掛川周辺の地酒特集--飲める人も飲めない人も今月は地酒です。
Vol.15 1981年6月号掲載
宴会でワイワイ騒いで飲む一杯。可愛いあの娘と差しつ差されつ飲む一杯。会社の帰りにちょっと居酒屋で飲む一杯。三三九度の夫婦の杯に顔を赤らめながら飲む一杯…。酒まんじゅうなどのお菓子や料理にも巾広く使われている日本酒。熱燗、ぬる燗、冷や酒と飲み方もいろいろ。米を主体に造られているので日本人の口には一番合っている。
今月は故郷で造られた地酒を特集してみました。いつもブランド商品ばかり飲んでいる方、メーカー品がかならずとも美味しいとばかりは言えませんよ。オートメーションで造られたお酒よりも、じっくりと手をかけられて造られたお酒の方がよっぽど美味しいのです。一度、地酒を味わってみませんか。但しお酒はあくまでも自分の意志で飲むのですから、くれぐれもお酒に飲まれることのなきように…。
イラスト:こまいやすこ 文:やなせかずこ
    土井酒造場(株) 大東町小貫 電話:05377-4-2006          
 ヤングドリンカー諸君へ! 土井酒造製造「遠州灘大吟醸」         
近年低下の一途をたどっていた日本酒も最近では若者の間でも、徐々に飲まれるようになってきた。日本古来から伝わる日本酒が持つ旨さ、香り、雰囲気などが見直されたのかもしれない。

特に最近では、若者の間で、日本酒に氷を入れて飲む酒ロックなるものが流行っているが、この遠州灘大吟醸は、氷を入れないで飲むのがコツ。冷蔵庫で十分に冷やして、酒の味と香りをゆっくりと味わいながら飲む。がぶがぶ飲むのはペケ。「大吟醸」は必ず冷やで飲むこと。
半分以上にまで精米された特別なお米に独自の酵母菌を使い低い温度で大事に育てられた大吟醸は、リンゴのような芳香を放ち深いまろやかな味がたまらない。「ソフトな爽やかさ」大吟醸はそんな酒です。若者に受けている秘密はこのへんにあるのかも知れない。少しもいや味がないので一度飲んだらやめられない。くれぐれも飲み過ぎないように…。

「遠州灘大吟醸」
四合瓶720ml 定価2,000円
 日本酒をこよなく愛する人に! 土井酒造製造「遠州灘」         
お酒をこよなく愛する人には「遠州灘」をおすすめします。全国の銘酒中の銘酒のみを扱う酒亭「笹周会」でもベストスリーに選ばれた程のお酒です。

この「遠州灘」は静岡の銘米「晴々」を精米歩合度50〜70%(米の削られる量は50〜30%)で精米しています。さらに高天神跡から湧き出ている、日照りでも枯れず雨が降っても濁らないという最高の水を使っています。ここの水を雨の日も風の日も一日もかかすことなく、毎日タンクローリーで運んでくるのです。

美味しいお米と高天神の名水を使って、職人が腕によりを掛けて造られた「遠州灘」。辛口のお酒です。でも、軟水で仕込んであるのであまり辛くは感じません。ソフトな口当たりで飲みよいお酒です。
「遠州灘」
1800ml特級酒 定価2,390円
1800ml一級酒 定価1,630円
1800ml二級酒 定価1,200円
    めでたいときに飲むお酒 土井酒造製造「開運」          
商店の開店、会社関係の祝賀会などのお祝いごとには縁起酒「開運」が喜ばれている。一升瓶から樽酒の大小まで種類も様々。

樽の栓を開けると「トク、トク、トク」と出て来るあの音は、酒好きでなくともたまらない。それにもまして、樽の上部を打ち破って柄杓ですくって飲む鏡開きの酒も、木の香りと供に格別な味がする。

どこかで祝賀会があると、関係も無いのに招待客を装って一杯ごちそうになって早々に引き上げてくる御仁もいるそうだが、その気持ちよくわかる気がする。ただ酒だから旨い、でもそれだけじゃない。ああいう雰囲気の中で飲む樽酒はメチャクチャ美味しいのです。主催者さん、そういうときには不信感を抱かずにとがめないで飲ませてね。

「開運」

一升瓶1800ml一級酒 定価2,900円
五升樽一級酒 定価13,300円
一斗樽一級酒 定価46,200円
四斗樽一級酒 定価83,900円
    森本酒造(資) 菊川町二丁目 電話:05373-5-2067          
 味香りと供に深みのある日本酒「小夜衣」「小笠乃誉」         
水には軟水と硬水があり、水道水はほとんど軟水。(水1リットルあたりのカルシウムやマグネシウムの含有量が100mg以上を硬水それ以下を軟水という。)ここの森本酒造では硬水を使っている。森本酒造の酒造りに使っている水は硬度が高いため、造り方が悪いとくどくなるが、腕の良い職人が造れば、味香りと供に深みのある酒が出来上がる。

創業が明治10年(1877年)という森本酒造は、大正10年(1921年)に現在地の菊川二丁目に移転してきた。ここの地下水は森本酒造の一角にのみ流れている水脈で硬水である。移転してきた当時は、酒が旨く出来ない原因がわからず苦労したが、現在ではこの水を使いこなす技術を会得し、深み・厚みのある酒が出来るようになったとのこと。

「小夜衣」(さよごろも)「小笠乃誉」(おがさのほまれ)は、秋になって熟成された頃が一番の飲み頃。人肌くらいのぬる燗で飲むとさらに味が引き出される。甘味をおさえた辛口の酒。水に制限があるので造る量が限定されてしまうとのことで、今年の生産量は130キロリットル。

