松野こうき 
Vol.39 1983.6号掲載 
青森県生まれの28才。歌の世界に入る前は油絵を描いていた。SBSラジオの「フリーステーション1200」(毎週水曜日PM8:00〜10:00)でディスクジョッキーを半年づつ2年間務め、現在はコンサート活動を中心に活躍している。今年の10月から再びラジオに登場する予定。代表曲は、ポーラ化粧品のCMソングにもなった「クイーンはまぶしい」。レコードは、シングル5枚、LPを1枚出している。中々の男前です。

                              
(文:やなせかずこ)
松野さんはSBSのDJをやっていたこともあって、本拠地の東京よりも静岡県内での人気が異常に高まっている。当然の事だけど、知っている人は知っているけど、知らない人は全然知らない。4月29日に行われた、ひょうたん島のライブコンサートでは、大半が中・高校生で埋まった。

78%◆いつもコンサートやると中・高校生が多いんですか?

松野◆ううん、そんなことはない。いつもはもう少し年代が上なんだけど、今日はラジオ(番組の担当)が終わって久しぶりだから…。一ヶ月ぐらいブランクがあったからね。静岡市とか東京でやってる時は、殆どが20才前後が多いですね。

78%◆音楽を始めてどのくらいになるんですか?

松野◆やっと4年目に入ったとこ。

永倉◆きっかけは?

松野◆絵を描いていたんだけど、よくライブハウスに遊びに行ってて、そこで歌を歌ってたわけ。ディレクターなんかもきてて、話があったとき「じゃあ、おもしろいからやっちゃおうか」って、それでこの道に入っちゃった。

78%◆音楽活動は静岡と東京とどちらが多いんですか?

松野◆静岡の方が多いですね。今はSBSがらみのコンサートが多いんで…。これからも、静岡のあっちこっちでいろんなことやっていきたいと思っているんだけど、場所がね…変なところでやると、中高校生が入れなくなっちゃうから…。

78%◆今日は、どうでした?

松野◆やりやすかったよ。でも、静岡は特にそうなんだけど、聞きに来るというより、会いに来ているって方が強いんだよね。番組が終わっちゃったってこともあるけど…。東京の方へ手紙くれるんだけど、ほとんど自分の周りの出来事なんか書いてくるんだよな。「俺、この前女の子好きになっちゃって…」とか、そんなのばっかり。普通、ファンレターって言うと「いい歌うたって下さい」とか「こうきさん頑張って」とかっていうのが多いはずなんだけど…。

78%◆みんな、兄貴みたいに思ってるんじゃないですか?

松野◆そうなんだよね。だからみんな俺の言うこと良く聞くよ。この間も、前の列は女の子、男の奴は二列目より後ろへ行けって言ったら、一列目は女の子ばっかりになっちゃった。次からは、男の子は進んで二列目以降に座って居るんだよね、アハハ…。



コンサートが終わった後は、サイン会みたいになっちゃって、みんな一列にずらっと並んで待っている。ひょうたん島ではかつて無い光景である。中学一年の男の子二人は(サイン会が終わり帰るとき)松野さんが横を通り過ぎていくとき、そっと手を伸ばして握手を求めた。ぎゅっと握り返えされて何とも言えないうれしそうな顔をしていた。もう一人は階段の所で、今夜の夜食にと言って、インスタントラーメンと糸引き納豆を渡していた。
ライブハウスひょうたん島にて