18才の男子高校生は今どう考えている? (アンケート特集)

Vol.13 1981年4月号掲載
18才という年齢、あなたはどうでしたか。中には社会人として働いていた人もいると思います。まだその年齢に達していない読者もいると思いますが今回アンケートに答えてくれた人達は全員が男子高校3年生。彼等にとって今後自分自身がどう生きて、どのような方向に進むかを決める大切な年齢です。就職する人、進学する人、まだ決めていない人などその方向は様々。ともかく、彼等は現在の社会的な影響を受けながら今後の進路を決定していくことは確かです。それでは、彼等の今後の進路のことや、掛川についてどのように感じているのか聞いてみることにします。はたして彼等はどのような考えをしているのでしょうか。
文責:やなせかずこ
               
78%編集室より男子高校生へ

こんにちは。私たちは「78%KAKEGAWA」とう月刊の掛川タウン誌です。
常に、豊かで多様性に富む掛川の地方文化をつくり、その発展に努めたいという事を目的としています。

現在、政治・文化・経済など様々な分野において、地方の時代と叫ばれていながらも、中央集権化が進んでいます。と同時に私たちの生活の基盤である地域社会において、若者のみならず、多くの連帯感がうすれ、世代の孤立感が深まりつつあるようです。

このような状況のもとで私たちは社会の基礎的な要素である「コミュニティ」の再認識をしていかなければなりません。その役割を持っている「78%KAKEGAWA」としては、広くこのことを社会に提起していきたいと思っています。このアンケートはその一環として行いますので、ぜひご協力をお願い致します。
写真はイメージです。
 あなたの進路は?
 進学 17名
 就職 40名
進路

