掛川工業高校「コンピュータクラブ」
Vol.32 1982年11月号掲載
ソフトを作り出すところにマイコンの世界がある

ここ2、3年コンピュータの普及はめざましいものがある。オフィスでは、いくらこき使っても文句は言わないし、仕事は早いし、一度記憶したことは絶対に忘れないということで重宝がられている。その他にも車やゲーム、子どものおもちゃ等と、至るところで利用されている。本体を覗いても驚く程簡単なものである。真全く不思議というより他はない。

掛工のコンピュータクラブも昭和49年に創部された頃は部員も少なく、ファコム・メイトIIという言語を使うコンピュータが1台だけという小さなクラブでした。その後、昭和53年にBasicが使えるTK-80を購入。昭和57年には同じくBasicを使うPC6001等を購入。部員も次第に増え、現在では1年生が25名、2年生が18名、3年生が16名の計59名という大所帯になってしまった。

クラブの活動日が毎週金曜日となっているにもかかわらず、昼休みや放課後を問わず部員が集まり、4台のコンピューターも昼夜ひっきりなしに動いている。
ゲームソフトを自らプログラムし、その後はゲーム合戦。
コンピューターというのは今更言うまでもなく、ソフトというプログラムがなければただの箱である。最近ではかなりの種類の既製品のソフトが売られている。これをセットするだけでゲームが出来たり、絵が打ち込まれていったり、オフィスでの伝票整理や管理が可能というたいへん便利なものである。しかし、ビジネスのための使用目的ならそれもいい。だけど、市販のソフトを買ってきたり本に書いてあるプログラムを写してゲームを楽しむだけでは能が無い。

掛工では、基本的なことを習い、その後は、自分達でソフト(プログラム)を作りだしていく。このソフト作りがその後の楽しさを倍増させてくれるのだから…。コンピュータの魅力を一言で言い表すなら「奥が深くて、終わりが無い」ということだろう。やればやるほど高度になり、無限大に生かすことが出来る。生かすも殺すも使い手ひとつというところかな?だから、ある程度マスターしてしまえば後はおもしろくなる一方である。そのうちに「今度のテストの予想は…」なんてデーターが出てきたりして…。楽しみですね。
レオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザだってプリントアウト

コンピュータ室には自由に出入りすることが出來、部員達は朝早く来てプログラムをセットしておいたり、昼休みや放課後も熱心に取り組んでいる。ものによっては放課後ソフトをセットしてプリントアウトをしておいたものが、翌朝出来上がるというものもある。そういったものはプログラムの段階では時間の掛かるかなり大変な作業が伴う。

78%でいただいた「舞子さん」や「モナリザ」のイラストは見事な出来栄えで、特に「舞子さん」の方は、赤と黒の2色を使い分けてあり、着物の柄も綺麗に出ている。

今までのマイコンといえば、値段が高くてなかなか手に入る代物ではなく高嶺の花だったが、最近では10万円以下のマイコンもたくさん出てきて、手軽にプレイが楽しめるようになってきた。とはいうものの、学生にとってはやはり高嶺の花であることに間違えはない。現在、掛工コンピュータクラブの保有台数は4台。部員は59名なので部員達の不満の声も聞こえる。
部員の声
窪野 明彦君(3年生)部長
コンピューターのことを知りたくて、1年の時から入っています。やればやるほど、プログラムを高度にすればするほど、奥が深くなってよりおもしろいゲームが出来るようになります。終わりが無いのでやっていても飽きが来ません。就職先はコンピュータとは無縁の所だけど、覚えておいて損はないと思います。

田中哲也君(2年生)副部長
本当はアマチュア無線をやるつもりで試験を受けたら、見事すべりました。その頃、コンピュータがブームになっていたこともあって即時転向。現在はゲームが主なんだけど、プログラム次第で何でも出来ます。ロボットを動かしたりとか、応用性があるのでおもしろいですよ。ソフトの作り方は大体判ってきました。

坪田達也君(3年生)会計
2年生の時に、おもしろそうだから入ってみようかなと思って入りました。僕なんかには、ちょっと難しいけどおもしろいです。簡単なゲームやイラストを作りました。コンピュータの台数が少ないので、もう少し台数を増やしてくれるといいですね。
プログラムを立ち上げてプリンターで出力中。出てきたのがこのモナリザ。
顧問の鈴木先生から一言

数年前までは30名くらいだった部員も、コンピュータブームで急に増えてしまいました。コンピューターが4台しかないということもあって、一生懸命やっている子はやっているんだけど、中には遊んでる生徒も出てきます。既製品のソフトを買ってきたり、本を写してゲームを楽しんでいるだけでは、本当の力がつかないので、僕としては基礎的なプログラムづくりから教えていきたいと思っていますが、人数も多く、時間的余裕もないので具体的な指導ができなくて残念です。今後はロボットの中にコンピュータ制御などを組み込んで動かしてみたりということもしていきたいと思っています。しかし、年間予算が6〜8万円しかないので、なかなか買えないんですね。でも、少しずついろいろな機械を揃えていきたいですね。