掛川工業高校「空調研究クラブ」
Vol.29 1982年8月号掲載
太陽エネルギーを学び研究する


掛工へ取材に行ったのはお昼休みの少し前。明日はもう7月だというのに、外へ出ると少し肌寒い。プールでは生徒達が、両腕を抱えてブルブル震えている。(寒そう!)その後、クラブの取材をするために屋上へ上がっていくと、ちょうど昼食時で、各教室ではお弁当を広げて食べている最中…。(中身は見えないけど旨そう)屋上から覗いているとあっちこっちから熱い視線を感じて柄にも無く恥ずかしかったよ。しかし、屋上は気持ちが良いなあ、レターハウスにも屋上が欲しいよ〜。

さて、今月のクラブ訪問は掛川工業高校の「空調研究クラブ」です。これからの世の中を大きく変えていくであろう、太陽エネルギーの研究をしている。他にも気象観測のデータを集めたり、断熱材を入れた模型の家を作って熱効率を調べたりしています。特に気象観測に関しては、10年計画で、毎日の気温・湿度・降雨量・日射量・風速・風向などのデータを記録して、これらのデータを基に掛川市周辺の天気予報を出そうというもの。現在、2年半位の貴重なデータが保存されているが、これから8年位先には掛工から「本日の掛川市の天気予報をお知らせ致します」なんていう放送が流れるようになるかもしれません。現在、林野庁などからもたくさんの問い合わせがきているそうです。
太陽エネルギーをつかまえろ!

屋上には2つの太陽熱を利用した温水器が2基備え付けられている。その一つは太陽の熱を集めてお湯を沸かす装置であるが、クラブ員達の手作りのものである。省エネが叫ばれている昨今、様々な企業でいろいろな研究がなされ、これを発展させたソーラーシステムは、冷暖房まで可能にしていることは周知のとおりです。

因みに掛工では、県下の高校では初めてと言う、太陽熱を利用したソーラーシステムの装置を取り付ける予定でいる。しかし、生徒達の手作りでソーラーシステムの装置まではちょっと無理なので、一番簡単(作る方としては大変なんだけど)な集光型の集熱器を作った。

反射板を利用して一カ所に太陽光の熱を集めるんだけど、80度位のお湯が出て来るそうである。しかし、ちょっと欠点がありまして、太陽を10分間隔で追いかけていかなければならない、追随装置を研究して自動で太陽を追跡していく状態にしなければならないのでちょっと大変だ。

もう一つの方は集熱板だけ市販品を購入して据え付けてあるから、一番効率の良い場所へ取り付ければ良い効果が上がる。空調研究クラブのこれからの課題は、夏と冬の太陽の位置などを調べて、角度の研究調査をしていくことだ。このクラブには佐伯先生という太陽熱のことはもちろん、気象などについても非常に詳しい、優しくて頼りがいのある顧問がついているので心強い。
杉村昌則君(3年生)金谷町竹下
部長さんです。「1年の時に迷わずこのクラブに入った」このクラブが楽しくて仕方がないという表情でした。
池田良裕君(2年生)菊川町下内田
「1年の時はアマチュア無線クラブに入っていたが、授業でこういった関係もやるので、絶対に役立つと思って入りました。3年に成っても続けます。」
落合雅士君(2年生)浜岡町池新田
装置の溶接が大変だったと言う落合君は初めてお湯が出た時の感想を「作って実験して、お湯ん出てきたときは、本当に出ただかなあって感じがしただけんが…」と語ってくれました。
伊藤雄二君(2年生)福田町豊浜
1年の時には自動車クラブに入っていたが、空調クラブに入れば授業に役立つと思ってこちらに乗り換えたそうである。
神谷文康君(2年生)相良町大江
主に風や日照量のデータを処理しているという神谷君は「他のクラブと比べてえらくないし、だるくもないので3年になってもまた入りたい」そうだ。(もっとまじめにやれ!)
川合尉之君(2年生)豊岡村上野部
「設備に関係あるところだから、将来を考えて入った」(エライ!)10年か20年後には、石油に替わって太陽熱が出て来るんじゃないかと予測までしてくれた。
島川茂則君(2年生)福田町南島
太陽熱に関心があったという島川君は「空調に関しては授業にも出て来るので、すごい得をした感じ」で、趣味を生かして授業の成績も上がり(?)一挙両得だ。
太田秀春君(1年生)掛川市八坂
「将来もこういう関係の職業に就きたい」という太田君は現在のクラブに大満足。上下の差も無いしいろいろなことが学べるからだ。2、3年もこのクラブに入りたいそうである。
岡田健史君(1年生)袋井市山梨
「太陽の熱を利用して熱いお湯が出た来たときは、すっごい感激した」そうである。自分達の手で作った温水器だから感激も一入だっただろう。