県内:27名
県外:25名
未定:5名
まず、あなたの進む道をお聞かせ下さい。進学か就職か、そして進学先・就職先。次ぎにその進路を選んだ決定的な理由をお聞かせ下さい。
就職-大阪…これ以上勉強する気が無い。
就職-袋井…自分に合った職業だから。
進学-福井…静かなところだから。
就職-袋井…お金が欲しかったから。
就職-不明…それしかなかったから。
就職-磐田…長男だし自立心があったから。
進学-愛知…お勉強をしたいため。
進学-京都…専門の学科を学びたい。
就職-横浜…金がほしかった。
進学-愛知…就職するにはまだ早いように思ったから。
就職-東京…大学に行くほど頭がないため。
就職-森町…働きたかったから。
就職-湖西…社会に貢献したいので…。
就職-名古屋…大学に行くとろくな人間にならないので就職する。
進学-埼玉…今、就職するのがいやだったから。
就職-磐田…進学して勉強したくないから。
就職-浜松…勉強きらい。
進学-東京…もう一度学ぶということを考えてみたい。経済に興味をもったから。
進学-愛知…技術者になるための実力養成。
就職-可美村…家庭経済及び自分の学力を考えあわせた末の結果です。
就職-藤枝…進学しても遊んでしょんない。
就職-磐田…勉強をやりたくないから。
就職-浜松…何かを感じた。
進学-金沢…専門的学問をもっとやりたい。
就職-不明…気まぐれのため。
就職-浜松…大学に行けなかったから。
就職-横浜…有名会社志望だったから。
就職-不明…自分の趣味のため。
進学-埼玉…勉強をもっとやりたいので。
進学-東京…技術を身につけたいので。
進学-神奈川…自由で毎日がいられるから。
就職-浜松…やりたい仕事だから。
就職-袋井…勉強をこれ以上したくないし、掛工には就職を考えて入ったので。
就職-浜松…進学するほど金がない。
就職-磐田…通勤が便利なため。
進学-東京…クラブをやりたいので。
就職-不明…これからは進学は流行らない。
就職-浜松…なんとなく。
就職-小笠…自分の意志で。
就職-可美村…お金が無いので就職した。
就職-静岡…大学に行ってもしかたがない。
進学-京都…国家試験を受け資格取得のため。
進学-東京…大学に興味があったから。
進学-金沢…将来を考え有利だと思ったから。
就職-愛知…母のすすめで。
就職-川崎…工業高校出身で進学してもはじまらないので。
就職-磐田…公務員では自分の性格や個性が発揮できないと思うから。
就職-袋井…社会に出て働きたい。
進学-長野…自分にあっているから。
就職-愛知…自立したかったので。
就職-浜松…金が無いのと大学の腐敗のため。
就職-不明…大社会は音程しているので。
就職-浜松…進学できなかったので。
進学-福岡…もっと勉強したかったので。
就職-大井川…今まで教わったことを生かすため。
就職-県内…自分の家に近いから。
就職-小笠…社会に出て働きたいと思っている。
 あなたは地元に帰ってきたい?
 来ない 12名
 来る 25名
 未定 4名
県外や遠いところに進路を選んだ方は、時期が来ればあなたの住んでいた地元へ帰ってきたいと思いますか?
■戻ってこようと思わない。
■現在でははっきりしない。
■戻ってくる。
■何年先になるかわからないが戻ってくるつもり。
■こんな田舎はいやだから戻っては来ない。
■帰りたいと思うが多分無理。
■その時次第でわからない。
■わからんけど、時期が来ればもどって来るでしょう。
■戻りたい気もあります。
■四年ぐらい掛川を離れていれば、掛川の良いところ悪いところが客観的にわかるから卒業したら戻ってくるつもり。
■全然思わない。
■わからないのです。
■もどってくるかもしれないが、もどってこないかもしれない。
■絶対に戻ってくる。なにがなんでも戻ってくる!
■掛川には戻ってくるつもりでいるけどいつになるかわかりません。ある時期がくれば戻ってきます。そう!きっかけがあれば、いい就職先があるとか。
 今までの生活は?
あなたのいままで生活していたところは、なたにとって楽しいところでしたか?
■楽しかった
■ぜんぜんだめ。
■楽しくない。
■普通でした。
■楽しくもなく、苦しくもなく。
■もちろん楽しかったのでした。
■まあまあじゃないのかな。
■バラ色の生活!
■交通上、環境的に最悪。
■別に思うところなしです。
■物足りないなぁ。
■バッチリ。
■文化施設が不足している点を除いけば、おもしろい方だった。
■楽しかったと思うが、いまひとつパッとしなかった。
■もっと刺激がほしかった。
 学校は?
あなたのいままで通学していて学校でなにが得られましたか?
■友達のありがたさ。
■スポーツを3年間続けたこと。
■なにも得られなかった。
■自分で考え進むこと。
■集団生活。
■怠慢になること。
■雑学的知識。
■自然の中にとけこむこと。
■多くの人と会えた。
■機械の学習。
■根性。
■自分の精神力。
■人間の良き力と、悪しき力。
■男ばかりの生活に耐えること。
■協調性。
■電気の知識。
■すこさ。
■友情。
■機械には向いていないということ。
■学力よりもっと他のもの。
■人とのつき合い方。
■一生懸命やることの楽しさ。
■ガス溶接の資格。
■人間関係のこと。
■世の中のことがよくわかった。
■批判的精神と妥協的精神です。
■考え方。
■なんでしょうか。
■旋盤などいろいろなこと。
■修学旅行に行ったこと。
■電気の知識が豊かになった。
■けんか。
■人をあっさり信じるな。
■野球によっての精神力。
■卒業証書をもらった。
■電卓検定4級を取得したこと。
■赤点(落第点)。
■人間関係。
■別に無し。
■みんなとの交流において、人間関係や人生というものについて考える力が得られました。
■男の喜び。
■体力が付いた。
■団体の協力がいかに必要か。
■友達との友情とは。
 掛川の感じは?
掛川の過去3年間(在校期間)を見て、現在どのような感じを受けていますか?

