時計の針は、只今12時を指しています。駅員さんは食事時でしょうか?今まで駅員室の中に居たのに、いつの間にか姿を消していました。 「こんにちは!」と呼ぶこと、二度三度。ようやく奥の方から出てきました。「すみません。写真を撮りたいのですが…ホームに入ってもいいでしょうか?」「はい、いいですよ。どうぞ、どうぞ。」理由も聞かず、あまりにスムーズに入れてくれたので、ちょっぴりうれしくなってしまいました。この辺がローカル線の国鉄らしからぬところ?
いよいよ二俣線に乗り込んでの旅の始まり。(旅といえるのかな?)
掛川駅にて電車の出るのを待つこと45分。午後2時19分掛川駅発新所原行き。思ったより利用客は多い。しかし、大半は学生が占めている。一駅ごとに乗客が減り、原谷駅を出発するときはわずかに6〜7人の乗客が残っているだけ。そして、無人駅のホームに電車が滑り込む度に、車掌さんが走っていってはホームの出入り口で切符を受け取っている。そんな光景だけでも。二俣線のあたたかさが伝わってくる。 掛川から豊橋間の見所と言えば、奧浜名湖の周辺くらいでしょうか。たまたまこの日は雨がポツポツ。夕日が湖面に映った風景などを想像すると…今回は見ることができなくて残念でした。全般的に車窓から見る周辺の景色は東海道線となんら変わりはないけれど、二俣線がもつのどかさや、ローカル線のゆったりとした気分を十分味わうことができる。たまには、一日ゆっくりと二俣線の旅などいかがでしょうか。(文:やなせかずこ)