生徒会
Vol.58 1985.1月号掲載 
 今回で5回目にりますが、このコーナーの主旨がわからないという投書がありましたのでここで少し書きます。昨年の9月号を読んでもらえればわかると思いますが、高校生が主に学校、次に社会への不満や不合理なことを話し合い、表現し、主張しようということでこのこコーナーがはじまりました。
 現在では、当初月に一回だったのが週一回になり、参加者も10〜15名で毎回新しいメンバーが参加しています。実際にその内容がこの78%に掲載されるのはそのごく一部ですが、それも不満だらけで結論まではなかな行きつきません。他の読者の中でも主旨がわからないという人も多くいると思いますが、高校生の抱える不満はくみ取ってもらえると思います。
 多くの高校生は学校に対し不満を言えないでいます。卒業すればもう関係ないとか思って、在学の時には何もしないでいた(今の大人達)のがほとんどです。だから、校則も昔のまま。何一つ、生徒にとって良い方向にはむかっていません。不満があるときに不満を言わなければ、主張して行動しなければ、同じ悩みが次の世代にふりかかります。このコーナーに参加している高校生も「それ」を感じています。だから毎週「雑談会」を、彼らの意志で開いています。学校の中で今何が起こっているのか聞いて下さい。彼らの生の声を。(78%編集長 永倉章)



生徒会が車の免許取得の件で学校側に要望

掛A◆僕は生徒会の役員をやっているんだけれど、生徒と先生との板挟みで大変。免許取得の件で、昨年から取ってはいけないということでダメになっているんだけど、生徒総会で問題になって前期の役員が、先生に要望したら、「取らせるようにする」と言ったけど、未だにダメ。
掛C◆免許を取りたいんだったら、服装をちゃんとして、髪型をしっかりして、カバンをちゃんともってこい。ということを皆がやれば、ちゃんと考える、と先生は言ってたけど…。
掛A◆それで生徒総会でそのことを伝えた。
高橋◆その条件は生徒の方で少しは守られたのかな?
掛C◆前よりは良くなったみたいだけど、3年生が卒業した分だけよくなったみたいだね。
高橋◆結果はどうなった?
掛A◆少し良くなってもやっぱりダメみたいだね。先生は認めてくれないから。それに生徒会は力がないからだと思う。
高橋◆生徒会に力がないという言葉がよく出るんだけど、今回は島商(島田商業高校)の生徒もいるから、他の学校のことも聞いてみようか。島商の生徒会はどんな感じ?
島A◆先生のイヌって感じ。どうしても先生の言う通りになっちゃうから。ものッすごくうるさい先生がいてね、反対する先生がいると、その教室を隔離しちゃったりして、その先生一人で学校を動かそうとしている。
高橋◆ということは、生徒の意見は全然通らないわけ?
島A◆たとえば、バイクだけど、島商は川根とか遠くから通学している生徒が多くて、大井川鉄道は本数も少なくて高くつくから、どうしてもバイク通学をやらせてほしいと言っても許可されない。ただ頭ごなしにダメって言われる。

生徒会っていったい何なんだろう

高橋◆本来は生徒会はもっと力のあるものだと思う。生徒の不満をまとめて。それを学校側にぶつけて解決していく組織なんだよな。それを最大限有効に生かさなければ、先生のいいなりになる。
掛B◆この前の生徒総会はテーマが悪くて全然しまりがなかった。
高橋◆どんなことをやったの?
掛A◆盗難と紛失の件で話し合った。
高橋◆東高なんかどんな風に生徒総会やってんの?
東A◆2学期の反省とか、常任委員会の基本方針とか活動内容を発表して、「今回はこのテーマ」みたいなものは付けていない。
掛A◆そんだけ?
掛B◆そんなら20分か30分で終わっちゃうじゃん。
東A◆それが終わんないだよね。タラタラやってっから。
掛A◆質疑応答なんてやる?
東A◆でません。出ないもんで時間の無駄だからやめちゃえばいいって言われるからやめた。
高橋◆はっきり言うと、生徒総会って報告会みたいになっちゃってんじゃないの。
東A◆そう!予算なんてね、いったって全然パープーだからわかんないじゃん。「いいですか挙手してください」って言えば皆して挙手しちゃう。
高橋◆そんなんじゃ意味ないと思うな。
東D◆生徒総会が学校行事になっている。学期の年中行事に組み込まれていて、先生が決める。それを生徒が拒否することができない。
高橋◆それもおかしいね。先生が生徒総会をやらなければいけないなんて決めつけるのは、何か問題が起きたら生徒の発案でやるのが総会じゃないのかな。
東A◆そう!皆集まってね、予算なんかの話ししたってわからんしさ、だからやめちゃう。でもね、やめると生徒会は何やってるんだという生徒もいるから、報告会だけをやっている。
高橋◆だからさ、生徒総会も原点に戻って、「そもそも学校行事に先に組み込まれている総会なんて意味がない」という所から始めてさ、予算なんかの報告はビラ配ればいいんだから、「私たちはもっと他の事を総会でやります」くらいの事を先生に言ってさ…それがもう生徒会活動になると俺は思うよ。
掛A◆予算とか報告はビラでもいいと思う。聞いていると眠くなってくるもんな。全部書いて生徒に渡してあるのを、わざわざ総会でもう一度読んでいる。
高橋◆せっかう全生徒と先生が集まっているんだからさ、そこで一番話したいことを話さなければ意味がないな。いい機会だもの利用しないと損だと思うよ。

