省エネ時代、今と昔。
Vol.2 1980.5月号掲載 
木村朔二
 省エネ時代、この言葉が新聞紙上や各種団体の行事等で毎日のように騒がれている現在の世相を想う時、私達老年者には、三十五年前の敗戦が、最近の様に錯覚させられる。物資の皆無に近い状況の中で、一つのものを分けあったり、配給制度や、点数制等々、今の若い人達が聞いたら笑い出す出あろう苦しい時代に、いかに物が大切であったことか。この時代のことを思えば、今の省エネ・省資源は「へのかっぱ」であると思います。買い物をしても包装紙などもなく、古新聞紙などを皆二度、三度と上手に使った時代であった。

元に返す運動

 省エネ時代、個々人が消費は美徳という使い捨てをやめて、必ず物資を二度のお役に立つように心掛けたならば何も「大切な日本国」という言葉を持ち出さずともよいのではないだろうか。身近な事、例えば毎日のように各家庭には、包装紙や新聞紙、段ボールなどの紙類がたまります。それらをちよっと整理して、たとえ交換して、ちり紙や金銭にならなくとも「富士、吉原の紙業工場へ返そう」の考えに立って頂きたいと思うのであります。又、町内会での共同行事にしてもよし、学区の助け合いにしてもよいのです。大きな協力の力は限りなくふくらんでいきます。灰にしてしまえばもうこれは紙にはなりません。省エネの真念に燃えて、町ぐるみ、市ぐるみで元に返す運動に協力しようではありませんか。

無駄をなくすことから

 掛川市には、勤倹貯蓄の本家本元の省エネの殿堂、大日本報徳社があります。私は、決して「ケチ」になれと言うのではありません。物を大切に、無駄をなくしてよりよき生活をするということは、現代人のエチケットであり、市が宣言した「生涯学習」の根源であろうと考えます。経済道徳は掛川から、と言われる様にお互い努力をしましょう。