはいってしまう可能性もある。そんな時は「エッチ!}などと言っていないで素早く出してあげないとミミズ腫れになってしまう。これがまた非常に痛いのです。

さて、今をときめくサーファー族には、相良の須々木海岸が人気を呼んでいる。週末になると関西方面からもサーファー達が押しかけて、思いっきりサーフィンを楽しんでいる。周辺の農道は夜になるとサーファー達の仮眠所(車の中で眠っている)でぎっしり。ここは岸深で波も荒いので、サーフィンにはもってこいの所だが、遊泳禁止になっている。



●相良海岸での地引き網の申し込み
北川福次さん TEL.2-0095
高橋健次郎さん TEL.2-1443
東海丸 TEL.2-2883 TEL.2-0804
※料金は25,000円(所要時間約1時間ぐらい)スズキ、イワシ、カニ、キスなどが獲れます。

●相良海岸での釣り船の申し込み
相良漁業協同組合 TEL.2-0331
なぎさ会 TEL.8-0505
坂井・平田漁業協同組合 TEL.2-1411
※料金は小型14,000〜15,000円(日・祭日は2,000円増)、大型20,000〜30,000円。時間は午前6:00〜11時30分頃まで。磯釣りはキス、イシモチ、黒鯛。船釣りはキス・アジほか


相良港まつり花火大会
毎年8月1日相良海岸で行われる港まつりは、15,000人くらいの人手で賑わうほどの大盛況ぶり。海岸には露天が立ち並び、花火大会や盆踊りが繰り広げられる。打ち上げ花火・仕掛け花火・海上花火が広い海原を背に次々と打ち上げられ、観客の目を楽しませてくれる。特に海上花火は別名「水中花火」とも呼ばれ、船で沖に出て海中に花火を落としていって打ち上げられるもので、夜の海に一層の彩りを添えてくれる。
場所:相良砂丘海水浴場 日時:8月1日午後7:30〜9:00まで
御前崎海水浴場(御前崎町)
森進一の「港町ブルース」のおかげで有名になったと言ってもいいくらい連日観光客で賑わっている御前崎。すっかり昔の面影はなくなり今や完全に観光地化している。東京・名古屋・大阪はもちろん九州や四国からもわざわざ出かけてくる程だから、いつの間にか全国的に有名なところとなってしまった。以前は冬場になると閑散としていて、地元の人以外はめったにお目にかからなかったのに、今では灯台の下の駐車場には自家用車や観光バスが常に一杯。特に灯台寄りの西側の海岸には土曜・日曜にかけてサーファー族がわんさと来てサーフィンを楽しんでいる。もう海は夏のものという定説は無くなりつつあるのです。冬には冬に楽しみ方、春には春のと…季節に合わせたいろんな楽しみ方があるのです。

海水浴場の近くの御前崎灯台は明治5年から2年の歳月をかけて明治7年に完成した洋式灯台です。沖ゆく船の安全を見守りながら静かにそびえ立っています。灯台の中は一年中見学が出来ます。
●灯台見学料金:大人50円・子ども20円(朝8:30〜午後4:30迄、昼12時から1時までは閉館)

御前崎の海水浴場は御前崎港の東側の防波堤に囲まれた内海にあります。静波や相良に比べるとひっそりとしている。海水自体はきれいなんだけど、海草などが意外に多い。遠浅で、波は穏やかなので子ども連れの方には最適です。海の家は2軒有り、席料は大人600円子ども300円になっています。

御前崎グランドホテル横のプールは一般の人達にも開放しています。海を前にしてプールで泳ぐというのも変だけど、プールの方が泳ぎやすいという人には海の雰囲気を味わいながらどうぞ。75mプールで子ども用には円形プールもあります。入場料は大人1,600円高校生1,100円小中学生900円幼児500円です。

御前崎には古来から伝わっている「ガワ」という特別な料理がある。とりたての鮮魚をたたいて、シソの葉、タマネギ、梅、ショウガ等の薬味を入れ、醤油と味噌で味付けした珍味。氷を入れて冷やして食べる冷や汁です。これは絶対に火を使わないのがミソ。海辺でなければ味わえない料理です。ガワ料理を賞味したい人は民宿などで食べることが出来ます。
●民宿の問い合わせは御前崎町民宿組合事務所 TEL.4924まで。御前崎には民宿が16軒有り、一泊二食で大人3,900円小学生3,700円です。また、民宿の他に、国民宿舎「おまえざき荘」やユースホステル「御前崎ユースホステル」「ペンション御前崎」。ホテルや旅館なども17軒有ります。



御前崎の釣り情報
磯釣り:サバ、イワシ、クロダイみじな、カサゴ 船釣り:あじ、イサキ(御前崎は至る処で釣りが楽しめます。)
●船釣りの申し込みや釣り情報問い合わせは、御前崎魚市場近くの大沢釣具店TEL.2383 船釣り料金は大型5名まで一人2,500円、一名増すごとに3,000円増(定員10名)


