私立から市立へ、掛川幼稚園
Vol.43 1983.10月号掲載 
 明治23年3月1日掛川報徳社の中に初めて私立幼稚園なるものが開園された。県下でも、明治19年に静岡市に開園されたのが始まりで、掛川幼稚園は草分け的な存在である。尋常科4年制の義務教育でさえも一般にはまだまだ普及されていない時代に、しかも、小都市の掛川に出来たのである。
 当然、幼稚園に通える子どもは、裕福な家の子どもに限られ、せいぜい各町内に一人くらいしかいなかった。第一回目の幼稚園児は約15名位で、ほとんどが士族(元の武士階級)の子ども達だった。お遊戯。唱歌、折り紙、豆細工などの他にカタカナの文字も教えてくれた。やっていたことは今の幼稚園とたいした違いはなかったようである。
 さて、この私立幼稚園は、翌24年にはもう休園となっている。しかし、その翌年の25年9月に、掛川尋常小学校の付属幼稚園として開園され、明治37年に廃園となってしまった。
 明治39年に再び開園し、大正9年頃に現在の市役所の所に移転した。その後約30年間掛川幼稚園として多くの児童を送り出したが。昭和24年に現在の瓦町に移転した。