■市街地が発展している。
■いなかから都会へ。
■市内の区画が整理されてきた。
■市街地が新しくなった。
■都市化などしているみたいだが、川が埋められ、緑が潰されたあとは何が残るだろうか。
■田舎そのもの。
■徐々に進歩している。
■あまり変化がなし。
■急激な発展をみた。
■こちょこちょした街だと思う。
■外見だけは派手になったと思うが内面は一層努力が必要。
■おもしろくない。
■掛川も文化の谷間にある。
■へき地。
■学生の不良化がめだつ。
■住宅が増加している。
■市職員の汚職犯罪が多い。
■掛川も変わったし住んでいる人も変わってきている。
■掛川に遊びに来ていたわけではないから、よく知らない、ゆえに感じは無い。
■環境に落ち着きが無い。
■のどかで田舎。
■近代化と旧式との差が激しい。
■何も感じない。
■市役所の人がだらしない。
■駅前通りなど特に変化がある!
■けじめのない街。
■文化施設などの進歩がみられず。
■かなりNOWくなってきた。
■都市開発が進んでいるようだが、駅も古い所にこだわらず新しくした方がよい。
■ごちゃごちゃしたところ。
■最悪。
■住みやすいところだが。
■市職員の不正が多い。
■よい街である。
■それなりの街でしょ。
■市政が整っている。
■いい街だなぁ。
■男田舎くさい。もっと新しくして。
 掛川に不足しているものは?
今、掛川や「地方」と呼ばれている地域に、不足しているものはどのようなことでしょうか?

■交通機関(バスの本数増やせ!)。
■気軽に遊べるレクリエーション施設(つま恋は高級すぎて…)。
■文化センターに代わる磐田市民会館のような立派な(?)もの。
■気軽に遊べる場所。
■新幹線の掛川駅。
■娯楽施設。
■人口が少ないのと、市民会館。
■24時間オートスナック。
■遊園地及び歩行者天国。
■生のコミュニティ。
■義理。
■東名高速掛川インターチェンジ。
■多くの人が遊べる広場、公園。
■文化的な活動をする人達。
■ゲームセンターやパチンコ店。
■映画館が一軒しか無い。
■専門書店。
■商店街の魅力性なるもの。
■一般の人が入れるスポーツ施設。
■海外アーティストのコンサート。
■片側二車線の道路。
■劇場が無い!
■地方のPR今後は地方の時代。
■市の体育館、文化センター。
■政治への関心度。
■話し合いやコミュニケーション。
■ディスコなどの娯楽スポット。
■人情さがない。
 昨年度卒業生からの声
私は昨年度のK高校卒業生です。

今になって思うと、高校生活における諸問題に、もっと前向きに取り組みたかった。在校時代でも、学校当局の生徒管理は年をおうごとに強化され、安易な「禁止」がまかり通っている。例えば高校生のバイク取得禁止などがその例である。


 学校当局による生徒管理強化の記事を読んでふと思った事を書きます。それは高校生のポンポン免許取得禁止のことです。(バイクの発する音からこの地方の方言では排気量の少ないバイクをポンポンと言います。)
 僕の通っている県立K高校では、僕が一年の時までは取得自由で、遠距離の者には通学も許されていました。僕も一年の時に免許を取り、通学もポンポンを使いました。ところが二年の時からは免許は(学校からの)許可を得ねば取得出来ず、一年生はバイク通学は許されませんでした。そして翌年、つまり僕が三年の時からは免許取得全面禁止となってしまいました。(もっとも、内緒で取る人は今でもいるようですが…。)

 この措置、全くナンセンスなんですよね。例えば、憲法で保障されているはずの基本的人権が全く無視されています。二輪免許の取得可能最低年齢は16才なんですよね。またK高校当局は、この措置によって、K高校のそもそもの創立記念ともいえる「本校の教育目標」にも反する行為をしています。「豊かな情操を身につけ」「正しい判断力」を「高める」ための方法として、なぜポンポンが否定されなきゃならないのか。確かに状況として負の局面が多く表面化しているが、なぜそれを禁止ということだけで片付けてしまおうとするのか。バイクは負の要素を多く持っているが、方法によってはそれを正の方向に大きく生かすことだってできるのに。教育者たる者がその教え子を「ブタ」と同一視していてどうするのか!(などとえらそうに言ってしまったりして。)

