再度、親に言いたい
Vol.60 1985.3月号掲載 
親と子の信頼関係は

高橋◆先月号では皆自分の親に対してかなり批判的なことを言っていたけど、ある見方をすれば、親は大人で社会に長く生きているから、体験的に言えば何もかも間違ったことばかり言っていないと思う。そういう意見も一部出ていたけど、そこいら辺の所でもう一度親について話し合いたいと思う。前回、東Aさんは親が世間知らずだということを言っていたけど、どういうことで世間をわかったいないというわけ?
東A◆前のお母さんから聞いたことなんだけど、法律のこと。女性の場合は離婚して6ヶ月以内は再婚してはいけないっていうことになっているでしょ。で、その事を電話してきて、まだ6ヶ月たってないけど再婚するとき籍に入れていいのかって聞いてきた。
高橋◆それが世間知らずだっていうこと?
東A◆うん。法律も知らない。
高橋◆だけど、その法律はあまり詳しくないんじゃない、普通の人なら?
東A◆えぇ!だけど(離婚したり再婚するときには)常識的なことだと思う。
高橋◆自分にかかわることなら責任を持つべきだということだね。知らないと言う前に…。
東A◆どっかずれているんだよね、あの人。一般的常識までもが。
高橋◆お父さん、いくつよ?
東A◆50才。
高橋◆そうするとあなたより34年も長く生きているだから、少なくともその分は世間を知っているんじゃない?
東A◆だけど、あの人知っているのは麻雀だけなのよ。だから。お父さんの知っている世間と、私の知っている世間とは、全く別の世界にあると思う。
高橋◆ということは、世間知らずということは、あなたの世間をお父さんが知らないということだね。だから悩んでいることもわかってくれない。他の人はこの事に関して何か意見はあるかな?
掛B◆親は知らないと思う。
掛A◆知られちゃまずいゃ。
高橋◆親は自分らの世間を知らない方がいいっていうこと?
掛B◆ちっとは知っていた方がいいと思うけど、頭が固すぎる。カチンカチンじゃん。
高橋◆でも前は、良く理解してくれているって言ったじゃん。
掛B◆それは、教育とかに関してだけとか…。
高橋◆家じゃ、よく親と話したりするわけ?(自分の行動を)親にだまっている部分って多い?掛B◆やばいことすればだまっているけど。
掛Aだまっているこんばっかりだやぁ。ばれるとヤバイ。
高橋◆東高の人たちはどう?
東B◆うるさい。というか、友達の家に泊まってもいいという親は多いと思うけど、うちの親は、姉が高校3年の時に、もう友達が卒業でバラバラになって会う機会が少ないから、パーティを開いて友達の家に泊まるっいう約束をしていたんだけど、親は夜11時頃姉を迎えに行ってつれて帰ってきた。
高橋◆お姉さんはいまいくつ?
東B◆二十歳。
高橋◆ということは2年前の出来事だね。いまもそうなの?
東B◆親にもそれぞれ考え方があると思うけど、泊まるのがいいのか悪いのかどっちが正しいとか言えない。
高橋◆他の人はどう?やっぱ泊まりに行くと親はうるさい?
東C◆私は、親に信用されるために、電話番号はここで、○○さんの家だからということを詳しく伝える。
掛C◆泊まっちゃいかんだぜ。
東B◆私の場合は、親友の家でも、親同士が仲良くてもね、いけないって言われる。特にお父さんがうるさい。
掛B◆やたらに行く友達の所の名前聞くだよ。「どこに行くの」とか。冗談で女の子の家に行くだよっていうと黙っちゃう。(笑)
高橋◆そりゃ、親がビビッてんじゃないの?
掛B◆というか、女の子の家だと安心できるっていう感じ。男同士だと何をやっているかわかんないから。
掛A◆俺の場合は、あたりが暗くなって出かけるときに聞かれる。
高橋◆明るいうちは?
掛A◆明るけりゃどこへ行っても知らんこんじゃない。
掛C◆門限あるもん俺んち、夜の10時。その時間を超えると絶対に入れてくれない。
掛B◆すげえ厳しいじゃん。
高橋◆しかしさ、親としては、行き先を聞いたり、知っておくことは当然だと思うけど。
掛C◆そうだよ。親は心配すると思う。あまり夜おそいとさ、自分の家でもその友達の家でも心配するもんで、そこらはよくわかっている。悪いなあと思うじゃん。でも、それをあんまりクドクド言われるとうるさいと思うじゃん。
高橋◆どこへ行くにもだんまって出してくれる親っていうのはどう思う?
掛A◆きもちわるい。
掛C◆普通なら、どこへ行くだってぐらいは聞くじゃないの!?。

