手造り味噌
Vol.46 1984年1月号掲載
施設の一般開放

ここは小笠農業高校の食品加工実習室。「あれっ、ずいぶん老けた生徒だなあ?」なんて思わないで下さい。今日は、掛川いちご組合の生活改善婦人会のみなさんが、ここで味噌作りに励んでいるのです。

小笠農業高校では4年程前からこうして学校の施設を開放し、菊川や掛川、小笠地区の婦人会のグループの人達に利用してもらっているのです。

それぞれの家庭で一年間ぐらい食べられる量の味噌がここで作られます。今日のグループの人達は、全員が農家の婦人ということもあって、今日持ち寄られた大豆もお米もすべて自家製です。このグループは今年で3年目になるので、味噌作りはかなり慣れています。

ある婦人は「ここで作る前はおばあちゃんが作っていました。ここで作った味噌を食べると買った味噌は食べられないですね。家族の評判はいいですよ。手造りの味噌はコクがありますから…。」と、かなり自信ありげ。
今日作られた味噌は来年の夏を越した後が食べ頃。本当は気温の関係で春先に作ったものが一番おいしいんだそうです。

味噌のつくりかた

味噌作りは、作り始めれば意外に簡単。材料は大豆と米麹と塩だけ。(大豆と麹の割合で、赤味噌、白味噌、麹味噌に分けられる。大豆を多くすれば赤味噌、麹を多くすれば白味噌となる。)同じ一対一の分量にすれば、甘くてなおかつ白い味噌が出来上がります。

今日のグループの人達は、大豆だけで二斗(20升/約30キロ)位の量が用意されている。もの凄い量でビックリ!でも、大きな圧力鍋で煮るので瞬く間に煮えてしまう。(と言っても一日がかり)普通の家庭なら家庭用圧力釜があると便利です。
麹は麹屋さんに行って大豆と同じ分量を買い求め、煮上がった大豆と混ぜて下さい。この時、大豆があまり熱いうちにやると麹菌が死んでしまうので、ある程度冷めてからやった方が良いそうです。
塩は60対1の割合で入れます。あまり塩分を控え過ぎるとカビが生えてきます。全てを入れよく混ぜ合わせた後、小笠農業ではミンチ用のこしき機でこすのですが、餅つき器でも出来ます。餅つき器がない場合はちょっと大変ですが、すりこぎで潰します。後は樽などの容器で6ヶ月間位熟成させてできあがりです。この味噌からつくる味噌汁は、素朴で味噌のおいしさが味わえます。

一日一杯は味噌汁を

小笠農業では最近、はと麦の味噌も作ったそうです。これがなかなか評判が良いそうです。帰り際に生徒達が作った1キロ200円の白味噌と、1キロ230円のはと麦の味噌を買ってきました。明日の味噌汁が楽しみです。味噌汁は健康に良いそうですから、みなさんもどんどん召し上がってください。
仕込みが終わり熟成を待ちます。
生徒達が昨年作った味噌。