その77 住み着いたファミコンゲーム
きまた たつしろう
 ファミコンも、とうとう居住権をむりやり獲得して、子どもたちの家に住みついたようである。ゲーム電卓が入りこむ時にも家庭、特にお母さん族や先生族には目の敵にされ、そのうちに住む場所を見つけたし、そしていつしか引き出しの中に消えていった。

 その時にも、一部の大人たちには受け入れられるところまでいったのだが、今回のファミコンブームも、落ち着きはじめた今を考えると、やっぱり一部の大人たちがとりこまれてしまっている。

 ゲーム電卓と多少違うこともある。ハードが任天堂でないとダメ、必勝法などの本や月刊雑誌などのもうけ商法が徹底化されていることである。
 何年か前の若者や大人たちのインベーダーゲームなども含めて考えれば、ブームは必ず去るとぼくは考えている。今年生まれた赤ちゃんが小学校に入るころには、「ねえねえ、ファミコンってなあに?」ということになるのではないか。

 さて、教職員組合の養教部(保健室の先生たち)というところで、ファミコンについてのアンケートを実施して結果が出た。小学生五千人、中学生二千人、合計七千人の調査である。一地方のこれだけの子どもたちにファミコンについてのアンケートをとったというのは、おそらく日本中でも例がないことと思う。ただ残念なのは男女別に調べていないということだけである。(以下の出てくる数値はこの点は注意してご判断いただきたい。)

 ファミコンを家で持っている子は小学生五十五%、中学生五十二%で、男の子では相当のものと予測できる。小学一年の四十四%から学年が進むにしたがい増えていき、小学五年の六十一%がピークになる。近頃では、幼稚園の子どもも相当数持っているようである。

 ハードやソフトの本に一人四万円相当(これは少なめにみてある)の支出をしていると仮定して、小笠・掛川地方の小中学生全体で数値を求めると、約四億九千万円である。電気代やら何やら、幼稚園や高校生など含めたらぼう大なお金である。

 家に帰ってのふだんの遊びは、小学二年からファミコンがトップになって、六年生が最高となる。中学一、二年がテレビが一位、マンガが二位、ファミコンが三位。
中学三年になるとファミコンは五位に落ちる。

 ファミコンが、小学校に爆発的に流行しはじめたのは約二年前から、特に一年前、半年前ではずみがついている。

 ゲームをやっている時間。
ウイークデイでは三十分以下、三十分から一時間が多いが、土、日曜日の場合は、一時間、二時間という子も増える。ウイークデイで小学生で六時間、中学生五時間という子もなかにいる。土、日曜日だと小学生十三時間、中学生十二時間という猛者もいる。家の人と何か約束事があるかというと、これは細かく分類すれば何百種類とある。しかし、なかでも、一日三十分以内とか一時間以内。宿題が終わったらやってもよい。土日のみ、または日曜だけやってよい。そのときにはテレビの画面から離れること。などが最も多い。

近頃は、お母さん方のヒステリックな姿もなくなった。
まさにファミコンは、家の中に住みついたのである。