掛川工業高校「機械工作部」
Vol.36 1983年3月号掲載
地味なクラブだけど、スゴイことやってんだぞう!

機械工作部というクラブは、運動部やコンピュータークラブなどと較べると華やかさもないし、地味で表面に出てこないクラブである。しかし、掛工では、昨年の10月に全国で初めてという、4階建てのミニ・エレベーターが完成し、全国の工業高校から注目を浴びつつある。
先日行われた県工業高校の製作研究等の発表会にも出品され、県下初めての作品として注目を浴びた。来年度からは校内で新入生用の研究材料として活躍する。
2年生は全員やめていったけど…

掛工でエレベーターを4階に構成した理由としては、2階では上昇下降の操作や実習用としては簡単すぎるということで、あえて4階に挑んだわけであるが、2年掛かりで、現在の3年生が中心となって製作に携わったわけで、喜びも一入である。地道にコツコツと仕上げた成果である。

途中、現在の2年生全員が退部してしまい、3年生9名と1年生の3名だけが残った。だから、3年生が卒業していくと3名しか残らなかったことになる。それでも残った3名は、いたってのんびりしたものである。

「今度の1年生にたくさん入って貰って、みんなで協力し合い楽しいクラブにしていきたい。上級生がいなくて、気楽にやれるから良い面もあります。」と、本音もチラリ。
栓抜きだって30時間もかかってしまう

左写真の3名の生徒は1年間いろいろな機械の操作を覚えるために、旋盤(切断したり削ったり穴を空けたり、ネジを切ったりする機械)を主体にやってきた。そして、ようやく1枚の鉄板から栓抜きを作る作業に入った。

たかが栓抜きとあなどるなかれ。四角の鉄板から少しずつ形を整えながら削っていくのはたいへん根気の要る作業である。写真のところまで行き着くのに約20時間を要している。この先さらに穴を空けるために10時間が必要となるそうだ。

当人たちにとってみれば、初めて形のあるものを作っているわけだから、出来上がってしまえばただの栓抜きも、スーパーや金物店で売っている栓抜きとは比べものにならないほど愛着を覚える事と思う。

この3人の1年生たちは可愛すぎて、新入部員にやり込められてしまいそうな印象も受けるけど、コツコツやるのが大好きということで、技術が向上して1年後、2年後にどんな作品が出来上がるのか楽しみである。
栓抜きです。上が完成品、下は加工途中
顧問の伊藤先生から
「ここ機械工作部の部員は口べたでおとなしい生徒が多いんですけど、非常にまじめでコツコツとやっていくのが好きですね。それだけに、エレベーターが動いた時の反応は、当然のことではありますが、非常に嬉しかったようですよ。」
3年生の部員の声

鈴木辰彦(3年生)部長
「僕はエレベーターよりも歯車の模型を主に作っていました。歯車の中心を出すのに苦労しましたが、出来上がったものを見てよくできたなぁって思っています。こんどの一年生に期待しています。」
小松春幸(3年生)副部長
「このクラブには、ただ何となく入ったんだけど、今回の作品(エレベーター)が県下で初めての作品だと聞いて、非常に嬉しいです。」
杉山 泉(3年生)会計
「何度も何度も失敗を繰り返してようやくでき上がりました。僕自身はそれほど熱中する方じゃないんだけど、絶対にやらなければいけないと思って、最後の方はまじめにやりました。」
顧問の先生
伊藤練太郎先生 勾坂憲雄先生

部員
部 長:鈴木辰彦君(3年生)
副部長:小松春幸君(3年生)
会 計:杉山 泉君(3年生)
    鈴木 勇君(3年生)・榛葉辰夫君(3年生)・山崎烝司君(3年生)
    大場 健君(3年生)・原野将文君(3年生)・笹瀬勝浩君(3年生)
    田川吉隆君(1年生)・長尾正弘君(1年生)・榑林靖人君(1年生)