その39 早朝のテレビまんが
きまた たつしろう
 日曜の朝は、六時十五分から静岡第一テレビで「太陽の牙ググラム」が始まる。月曜日からはテレビ静岡で六時に「ジャングル大帝」、第一テレビで六時十五分から「宇宙戦艦ヤマト」、けんみんテレビでは七時十五分「ハゼドン」、七時三十分から「ジャッカー電撃隊」、テレビ静岡で同じ時間から「ガッチャマン」。

 この月曜日の朝のまんがは、ワンクルー終わるまで、ウィークデーは毎日続けられる。そして終われば、また次のが再放送される。次々と古いまんががでてくるしくみになっている。それが最終回で終わっても、すぐに他の次のまんがにさしかえられる。

さらっと書きはじめたので、おかしく思わないかもしれないが、「朝」の六時からの話しですよ。ふつうの日、テレビ静岡が八時前に二つ、けんみんテレビは、なんと、だれが見るのか知らないが八時三十分までやっていて三つ、第一テレビも一つ。

 気になって、お隣の県の名古屋のテレビ番組も調べたが静岡で放送されているよりも少ない。まだ、まともである。

 いなかの小学校だと、だいたい学校の始まるのが八時か八時十分である。ほとんどの子どもたちは、七時五十分頃までには登校している。ごく普通の子であれば、七時三十分には、近所の集団登校の集合場所に来ているだろう。

 いま、じわじわと、まわりの子どもたちの中に、「朝からテレビづけ、テレビまんがづけ」の子どもたちがふえている。テレビを作って、マンガ作って、放送しているのはおとなたち。まんがを見せる親たちも含め、ふやしたのは、おとなたちなのである。

 ぼくが調べた、ある二年生のクラス。子どもは三十人。
・毎日、朝にテレビまんがを見ている子が、四人。
・ときどき見ている子が、六人。
あわせて三分の一である。

 幸せなことと言うべきことだろうが、「朝からテレビでまんがをやっている」ことを知らない子が一人いた。テレビ局は、再々放送くらいの番組だから、買い入れるのも安いし番組づくりをしないでも、手軽に穴埋めができて、らくでほくほくかもしれないが、親にとっては、たまったものじゃない。

 子どもの脳みそは、二時間位かけてゆっくりゆっくりと目覚める。六時半頃に起きだして、学校の始まる八時すぎくらいに、すっきりしてくる。小学校のはじまる時間のしくみは、そういう点で実によくできているのである。
 それを、頭がうまくうごいていない、起きばなに、いきなり、安っぽいうすよごれた(色の変色したような)画面で、バギューンバギューンと刺激されてしまう。
 無理矢理に脳みそが起こされてしまうのである。ほんとうに、たまったものではない。見せる親も親だが、放送する側もえげつない。

 そんな子どもたちは、朝早く、三十分も一時間も急激な脳刺激をうけてきたあとなので、教室でどんなようすを示すか、想像がつく。

教室は想像通り。アクビ、ぼんやり、ぐんにゃりである。テレビのはなやかな急展開する場面にくらべれば、先生の質問などはねむいだけだろう。これでは勉強がすすむはずがない。