校則--服装とバイク禁止・アルバイト
Vol.54 1984.9月号掲載 
 今月号から、このコーナーを高校生と一緒になって、おもしろくしていこうと思っている高橋です。ヨロシク!
 さて、日頃、「こんなことおかしいんじゃないか?」「あんなこと絶対に我慢できない!」そんな不満でいっぱいの高校生諸君!学校や社会の隅っこでくすぶってばかりいないで、一度ここに来てみんなでぶっちゃけてみないかい?いくら学校の規則や先生の言うことは聞かなきゃいけないからったって、間違っていることは間違ってる、おかしいことはやっぱりおかしいとハッキリ言おう。そりゃあ、大人の言っていることには正しいこともたくさんある。だけど、それと同じくらい間違っていることだってたくさんあるのさ。若いのに言いたいこと言わないでいるのは体によくないぜ!「言ったところで、何も変わりはしない…。」かもしれないけれど、とりあえず「表現」することから始めよう。「表現」しなかったら、「主張」しなかったら、やっぱり「グチ」にしかならないんだから。
 お便り結構、直接、「俺の、私のこの話を聞いて欲しい!」っていう激白版ならなお結構。「校則・教師」「勉強って?」「社会って?」そんな話題を中心に毎回テーマを絞って、高校生と一緒になってワイワイやっていきたいと思っています。
 今回は、まず第一回ということで、高校生活全般について、みんなで思っていることを喋くってみました。これからのシリーズいつまで続くやら…。 高橋 宏



校則…服装とバイク禁止について

掛A◆学年によって校則の程度が違う。厳しい先生がつく学年はそれなりに厳しい。パーマはダメなんだけど、高学年になれば良い場合があったりする。服装でも、物差しを持って飛び回っている先生もいる。
高橋◆物差しで何をするわけ?
掛B◆ズボンの裾の長さを測るためです。「おっ、おまえ23センチだからダメ!」とか言って。
掛A◆先生が見た感じで「ちょっと待て!」ということになる。
高橋◆東高(ほぼ女子校)の人たちはどう?
東D◆スカートは28ヒダという決まりがある。
高橋◆そんなの見てわかる?いちいち数えるの?
東E◆先生はわかるみたい。(笑)
高橋◆髪型なんかどう?
東D◆流行のカットとか髪型とかは、いけない。チェッカーズとか。
高橋◆難しい表現だな、流行のカットなんていうのは。実は先生が一番すすんでいたりして、七三分けなんていうのは時代の最先端だもんなぁ。(全員笑)
掛A◆ポンポンの問題もありますね。乗っちゃ行けない都下の、三無い運動とかがはやっているんだもん。
掛B◆大人の言い分けとしては当然かもしれんけえが、ただ(免許を)取らせないようにしている。
掛A◆こういう時に先生がおしえてさぁ、「どう乗るべきか」とか「どうすれば安全に通行できるか」とかを指導すべきだよな。先生は乗っているのを見つけて罰を与える。冗談じゃない!禁止するのが先生じゃなくて、教えるのが先生なんだから。
掛B◆よく中学校で自転車教室ってあったよな。だからポンポン教室やったっていいじゃん。(笑)
高橋◆東高じゃどうかな。
東D◆駅まで(自宅から)6km以上あればいいみたい。でも途中バス停とかがあれば駄目みたい。
掛A◆掛工(ほぼ男子校)も校長の許可があればいいんだけど、校長も(禁止することでは)同じ穴のムジナで、ほとんど許可してくれないね。
高橋◆他県じゃ高校生が免許取って乗ってもいいところがあるね。
掛A◆そう。住んでいる地域で差別するのはおかしい。その県に行きたくなっちゃうね。
高橋◆何故禁止するんだろう。先生とか親とかはどう言っている?
掛B◆危険だからとか、暴走行為に走るとか…ともかくうまく誤魔化すね。
掛A◆親は学校の規則が禁止じゃ無くて、黙認とか推薦とかならいいみたいだね。実際に他の県でもやっているんだから。

アルバイトの問題と両校の関係

高橋◆他にはどう?何か問題になっていることはある?
東E◆バイトをやりたい。見つかったら謹慎じゃん。ひどいときは退学だって。ハッタリかもしれないけど。
掛A◆退学?それじゃ俺なんか何回退学させられたかわからんな。
高橋◆だけど、バイトやっているのはいっぱいいるじゃん。
掛A◆いますよ、みんなやっている。
東F◆だけどさぁ、バイトなんて社会勉強と一緒じゃんね。
東E◆二学期になったら(バイトを許可して欲しいという)署名運動をするけど、2/3集まればいい。
掛A◆俺らんとこなら100%集まっちゃうぜ。
東E◆全うに反対すればいいの。ただ反発、反発じゃなくて。
高橋◆生徒の方で署名集めて、それがすんなり通るかというと先生が「ちょっと待て!」と言うんじゃないのかな。
東E◆大丈夫です。先生のミコがいいから(笑)
高橋◆ほかにはそのような(生徒側の)動きはないの?
東E◆文化祭の時、掛工と一緒にやりたいとかは、友達が皆んな言っているですよ。体育祭は応援団長を掛工から呼んで、東高はチアガールを作ってやるとか…。
掛A◆いいよ。それなら俺は賛成しちゃうな。
高橋◆学校近いんだし、一緒に出来たらいいな。文化祭とかはおもしろいと思うよ。だけども先生は、よく思わないんじゃないの?
掛A◆掛工の方はどうかわかんないけど、東高のセンセイ方はさぁ、あそこの学校はとか、言うと思うよ。西校ならいいけど掛工となるとさぁ…。
高橋◆そういうことがあるわけ?
東E◆そう!何でも(行事を)ずらすのよね。
掛A◆授業終わる時間もずれている。
東D◆修学旅行は(行くところが)一緒だけど、コースを反対から回す。(笑)
高橋◆反対からまわすの?
掛A◆そう!センセイはそこいら辺を密接に(打ち合わせを)している。お互いに会わないように…。

