高校生の退学問題
Vol.18 1981.9月号掲載
古賀教諭(掛川工業高校)
 「掛川在住の高校生が、年間に100名近く退学している」ことをご存じでしょうか。この数は大変なものです。10年間で1000名ということになるからです。(静岡県内でも年間に1000〜1500名の退学者を出しています。)

 どうしてこんなことが起きるのでしょうか。事情はいろいろあると思いますが、ほとんどの事例が「何かの非行のために退学させられた」とか「成績不振で年度末に落第し、そのまま学校をやめた」とかの理由です。

 では、「どうして非行が起きるのか?なぜ落ちこぼれていくのか?」ここがかんじんな点です。非行の場合のほとんどが高校に入って新しい友達ができない事から出発します。成績不振は二次的な原因からおこったり、何か個人的な趣味にこったりするところからおこったりします。いずれにせよ集団生活が要求される高校においてそれに不適合する点から発しているようです。

 こんな集団生活は小中学校で充分してきているので高校では容易に出来そうに思われますが、なかなか新しい集団の中ではその力が発揮できません。「入試制度の問題点」「学校側の受け入れ体制」など理由はいろいろですが……。

 さて、本題に戻りますが、「生涯教育」を自認する掛川で、他の市町村と同じように多くの退学者を出しているのはいささか残念です。その責任は学校の教師が負うと同時に、その環境を作っている市民にも負う必要があるのではないかと思います。学校教育・地域教育を見わたした時、子供のためにあるのは、「スポーツ少年団」と「子供を守る分科会」など位で、それもすべて、小中学生のためのものです。もっと掛川に多くの幅広い教育団体やサークルを作る必要があると思います。それから多くの設備・施設を無料で開放することも必要だと思います。今の高校生が健全に多くのサークルが作れるように。