 それに、現実問題として通学にし支障をきたしている人がいるんですよね。(例えば、僕の同級生で原泉の奥に住むS君は、クラブで遅くなると最終バスにも乗れないため、なんとタクシーで帰ったことがよくあった。)

 まあその他諸々の見地から僕は高校生免許取得禁止反対の意を書きたかったのです。

 バイクの問題に限らず、今学校では安易な「禁止」がまかり通っていますが、ほんと危険だと思います。校長とか生徒主任とか、今考えると本当にやんなっちゃうもんね。「あんたらの頭ん中には手前の体裁のことしかないんじゃない?」なんていってみたりしたくなっちゃう。それから、「上司」にヘェヘェしてるみたいな先生たち。僕の在校当時、みんなでこんな話をしたことがあります。「ウチのは教師じゃなくてTeaching Machineだ。」「管理者合格、先生失格」とかね…。

 この文章を書きながら、在校当時、不満を抱きながらも問題点を明確にし得ず、従って何ら前向きに取り組むことなく、単に反抗に終始していた自分が本当に情けなく、はずかしく思いました。最後に、現役の高校生の皆さん、こんな轍を踏むこと無く、あくまで前向きに取り組んで下さい。

取材・アンケートを終えて

この4月号が掛川の街に出回る頃には、今回のアンケートに協力してくれた男子高校生は、その3年間にわたる高校生活を終わって、進学やら就職やらで忙しいこととおもいます。様々な学校体験をし、もう二度とはやってこないこの18才の年を終えました。

78%では、次の人生を歩むために悩んだり苦しんだりしている真っ最中の彼等に、先のようなアンケートをしてみたのですが、その結果としてわかったことは、やはり予想していた通り、殆どの人が進学なり就職なりのかたちで地元から離れていってしまうということです。中にはもう掛川には戻って来たくない。という言葉も聞かれました。

年齢的に言っても一番行動力のあるのが彼等の年代、地元に残って何かを活動していく原動力の不足がここに見られます。彼等が掛川を離れていく原因は、当然の事ながら、大学などの教育機関が無いのと、彼等を満足しうる就職先が少ないということが主なようです。それに若い世代なら誰もが持っている意識ですが、一度は都会の生活にあこがれるというものが、その年代に強く出てきて「もっと楽しいところに行きたい」とか「掛川は田舎でおもしろくない」という言葉が出て来るのだと思います。

また、こんな意見もあります。昨年度のK高校卒業生の話にもあるように「あれもダメ、これもダメ」「とにかく高校生らしく」「そういう行為は就職や進学に影響する」などのような規制が多いということです。

ある高校生は「押さえつけられた規制の中で、いかに自分を当てはめて行動するかが問題で、それはすべて表面的に行動すればよい。」などと言っていましたが、すなわち学校側には「高校生らしく」思わせておいて、自分の心の中や学校以外では「反抗」していると言うことらしいのです。

そして彼は「学校に対して不満があれば、その原因を探り生徒全員で自治的に解決していけばいいのだが、みんな自分だけ犠牲になるのはうやだとか、他の生徒は、そんなに真剣に考えていないという意見が多く、結局は学校側のいいなりになってしまうし、一部の反抗だけが表面化して、反抗した者が損をするというバカげた事になり、他の生徒は、その様子を見て、心の中では思っているのに反抗をしなくなる。そして、誰かがやってくれるだろうとの他力本願的なものがあり、何も行動をせず次の世代に託していくのがほとんどじゃないかな。」と語ってくれました。

さて、現在高校生の方、あなたはどうお考えですか?ご意見があれば78%編集室までお便りを下さい。