「ツッパリ」の最近の傾向は…

高橋◆ところで、俗に言う「ツッパリ」に関してはどう?
東D◆いないねあんまり。みんなやめちゃう。
掛A◆みんな「シメられて」やめちゃうとか、途中で飽きちゃう。就職が近いのでやめるとか、ほとんど車の方とかに行っちゃう。
高橋◆飽きちゃう?ツッぱることに飽きちゃうの?
掛A◆そう。車乗りたいと思えばそっちの方に頭がいっちゃうし、ツッパリに金を掛けるんなら車に金を掛けたほうがいいし。
高橋◆世間じゃ外見で判断するじゃん。カバンぺっちゃんこにしたりとかさ、そういうこと言えば、ここいらの衆(談話中の高校生)皆んなツッパリじゃんね。でもさ、外見なんか皆んな好きなカッコすりゃあいいんだよ。自分の考えていることを、例えば、オートバイのことでも、アルバイトのことでも、祭りのことでも、自分らの中で間違いだったとすればそれでいい。ただ、何故いけないんだろうと「センセイや大人達が言うのはおかしい、オレらは間違ったことをやっておらん!」と思ったら、その事を筋を通していく。そういうことの方がむしろ「ツッパリ」だと思う。外見で決めつけるのはおかしいような感じがするよな。
東E◆でも、なんか、考えていることは外観に出てくるからねぇ。
東D◆そう、うちの親なんかすごく外見を気にする。
東E◆だって、髪の毛チャッチャでさ、真っ赤なマニキュアしててさぁ、そんで赤いパチピンしてさぁ、マツ毛ピチャッてやってて、そんで、全うに勉強しているなんて言えないもんね。
掛A◆僕らは男だから、すっごく怖いことがある。運動靴履いてて、ジーパンはいて、Tシャツ着てて、普通のカッコしてて、学校に行ってない有職少年だから、バイクなんか乗っているわけですよ。普通のカッコしているから普通の人かなと思っていると、囲まれて殴られたりすることがありますからね。そういう衆は、中学校の時すごくて企業に入ると、そういうわけにはいかないから案外ラフなカッコしているけど、実は、その仲間で愚連隊組んで、囲んで殴るとかね。いますよ。ナマイキだとか、掛工でチャラチャラしてるとか言ってね。いますよ。
高橋◆しかし、就職してまでまだそういうことやってるなんて、何考えてんだろうね。
掛A◆本当に、ゴクロウサンです。やらしときゃいいんですよ。(笑)
高橋◆東高のほうは、頭パーマかけてマニキュアしている人たちとはよく話すの?
東E◆あまりないけど、そういう人は話していることがほとんど彼氏のこととか車のこととかね。ついていけんくなっちゃうんで、話は合わんね。

不満に対する解決方法は?

高橋◆いままで様々な事が出たけど、校則に対する不満とかを、皆んなで話したり、先生に言ったりとかはするのかな?
掛A◆言っても無駄じゃん。
東E◆というか、みんなそのことわかっているから。
掛A◆開き直っちゃう。他の生徒には「またあいつら言っている」くらいにしか言われない。「まだ言っているだか。」くらいにしか…。
高橋◆優等生なんか、こういうことに関して言う?
掛B◆絶対に言わん。ミコを気にしてっからね。
東D◆でも、そういう人の方がカゲで何やってんのかわからない。
高橋◆皆んな考えてるんだけど、どうにもならないということ?
掛B◆よっぽど皆んながまとまらんとね。
高橋◆個人の力は小さいじゃない。クラス全部で団結して、筋を通して言えば、どうかな。
掛A◆先生によっても、先生同士の力の格差があるから、言っても無駄じゃん。中には怖がったりする先生もいるよ。
東E◆学歴だけが人生じゃ無いんだから、私は、遊ぶときは遊ぶ、勉強するときは勉強する、というふうに「けじめ」をつければいいと思う。だから皆んな校則を破って適当にやっていると思いますよ。
掛A◆校則なんて有って無いようなもの。やりたいことはやってます。先生もあまり言わんね。



78%編集室から
若者たちの生き方に、一番大きな影響を与えているのは、現行の教育制度であろう。幼児期から小学、中学、高校と、彼らの今日までの人生は、点数主義で、一方的に知識を詰め込まれて、社会的にも政治的にも体験らしい体験をすることも少なく、ただ年を重ねてきたという図式が大多数の若者にあてはまる。一斉主義の中で資本家達がうまく彼らを利用できるように、何もかも同じ様に押さえつけられた中で教育されていく。中学では高校に行くまでとか、高校では就職するまで、大学に行くまでとか、何もかもやりたいこと、その時しか出来ないことまでもが先へ先へと延期されていく。このような状況の中で、積み重ねられた不満が生じるのは当然。勉強しなさいという家庭での言葉も親たちへの不信感を助長させる。もともと人間にとって、知識だけが全てではない。体力や豊かな感性をのばすことも大切な要素である。人間としての成長、個人の可能性は、現行の教育からは生まれてこない。今日の話し合いを聞いていて、当の本人たちはその囲まれたワクの中から、適当に足を出し、手を出すことで満足している印象を受けた。読者の高校生諸君はどう受けとめましたか?次回のテーマは「祭り」です。今回に関することでも、祭りに関することでも読者の意見を募集します。また、座談会に出席したい高校生は連絡をください。(編集人:永倉章)