敬老マッサージサービスと事業実施のお願いへの回答
Vol.24 1982.3月号掲載 
 1月号掲載しました、盲人だけで組織されているマッサージ業の掛保支部の「敬老マッサージ・サービス事業実施陳情書」が提出されて1年以上も回答が得られなかったためにこのコーナーで取り上げました。その後、福祉課から回答がありましたので掲載致します。

陳情書の内容(再掲載)
 掛川市におきましては老人福祉向上のため各種事業を実施くださり感謝申し上げます。
 私達、あん摩、マッサージ、指圧、はり及びきゅうを行う者は最近ますます充実しております。
 近代医療の中にあって、筋肉をほぐし、血行をよくし、心神をやわらげ人間の五体を安定することに大きく寄与し、老人はもとより婦人、スポーツ選手等にも広くご利用いただいていますが、いまだ保険制度の適用を受けて居ないこと、老人医療の無料化による客離れ、心身障害を持たない者の(業界への)進出などによって生活の不安を感じている毎日です。
 つきましては、老人福祉の一層の向上をめざし七十歳以上の老人が、あん摩、マッサージ。指圧、はり及びきゅうなどを希望する場合、掛川市で「サービス券」を発行いただき、施術代金を掛川市と施術業者が負担し、老人の健康増進に寄与することが出来る「敬老マッサージ・サービス事業」を実施いただきたいと存じます。
 すでに全国各地で実施され、静岡県内でも磐田市の実施をはじめ数市で実施のうごきがございます。掛川市の一日も早い実施により、私達心身に障害をもちながらも自ら働くことによって生きがいを見出して、老人福祉の一助を、からだをはって技術、教養、向上し努力いたしたいと存じますので、この切なる願いをおふくみ取り下さいますよう、重ねてお願い申し上げます。




              
福祉課からの回答

 国民保健に関しては全国的な制度のため、掛川市だけが独自で行うことは出来ない。ただし、「はり」だけは医者が認めた場合に限り健康保健扱いになるが、それも掛川市民病院の中で中国ばりを扱っているので民間に委託することはほとんどない。
 「敬老マッサージ・サービス事業」を実施するという件に関しては、磐田市の例をとると、ほとんど利用者がないというのが実情なので、掛川市でこれを実施する予定はない。生活の安定が計れなくなった時は、他の福祉として考えていきます。




 以上が市から出された回答です。「ほとんど利用者がない」という磐田市の昨年4月〜12月までの「敬老マッサージ・サービス事業」の実際の利用状況は361回でした。(編集部が磐田市に直接聞いた数字です。)掛川市の言い分もわからないわけではないが、不可能な「国民保健を扱ったらどうか」という安易なその場逃れの言葉は使ってほしくないものである。そして、今回の陳情書の回答でただ「できない」と回答するのではなく、不可能でない何らかの手段を一緒に考えていって欲しいものです。
 心身に障害を持ちながらも、希望に満ちて働けるようにと一生懸命努力しているのだから、市は働く意志のあるすべての市民の生活を守る義務があるはずだと思います。読者の皆さんは、この結末をどう感じられたでしょうか。