歩け歩けのコミニュケーション
Vol.4 1980.7月号掲載
幸田廣治(掛川電気商会社長)
 自分では若いつもりで振る舞っていても“もう年なんだから”などと差別(?)を受けたりすると憤然として“年寄り扱いをするな”と腹をたてたりする。
 年をとっても年を感じさせない年輩者もいれば、一向に若者らしからぬ年若い人が居たりする。私の言いたいのは「青春とは心の若さである」(松下幸之助語録より)ということである。このことが実は、掛川市長の言われる生涯学習の出発点でないかと思う。年にとらわれないで、創意と熱意を燃やしてできるだけ新しい時代に挑戦し、自己啓発につとめる。“弾む心の持ち主”そんな自分になれたら素晴らしいと思っている。

 それには何と云っても健康でなければならない。そこでジョギングを志したが、先ず足慣らしに、初級“歩け、歩け”から始めることにした。年を考え、己を知り無理をしないのも年の功か。一人では生来の意志薄弱から長続きしそうにない。そこで隣町の仁藤、昭和一桁から二桁の青年団(?)に仲間入りして、早朝散歩に合流する事にした。

 大正一桁の自称“青年ドクター嬢”を交え十五〜十六名のグループで、六時十五分に集合、出発する。行く先は付近のお宮、お寺など。先日は長けん池のほとりを朝露に足を濡らしてまわった。歴史とか故事来歴、或いは悪童の頃の想い出話しなど談笑しながら歩くのは疲れも忘れて実に楽しい。

 コースはその日のリーダー任せで、一斉に歩き出す。四キロメートル位のコースを四十分足らずで歩破(?)する。なかなかのハードトレーニングである。行き交う人々に「おはよう!」と大声で挨拶を交わし、すがすがしい緑の風に呼吸を整え、朝の優しい陽光に軽く汗をかいて歩くのは実に気分爽快である。体調極めて良好。とにかく朝メシがうまい。これからも続けてやがてはジョギングを始めたいと思っている。そして、この地域のコミュニケーションを大切にして、自分の領分だけでなく地域の中の自分を活かすべく努力をしたいと思っている。

 誰だ“年を考えろ”と言うのは。それにつけても、私にこの幸せを授けてくれた仁藤の青年諸氏に感謝をこめてペンを置く。