生徒から見た生徒会

高橋◆一般の生徒から見て生徒会はどういう風にとらえてる?
掛B◆何をやっているのかはっきりしない。
掛A◆いつも言われるよ、それ。今度は努力する。新聞を発行したりもしてるしね。
掛B◆あんなの汚いだけじゃん。もっときれいに書け。あんなんじゃ誰も読まんぞ。
高橋◆それは校内に配られているの?
掛A◆前期はね、クラスだけだったけど、今期は全員に配るつもりで段取りを進めている。
高橋◆それはその方がいいね。朝、学校の前で手渡しするとか熱意を見せれば、きっと皆読んでくれると思うよ。
東C◆東高とその新聞を交換するとおもしろいね。いろいろ意見を交換したりして…。(笑)
高橋◆東高なんかどう、今の生徒会に対しては?
東E◆前期はね、ほとんど活動しているようには見えなかったけど、後期はかなり活動的になっているから、これからもどんどん活動してほしい。別にこれという注文もないな。
東F◆私はあまり生徒会に関係ないように思っちゃっているけど、上の方で動いているという感じを受ける。
東A◆なんちゅーことを言うの。(笑)
高橋◆でもさ、生徒と生徒会がこういう風にさ、離れちゃうのが問題だよな。生徒会の役員だという名前が個人につくと、一般の生徒は離れちゃうみたいだけど、その辺はどう?
掛A◆役員の名前がつくときらわれちゃう。
東A◆あるねぇ、そういうことが。
掛C◆生徒から意見が出ないから、生徒会としても動きようがない時が多い。だから先生のいいようにされてしまうんじゃないのかな。
掛A◆だから生徒会がやることは、当たり障りの無いような事になって、それこそ、何やっているのかわからなくなってしまうと思う。
高橋◆生徒側から意見が出てこないのも困ったことだね。本当は不満だらけなのにさ。
掛A◆だもんでね、生徒会から意見を出すというんじゃなくて、周りからいろいろ意見を出してもらって、生徒の声みたいな集団をつくって意見をまとめて生徒会に提出してもらうようなのがあれば生徒会も活動しやすい。
高橋◆意見が出ないと言うことを、もう少し考えてみると、実際には言っていると思うんだよな。それを生徒会に提出するという型を踏んでいなくても、不満は顕れていると思う。たとえば、カバンをペッチャンコにしている生徒とか、学ランを細工している生徒とか、パーマをかけているとか、その人達は自己表現していると思うんだよね。そういう生徒は校則が不満だとかを見える部分でわざと違反してまでやっている。だから、生徒会でもさ、そういう生徒の意見を聞いたりすればいいんじゃないの。
東B◆そういう生徒は、生徒会を嫌っているんだよね。役員になる前に、そういうことを考えたんだけど、役員になると出来ないだよね。「私、関係ないから」って言って、みんなエスケープしちゃう。
高橋◆俺はね、そういう生徒との接点を持つ事が大事だと思う。言葉じゃ言わないけど、同じ様な不満は持っていて表現しているんだからさ。仲間になることだと思うよ。一緒に生徒会やればさ、おもしろい意見が出て来るんじゃないのかな。