「小夜衣」「小笠乃誉」
一升瓶1800ml一級酒 定価1,630円
一升瓶1800ml二級酒 定価1,200円
    白松酒造(株) 菊川町加茂 電話:05373-6-3250         
  呑兵衛好みの酒「松若」「のんべえ地蔵」白松酒造製造          
正徳4年(1715年)に初代の白松半蔵という人が、菊川町加茂の現在地で酒造業を始め、現在のご主人は9代目。260年以上も続いている白松酒造では「松若」「のんべえ地蔵」を製造販売している。

のんべえ地蔵は中内田にある応声教院に祀られている呑兵衛地蔵から名付けられた。このお酒は松若の二級酒を使っている。

応声教院の呑兵衛地蔵は、酒を愛し続けてこの世を去った呑兵衛の父親を慕って、焼津市出身の某女が昭和51年(1976年)11月23日に建立したというお地蔵様。直径2メートル余りの大きな酒樽のお堂の中からは、右手に杯を持ちあぐらをかいてい酒を嗜んでいるお地蔵さんが覗き見れられる。

愛飲家なら、このお地蔵さんのように胸を張って堂々と飲んでほしいと感じる。ただし、無闇にガブガブと酒をあおるのではなく、酒道に外れない飲み方をするのが本当の愛飲家といえよう。

さて、「松若」と「のんべえ地蔵」は辛口のお酒で、ぴりっとする口当たりの良いお酒。戦後、一時期甘口にしたが、最近また辛口に戻したとのこと。お酒が大好きという呑兵衛にピッタリのお酒だ。夏は冷やして飲むのが美味しい。また、「のんべえ地蔵」は自販機用のワンカップもあります。
ひとりごと…

世の中には「今年こそお酒をやめよう」と禁酒を誓う人もいるようだが、煙草と同じでなかなかやめられないのが常。毎晩晩酌で1〜2合くらい飲むなら身体にも良いそうだ。酒は楽しく愉快に飲みたい。飲んだ勢いで人にからんだり、暴力的になるのはやめてもらいたい。そんなあなた、女性はいつも怯えているのです。

「松若」「のんべえ地蔵」
一升瓶1800ml一級酒 定価1,630円
一升瓶1800ml二級酒 定価1,200円
    曽我鶴酒造所 掛川市沢田 電話:05372-2-3603        
 どんな料理にも一ふり「曽我鶴」「曽我鶴料理酒」         
地酒の良さは、手造りと気候風土に合った酒が出来ることにつきる。曽我鶴は創業が寛永2年(1624年)というから350年以上も続いていることになる。こんなにも長い間、地元の人達に愛され飲まれてきた曽我鶴はやっぱり静岡の気候風土に合っているのかも知れない。

ここ掛川の郷里でできる曽我鶴は、のどごしのよい丸味をおびた酒である。本来は甘口の酒なんだけど、最近では飲酒家達の嗜好が変わってきているため、少しずつ味を変えているとのこと。曽我鶴はどん燗(ぬる燗・40度前後)で飲むのが一番引き立ててくれる。これから夏に向かって「どん燗はちょっと」と言う人には、酒ロックをおすすめします。冷や酒に氷を入れて風呂上がりにきゅ〜っと一杯。

酒は飲むためにだけではなく、あらゆる料理に欠くことの出来ない調味料の一つでもある。ひとふり入れるだけでも味がぐっと引き立ち、まろやかな味で深みのある料理が出来上がる。肉類は風味を一段と高め、魚類は臭みをとり照りを出してくれる。煮込み料理は材料が早く柔らかくなり味も良くしみこんでコクが出る。曽我鶴では今年の4月から「曽我鶴料理酒」を新発売した。味醂ほど甘くないが、酒の旨味をそのまま残し、かなり甘口にしてあるので料理にはもってこい。そのまま飲んでも良い。口当たりが良いので女性向き。

「曽我鶴」
一升瓶1800ml特級酒 定価2,390円
一升瓶1800ml一級酒 定価1,630円
一升瓶1800ml二級酒 定価1,200円
一升瓶1800ml極上  定価1,290円
一升瓶1800ml原酒  定価1,500円
四合瓶720ml料理酒  定価440円
※格安のデカボトルもあります。
2.7L一級酒 定価2,290円
2.7L二級酒 定価1,625円
 日本酒にまつわるいろいろばなし
日本酒のつまみ

日本酒のつまみは、やっぱり日本料理が相性ぴったり。日本酒にチーズやスナックは似合わない。これからはカツオの季節。炙って氷で締めたカツオのたたきや刺身、土佐造りをつまみにしながら一杯やるなんて、酒の嫌いな人でも思わずよだれが出そうな話。アメリカでは寿司をつまみながら日本酒を飲むのが流行っているそうだけど、日本人の心意気を知っているのか、知らずに食べているのか定かでは無いが、「アメリカ人もなかなか粋なことをする」と感心ばかりもしていられない。我々もじっくり日本酒と付き合ってみたいものだ。


酒造りは大変な作業

日本酒の原料である米は、春の種まきから、農家の人達の愛情と苦労によって、秋になってようやく実を結ぶ。刈り取られたお米から日本酒になるまでにも、さまざまな工程を経てはじめて我々が口にすることが出来る。

日本酒は刈り取られた米をまず精米し、きれいになった米を洗うことからはじまる。洗い終わった米を蒸す。次ぎに蒸された米を冷やし種麹を振りまいて麹を作る。蒸した米と麹をすりつぶす「もと摺」、酵母(酒母)に麹、水、蒸し米をくわえて仕込む「添え仕込み」、本仕込み、絞って出来上がり。これらの作業はすべて冬の寒い時期におこなわれる。タンクに貯蔵され、必要に応じて瓶詰めにされる。それ故、日本酒を飲むときにはじっくり味わって飲みたいものだ。
添え仕込みの釜 貯蔵タンク
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