御前崎町 港まつり・トローリング大会
毎年8月7日前後に開催される御前崎町の「港まつり」では同時にトローリング大会も催され、みなと町ならではの賑わいを見せる。トローリング大会は、早朝出港して外洋でトローリングにより釣果を競うというもの。賞品も一杯出るそうです。参加者事前に申し込みして下さい。詳細は、御前崎町役場経済課の沢入さんまでTEL.2111
御前崎港
静波海水浴場(榛原町)
この辺りでは一番人気の静波海水浴場。時期になると連日イモを洗うが如し…。毎年相良海水浴場の約5倍150万人位の人が全国から繰り出してきます。海は100m先まで歩いて行ける遠浅の海が広く続いているのも特徴のひとつです。マイカー族のために海岸沿いに5,000台分の駐車場があります。駐車料金は一日300円。また、海の家を利用しない人達のためには無料のシャワー設備も整っています。

静波海水浴場は7月1日の海水場開きまでは、サーファーのメッカとなっている。6月初旬の週末は東京や名古屋方面から来るサーファー族で海辺はいっぱい。そして、7月1日以降は海水浴客がどっと押し寄せてくるため、危険が伴うのでサーフィンは全面禁止となります。(勝間田川の西側の海岸がサーフィン用に指定されている。)

取材に行った日は、ちょうど海の家の建設の真っ最中、たった二ヶ月間の営業のために、なんとまあ、クレーン車まで出動しての大がかりな工事。19軒の海の家が建ち並ぶ予定。海の家の料金は相良・御前崎と同様の大人600円子ども300円です。また、榛原町には他に、鹿島海水浴場(海の家1軒)、前浜海水浴場(海の家3軒)がある。


●民宿の問い合わせは榛原町民宿協同組合TEL.2-2710(夜間・祝祭日はTEL.2-0867)料金は一泊二食付で大人4,000〜4,300円、小学生以下3,800円、幼児(食事抜き)2,500円

●地引き網の申し込みは、民宿「白浜」TEL.2-0867、民宿「鈴もと」TEL.2-1344 料金は一網30,000円、捕れる魚はアジ、イワシ、サバッ子、コハダ、キス、イシモチ、たまにクロダイ(朝早いほうが沢山獲れるそうです。)


海水まつり花火大会 7月26日(日)午後7時〜9時30分まで
静波海水浴場で「海水まつり花火大会」が行われる。毎年2万人位の人手で賑わうとのことで、なんとこの人の数は掛川市の人口の三分の一にあたる。海上スターマインが見物。そして、榛南の海原に鳴り響く郷土の民芸太鼓「はいばら太鼓」からは、海の男の臭いを感じます。夜の海を背に勇壮に繰り広げられる「はいばら太鼓」が海水まつりを最高潮に盛り上げてくれます。


プロ・アマ サーフィンコンテスト 8月29日(土)・30日(日)
サーフィンは波に挑む最高の海のスポーツ。勇気が無ければできない、真剣でなければできない、常に危険と隣り合わせだがら。さて、榛原町では観光協会が主催して初めての試みの「プロ・アマ サーフィンコンテスト」を行う。今、プロ・アマの参加者を募集しています。日頃の練習成果を試すチャンス。プロの優勝者には賞金として30万円が贈られます。賞金総額70万円。そしてアマチュアの優勝者には、ハワイオープンチケット(往復)が贈られます。
●エントリー費 プロ・8,000円 アマ・4,000円(申し込み締め切りは8月20日まで)
連絡先:榛原郡静波1767-10 ブラックス TEL.05482-2-3347
浜岡大砂丘(浜岡町)
浜岡町の大砂丘は桜ヶ池と並んで有名な観光地。特に、宮城まり子園長の「ねむの木学園」がある所ということでも全国に知られている。

浜岡砂丘が天竜川の流砂で出来上がったということは、知られているようであまり知られていない。天竜川の流砂が遠州灘の荒波によって運ばれ、強い季節風で陸に打ち上げられ堆積して出来たのが浜岡の砂丘なんです。春夏秋冬、風によってその姿を変えていくので、どんどん形が変化しています。風のいたずらによって作られるさまざまの模様は自然が織りなす見事な造形美・芸術品です。東西30キロに及ぶ遠州灘沿いの砂丘の中でも、浜岡の砂丘は最も巾が広く雄大です。

歩く度にザクッザクッと足が吸い込まれて行くような感触を感じながら「砂漠ってこんな所だろうか」という思いに浸れるのであります。普段歩き慣れていない人にはちょっとしんどいが、足腰の運動にはもってこい。砂地の斜面を利用して滑って遊んでいる子ども達や、カップルが手を繋いで歩いている姿は微笑ましい。

浜岡の海は岸深で、泳いでいると気がつかないうちに沖に流されてしまうそうです。一見静かな海に見えるけど、沖に流されたらどうなるんだろうと考えたとき。やっぱり海の恐ろしさを感じてしまう。潮にのまれると、どんなに泳ぎの達者な人でも、どうあがいてもどうにもならない。海はやっぱり、とてつもなく大きいのです。遊泳禁止区域では絶対に泳がないこと。

さて、砂丘の入口には、肢体不自由児たちの施設「ねむの木学園」で作った子ども達の手作り品を飾った「マリカ」が建っている。そして、6月1日にオープンしたばかりのちょっとおしゃれっぽいお店「ねむの木」が浜岡町池新田の八百半デパート浜岡店内に出店した。そこには子ども達の手作りの絵のパネルやコーヒーカップ、Tシャツ、ガラス製品などの商品が並べられています。砂丘見学の帰りにでも寄ってみては?
浜岡の海岸