親と子が対立するとき

高橋◆親と、こういう点で対立しているということがある?
東D◆親に意見するとき、私のお兄ちゃんの言うことは良く聞いてくれるけど、私の言うことは全然聞いてくれない。同じ内容のことを言っていてもそう。
高橋◆それは成人しているかいないかの違いじゃないの?
東D◆それが、小さな時からそういう扱いを受けていて、食べ物なんかも、お兄ちゃんがこれを食べたいと言えばいいけど、私が言うとダメだという。
高橋◆そうするとあなたの親は、男の方が貴重だと思っているのかな。それともあなたが望まざれざる子だったりして。(笑)
東D◆お兄ちゃんはね、親の思い通りにずっと進んできて、その反面私は全然違う方向になっているらしいから…。
掛C◆俺の場合は他の人とやたらに比較される。あそこの子は静大の教育学部にストレートで入ったとか、小学校の時に一番仲が良かった子が京大にストレートで入ったんだけど、親はそういう例を出してきて、なんでお前はそういう風になれんのかと言われるので頭にくる。
掛B◆しょんないね、掛工に入ったのが間違えだから。
高橋◆他人と比較されると頭にきやへん?○○さんとこの子はこんなに良い子だとかさ。
掛B◆そういうことはあまり言われない。小さい頃はよく言われたけど…もうかきらめているんじゃないのかな。
高橋◆勉強に関してはどう?
東D◆言われる。全部お兄ちゃんと比較されてるから、お兄ちゃんは学校から帰ってくるなりすぐ部屋に入って勉強するけど、私なんかテレビ見ていると「また、テレビ見ている。すぐに勉強しなさい!」って言われて、すごくうるさい。
掛A◆俺は言われたことを覚えてないやぁ。
高橋◆あんたの場合は、もうあきらめられてんじゃないの。(笑)
掛A◆信用されているって言ってやぁ。(笑)
高橋◆あっそうか、言われなくても勉強やってるから。(笑)
東E◆ウチの場合は、お母さんの方は最近あきらめているみたいだけど、親父の方は、この成績だと高校も出れんでね、その意味で勉強しろと言われる。自分の部屋から出ると「勉強したか!」って言われる。していないというと説教される。それがいやだから「したよ。」って答える。
掛C◆俺んとこも、親父がうるさくて、少しでも成績が下がると口も聞いてくれない。昨年の夏なんかは一ヶ月くらい話をしなかった。根性だよ。

