掛川工業高校「弓道部」
Vol.33 1982年12月号掲載
成績優秀な掛工弓道部

静岡県は弓道が非常に盛んなところである。徳川家康が将軍を辞して以来、城下町として栄えたことと関係しているようである。

現在、静岡県下で弓道部のある高校は50校ぐらいあり、掛工の弓道部は発足してから約15年になる。当時の設備としては立派で、大会等の時にはよく利用されたそうである。掛工弓道部は今までインターハイには出場しなかったものの、国体には県の代表として何回か出場を果たし、その実績も充実している。最近でも、10月17日に行われた「中遠地区高校弓道大会」で、団体・個人戦ともに優勝し、10月31日の「県高校新人弓道大会西部地区予選会」に於いても団体・個人戦ともに優勝を成し遂げた。
現在の部員は1年生が13名、2年生が19名、3年生が8名となかなかの大所帯である。途中でやめていく部員はほとんどいない。

弓道は精神統一させ、不動の構えから矢を射るまでに8通りの動作があり、一つ一つは単純な動作なんだけれども、その単純さが難しい。

洋弓(アーチェリー)の場合は、矢で狙いを定めるために意外に的中率は良い。しかし、和弓の場合は、身体全体で弓を引くために、足腰の強さに加えて精神的な部分が大きく左右するスポーツである。

上下、左右が1cm狂えば的の所では30cmの誤差が出るという。的までの距離は28m、的は直径36cmである。矢が放たれてから的に当たるまでのスピードは約1秒という速さだ。


弓は危険な飛び道具

1年生は、的に向かって射るのに慣れるために、入部してから2ヶ月半〜3ヶ月は基本動作を覚える。その間に精神の集中力と礼儀も同時に養われていく。それらを覚えたところでようやく矢を実際に射ることができる。

矢は危険な飛び道具であるから、常に慎重さは欠かせない。特に1年生が初めて射るときには要注意である。的の上の屋根を飛び越えてとんでもない所へ飛んでいくこともあるために、射る前には周辺の人払いをしてから行う。しかし、初心者でも10日も行えば慣れてそんなこともなくなるが、それでも常に慎重さは欠かせない。


顧問の横山先生から一言

生徒の入部する動機というのは、友だちに誘われてはいったとか、今までやったことがないのでやってみたいとか、他の運動部に較べてそれほどえらく(大変)ないだろうと、まあいろいろですが、少しやってまあまあ(的に)当たるようになると、意外にやめていく生徒は少ないようです。

やった人でなければわからない面白味がでてくるんですね。弓道の魅力というものは、若い人達とはちょっと見方が違うかもしれませんが、ある程度年配になっても若いときと同じようにやれるという事ですね。60歳、70歳になってもやっている方は大勢いますから。

的の前に立って何もかも忘れて精神を集中するということも魅力の一つですかねえ。他の運動は相手がありますから、応用動作があるけれど、弓道の場合は相手がいないので、あくまでも自分との闘いですね。
部員の声
榛村 茂君(2年生)部長
弓道は飛び道具というか、そういう感じで興味がありました。あまり派手な部活でなく、地道にやっていくクラブです。全体の雰囲気も、みんな楽しい人達ばかりで和気あいあいでやっています。弓道の魅力は一口で言って、始めがあって終わりが無いと言うことですね。今後も賞をとって、内容の充実したクラブにしていきたいです。

松下正男君(2年生)副部長
中学の時に剣道をやっていて、一通り武道をやってみたくて入部しました。前回の中部大会で個人優勝をしましたが、弓道は調子のいい時と悪い時の差が非常にあります。特に気分の悪い時などなかなか的に当たりません。