「園芸科」
Vol.43 1983年10月号掲載
植物は子どもと同じ!?

植物は、母親が子どもを育てるのよ同じ様な思いやりがないとうまく育たないという。子どもが泣いているとき、オムツを取り替えてほしいのか、ミルクをほしがっているのか、母親ならばすぐに見分けられなければならない。植物も同じである。水が少なくても多すぎても枯れてしまうし、もちろん肥料の与えすぎも枯れる原因になる。植物と接するには子どもを育てる時のような心配りが必要。
小笠農業高校・園芸科の草花を専攻している3年生の生徒は男子4名、女子4名の8名。生徒は専業や兼業農家の後継者、花屋の後継者、関連業にお嫁に行く人それぞれだけれど、みんな優しい心の持ち主の生徒達ばかりである。栽培を実践しているハウスの中には、ハイビスカス、ポトス、ドラセナ、オリヅルランなどの花や観葉植物が所狭しと置かれている。
生徒達は、苗木を鉢に植えたり、土に肥料を混ぜ込んだり、剪定をしたりと、それぞれ自分が選んだ草花の管理に余念がない。自分達が選んだ草花は、種まきや挿し木から苗作りなどの生育の段階まで個々で管理し、最終的には販売されるので、それまでの経営分析まで行う。成長した草花は花卉市場や一般に売られていく。
植田秀行くん(3年生)
家は果樹園芸の専業農家。後継者である。「ハウスの中って冬は良いけど、夏は暑いし…。うちのおばあさんなんか腰が痛いって言っている。」なかなか大変な仕事のようです。
谷口京子さん(3年生)
「結婚しても緑を絶やさないような家庭をつくりたい。」という谷口さんは、自宅の空き地にいろいろなものを植えたら、虫が付いて全然ダメだったとガックリ。卒業後は普通の会社に勤めますとのこと。
又平寿彦くん(3年生)
園芸やってて性格変わりました?って聞いたら「もとから優しい性格なもんで…。」と言っていた又平君は、家業が花屋さん。卒業したら京都へ行って、庭師の修行をしてくるそうです。
水野 薫さん(3年生)
お茶の専業農家の後継者です。2〜3年普通の会社に就職したら、家に帰ってくる約束になっているそうです。「女子は茶業科を専攻できないので残念。でもこういった仕事は好きです。」
松本百合子さん(3年生)
「お兄さんがいるので家業は継ぎません。」という松本さん。「こういう仕事は好きだけど、農家に嫁ぐことには抵抗を感じる…。」ということだそうです。
坂部真由美さん(3年生)
農家へ嫁ぎたいですか?という質問に「行きたくない…。」という返事。こういう仕事は、そんなにすきでもないし、嫌いでも無いという坂部さんでした。