再度、親に言いたいこと

高橋◆この場だと言えるけど、親の前だと言えないこともあると思うけど、78%を通して親に言いたいことを言って欲しい。
掛B◆かまうな。
掛C◆俺も、そういうこん。
高橋◆かまうなっていくこと?かまうなということは具体的にどういうこと?
掛C◆余分なことをグチャグチャ言うなっていうこと。
掛B◆朝だけは、かまってもらわなくちゃ困る。(笑)
掛A◆起きれんもんな。(笑)
高橋◆難しいもんだな親もなぁ。かまわないと、かまわんと言われる。何で起こさんだかって。(笑)
掛B◆俺は朝なかなか起きんだよ。だから家の人は、明日から絶対にお超さんぞった言うけど、結局、起こしてくれてさぁ、両親は言葉じゃきついこと言うけどやっぱしどこかで…。
高橋◆最終的にはかまってくれるんだよな。でもさ、そういう風に、どこかで自分も甘えているっていう所あるんじゃないの?
掛B◆あると思うよ。
掛A◆でもさ、必要以上にかまわんでほしい、ということもある。
掛C◆俺の場合は、電話の件。いろんな友達から電話がかかってくるんだけど、その内容のことで首を突っ込んで来るから困る。中には○まるくん居ますか?というだけで自分の名前を言わない友達もいるから、そういうときには、自分の名前も言えない人の電話は取り繋いでくれないでそのまま切っちゃう。一言二言がうるさい。でも、その件をぬかせばあとは良い親だと思う。
東F◆私の場合はお父さんは死んじゃっていないから、あまり記憶に無いけど、お母さんは死んだお父さんの代わりも務めなきゃならないので、いつも忙しいから、あまりうるさく言われる機会が無い。でも、妹がいるから、「お姉さんらしくしなさいよ」とよく言われる。それが少しいやだと思うくらい。
高橋◆親はさ、その状況を見ていろいろ言うじゃん。長男なんだから、もっとしっかりしなさいとか。
掛B◆それはあるね。俺も一人っ子だから、将来頼れるのは自分だけなんだから、もっとしっかりしなさいとか言われる。
東A◆お母さんはね完璧すぎていや。お父さんはとにかく自分の言うことは全て正しいと思っている所があるから、いくら長く生きているからと言っても、子どもの方が正しい場合もあるからね。もう少し頭をやわらかくして聞いて欲しい。
東G◆ウチの場合は、お母さんの権力が強くて、お父さんはちょっと頼りない。でも、友達のこととか勉強のことなんかにはあまり口を出さなくて、話がわかるイイお父さん。欲を言うならば、もうちょっと強くなって欲しいと思う。
高橋◆そうかぁ、お父さんも大変だな。肩身が狭いんだ。
東H◆お母さんに言いたいんだけど、最低限のことはやって欲しいと思う。
高橋◆最低限と言うことは?
東H◆そう、親としての最低限のこと。夕食とか……。
高橋◆作らないの?
東H◆というかね、パチンコ好きなんだよ。
高橋◆パチンコ?(疑いを込めた笑)
東H◆そう、凝りに凝っていて、夫婦そろって、一週間に一日パチンコ屋の休みがあって、それ以外はず〜と行っているの。開店から閉店までパチンコやっている。だからご飯は作ってくれないわけ。
高橋◆平日も行くんだ?
東H◆というか、お父さんは運送業をやっていて、仕事が入ってないときとか、そういう日が多いんだけど…。学校から帰ってくると家に中は真っ暗。冬は特に寒いんだよ。だから、そういうところを親は考えて欲しい。
東C◆でもさ、お父さんとお母さんはさ、朝から晩までパチンコやっていて自分たちはご飯を食べないの?
東H◆うん、食べないの。
東全員◆食べないの?!
東H◆朝食だけで、熱中すると何にもたべないらしい。
高橋◆それじゃ、仕事はどうしてるの?
東H◆仕事は、まあほどほどにやっていて、パチンコで儲けているからいいみたい。一応パチプロだから。
高橋◆それでメシ食ってんならある意味ではいいんじゃないの?でも、スゴイ親だね。
東H◆やっぱ、夕食とかはつくってほしい。
高橋◆最後になるけど、俺から一言。親の言っていることは、全部間違っているわけではないと思う。生きてきたなりの体験っていうものがあるじゃん。だから、子はその体験を活用しない手はないと思うんだよ。そういうことは無い?皆反発しちゃうのかな?でもさ、親は子に対する責任っていうものがいつもつきまとっているから、その分、子どもにいろいろと意見を言うと思う。その辺を皆にもう一度考えてもらいたい。