「園芸科」果樹
Vol.45 1983年12月号掲載
コクのあるミカン。

本校から北西約1キロ離れた高田ヶ丘農場の茶畑の向こう側に、黄色く色づいたミカンの鮮やかな色が目に入る。ただいま小笠農業高校では、ミカンの収穫の真っ最中。そんなに大きくない樹に沢山のミカンが成っている。今年は豊作の年に当たり、味の方もなかなか評判が良いとのこと。
今ではどこでも甘さだけを重点に置き、いろいろな研究がなされているけど、本来はある程度酸味があって、甘さも適度にある、いわゆるコクのあるのが、静岡ミカンの特長だそうです。これは、ハウスミカンや九州産のミカンでは味わうことのできないものです。
取材の帰り際にいただいたおみやげのミカンを早速車の中で試食させていただいた。ひとつ、ふたつ、みっつ、と次々に手が伸びてしまい「とり立てだから2〜3日おいてから食べた方がいいですよ。」と言われたにも関わらず、その前になくなってしまいそうな勢い。コクがあってとても美味しいミカンでした。

最後は僕らの胃の中に入る?!

さて、今日収穫されたミカンは、11月19日・20日に行われる学校祭で、2キロ入り200円で即売される。続々と収穫されるミカンは、学校祭で即売されたり、校内や他の学校で販売され、大城農協から各地に出荷されるミカンもある。
ある生徒は「出荷できない小さいミカンはジュースになり、ジュースにも出来ないミカンは僕らの胃の中に入る。」と言っていました。学校内にはミカン貯蔵庫も有り、2月中旬ぐらいまでなら一般の人でも分けてもらうことができるそうです。

園芸科果樹専攻の生徒は3年生7名(内女子2名)と2年生6名となっている。しかし、果樹専業農家の家は一人もいない。果樹は全然やっていない家の子もいれば、お茶と兼業の家の子もいる。ミカンは手間が掛かる割にはお金にならないからだ。

3年生は青島温州(うんしゅう)という成熟の遅い晩生(おくて)のミカンを一人当たり5アール、約50本の樹を担当し、2年生は一人当たり1.5アール、約26本の成熟の早いミヤガワ早生(わせ)を担当して、一年間実習で行う。

今日収穫しているのは2年生が担当するミヤガワ早生である。これから冬に向かって、ミカンの需要はますます伸び、冬の果物として欠かせないものになっていく。コタツに入ってテレビを見ながら食べるミカンの味は格別である。これからも、ミカン本来のコクのある静岡ミカンが、より多くの家庭に運ばれていくことを願っています。