正月は元旦以外は休みなし
Vol.46 1984.1月号掲載 
 この写真は、大正時代の呉服やさん(連雀の現コメ平写真店の前身である米平呉服店)のお正月風景をスナップしたものである。左に方に門松も見える。
 昔は年の暮れになるとお正月用にと、足袋や股引などの衣料品を新しく揃えたり、農村では一年間ずっと借金をして品物を買い求め、お米の収穫が終わった後の入ってくるお金で精算する家が多かったため、商店では大晦日までは目の回るような忙しさであった。
 しかし、大晦日の翌日の元旦だけは奉公人にもひまが出た。2日からは初商いの大売り出しが始まり、15日の薮入りごろまでは忙しかったようである。奉公人は薮入りが済んで、ようやくまとまった暇がもらえた。
 この写真は、番頭さんから小僧さんが元旦のたった一日のお休みを、店の前でのんびりと過ごしているひとこまである。一般家庭では、元旦の朝、氏神様へお参りに行き、子ども達は四方拝(しほうはい)という式のため全員学校へ行く。そしてお正月の遊びと言えば、コマ回しかカルタ、双六(すごろく)と相場が決まっていた。(写真:郷土新聞社発行「掛川今昔」から転載させて戴きました。)