高校生のアルバイト
Vol.56 1984.11月号掲載 
東高の署名運動の結果はいかに?

高橋◆今回のテーマは、高校生のアルバイトということなんだけども、それに関連して、高校生活の様々なことも話し合いたいと思っている。早速本題に入るけど、東高のアルバイトの署名活動はどのくらい集まった?
東A◆半分弱。一応は…。
高橋◆それで学校側には通ったのかな?
東A◆全然ダメ。先生に呼ばれて、生徒会の方に通さなければいけないと言われたので保留になっている。もう少し先になるけど、その時のために準備万端にしておかなくっちゃいけないと思うから、結果はそれからです。
高橋◆学校が、どういう理由でアルバイトを禁止しているのかといくことを皆に聞きたいんだけど。
東A◆前に先生と話したときは、「高校に入学してアルバイトをする位なら高校に入った意味が無い。高校3年間勉強して卒業したらすぐに就職して仕事をするんだから、今すぐにアルバイトする必要は無い」ということ。
掛A◆就職してやるんならアルバイトじゃないもんな。
東A◆それに、こんなことも言っていたけど「学生は学業が本分だからアルバイトは禁止。夏休みにアルバイトをした3年生が、就職の時には不利になる。」
高橋◆それは勉強を夏休みにやらないから就職で苦しむということかな?
東A◆そう。そして、「高校に来るならバイトをするな。もしバイトをするなら学業をやりに学校へ来るな。」ということ。

掛工はバイトは許可されている

高橋◆なるほどネ。掛工の方は状況はどうなの?
掛B◆ボクらは許可されているからね。
東全員◆エ〜ッ?イイナァ〜!!
掛A◆休みの時だけだけれど。普段は許可されていない。
掛B◆だけれど、何か家庭内の事情があれば許可されるみたいだけどもね。
東A◆その点は同じみたい。その先生が話の最後に言ったんだけど「僕も現実はきらいだ。」って目をうるませてネ。私はそれで感激しちゃった。
高橋◆その現実ってのはどういうこと?

東A◆先生個人としては、アルバイトは賛成なんだけど、学校側としては、もしも事故とかが有った場合には学校が責任をとらなければいけないし、そうすると許可を出した先生とかの生活の問題もある。ということでの現実。
高橋◆その先生はアルバイト賛成派なんだ。
東A◆そうです。
高橋◆掛工はあまり問題ないみたいだけど、アルバイトの許可は直ぐ出るの?
掛B◆申請すればすぐOK。
高橋◆先生はアルバイトについて、何って言っている?
掛A◆工業高校だということもあるけれど、就職したときに、アルバイトをやったことによって何かの役に立つし、社会勉強にもなるから。
掛B◆それに、就職したい会社でアルバイトをやって、就職シーズンの時に有利に持って行こうということもある。(笑)

バイトをやって退学させられた

高橋◆東高の先生は、アルバイトをやっていれば、就職の時に有利になるという考えは持っていないのかね。
東B◆アルバイトが悪いことだと頭から思っているみたい。それに、誘惑されるからって。(笑)
東C◆何か、私たちがアルバイトをやると、悪いことやると思っているのね。
東A◆お金を持つから、生活がハデになるとか…。
高橋◆そのように先生に言われて、どのように主張したの?

東A◆署名運動は、私個人でやったから、何度も職員室に呼び出されて、結果として、生徒会に通して個人の意見ではなく、全体の要望として出して欲しいと言われた。
東B◆一般に、許可される理由は、家が貧しくて、経済的に余裕がないとかなら、届け出せばアルバイトをやらせてくれるらしいけど。
東A◆あのさ、この話聞いたことある?一年生の生活部の生徒だけど、母子家庭で、家計を助けるためにアルバイトをやらなければならないということで届けを出して働いていたんだけど、アルバイト先がまずかったらしくて、退学させられちゃったの。
東C◆ウソ〜!バイトするのはしょうがないじゃん。許可出したんなら退学はひどい。
東E◆私たちが入学する前は、夏休みに2週間、冬休みに1週間はアルバイトが許されていたらしい。バイト先はある程度限定されていたみたいだけど、私たちが入ったら禁止されちゃっているので、以前は良くて今はダメというのもおかしい。働いてお金の価値とか、働かなければお金ももらえないとかの勉強にもなるし、無駄なことには使ってはいけないという気持ちになってくる、自分で働けば。

何のために何の目的でバイトをするのか

高橋◆ところで、皆アルバイトの経験はあるの?
全員◆ある!
高橋◆どう、その感想は?
掛C◆ガソリンスタンドでやったけど、エライ。朝9時からやって夜8時30分まで、それで時給450円。
掛A◆俺もガソリンスタンドだったけど、時給500円、そのかわり朝7時からだったけど、大晦日なんか夜中までタイヤを洗わされた。
高橋◆そのアルバイト代の使い道はどうなってんのかね?
掛A◆トータルで30万円位たまったかな。テレビとかビデオとかを買った
高橋◆わりとハイな生活だね。
東C◆私も冬休みに巫女さんのアルバイトをやった。おふだ売ったりして時給が450円。
掛B◆あれ、1日1万円くらいじゃなかったっけ?
東C◆それは夜。私は昼間だったから8日間で3万3千円位もらった。
高橋◆それで何に使った?
東C◆洋服買ったり、旅行に行ったりした。
東A◆私は変わったアルバイトをしたけれど、肉屋で鶏の足を吊す役目。ちょっときもち悪いから、イヤだなと言ったら、そこの主人が、イヤなら出て行けって。3日位でやめちゃった。
高橋◆こん中で、飲み屋でアルバイトやってんのいたな。俺が行ったらバイトやっていた。
掛○◆また来て下さい。カラオケ歌いに。(笑)
高橋◆東高も何だかんだで、アルバイトやってるんだね。
東A◆見つかると謹慎処分になるけどね。
掛A◆だけど、ボウズにならんでいいじゃん。(笑)

両校の違いは何なんだろうか?

高橋◆話題をもう一度もとにもどって、署名の件だけど、生徒の反応はどうだったの?
東A◆個人的に当たって署名とっていたんだけど、運動部の人なんかは、先生のミコが悪くなるから署名をやめさせてもらうとか、結果として居粘性が3分の2で、2年生が半分の署名がとれた。
高橋◆生徒の中で、先生に悪いからと言って署名をしないということは問題だな。掛工はこの状況を聞いていてどう?
掛B◆アルバイトは許可されているから、東高はかわいそうだと思うけど、署名で生徒がまとまるのがすごいと思う。掛工は全然まとまりがないし、皆好き勝手なことやっている。
掛A◆実際、先生に掛け合う前に、個々人が勝手にやっちゃうから、特にまとまることもない場合が多い。
高橋◆アルバイトは勝手にやってもいいけど、他の場合はどうなのかな。たとえば、髪の長さとかバイクの件なんかは?
掛B◆バイクはうるさいね。先生が警察に回って、誰が免許を取ったか調べて、リストを持って全員ボウズ。
掛A◆そういうときには、まとまって何かをやりたいと思う。
高橋◆ボウズにしたって乗るやつは乗るし、そういうことをすれば、生徒はこりると思っているのかね。もっと根本から先生も考えてほしいと思うけど。



 今回は結論が出ないまま時間が来て座談会が終わってしまいましたが、全員が楽しく討論したり、時には真剣になったりで、だんだんと会談もスムーズに運ぶようになってきました。