掛川西高校「落語研究会」
Vol.28 1982年7月号掲載
「阿呆迷人劇場」葛城祭にて

落語研究会を略して「落研」(おちけん)と呼ぶ。掛西の落研は、みんな第一希望のクラブに入れなくて第2希望で入ってきた人が殆どである。落ちこぼれの人が入ってくるので「おちけん」と呼ぶのかと思ったら(冗談ですよ)、落語には最後に落ちがあるから「落研」と呼ぶそうである。

発表は年一度、学校の文化祭である「葛城祭」で披露するだけなので、活発な活動は文化祭が近づくまでの短い期間だけである。文化祭が終われば、週に一度集まってテープで落語を聴く位である。

「最近は一般的に、古典落語の笑いから遠ざかっている気配があるけど、今年のテーマである『伝統との調和』に重みを置いて、古典落語を4名出した。しかし、あまり受けなさすぎても困るので、漫才や漫談を3組加えて文化祭に取り組んだ。」と、古典落語の世界も大変である。

古典落語で泣かせるのは比較的楽と言われているが、笑いを誘うまでになるにはプロでも難しいと言われて居る。2〜3ヶ月の練習で、しかも年に一度しか発表の場がないとあっては、なおさら大変だ。しかし、逆にシラケて笑いを誘うという手もあるから、一概には言えないかもしれない。掛西の落研全体の印象は、全く上下関係男女の隔たりが無く、1年から3年まで友達同士という感じでまとまっている。また顧問の岩堀先生が話のわかる良い先生なんです。
じさん、おばさん、おねえさん せいあふれるこの芸を んかしないで見てちょうだい 笑ってもらうから
石川 努(2年生)大須賀町横須賀
落研の会長さん。「1年生の時から落語に興味を持っちゃって、迷わず落研へ。去年は自作で失敗。基礎が出来ていないのに自作は無理だと思って、今年は古典をやりました。年に一回しか発表の場がないのでつまらないですね。さだまさしさんのコンサートじゃないけど、掛川縦横無尽神出鬼没落語をやってみたいですね。とにかく人の喜ぶ顔を見るのが好き。」という根っからの落語好き。
山内 剛(2年生)菊川町和田
去年、落研がみんなからうけているのを見て、面白そうだなあと思って何気なく入ったそうで、とぼけた顔付きはまさに落語家そのもの。メンバーの中で一番落語家らしい顔をしている。今日は「良い子、悪い子、異常な子」のコントを披露した。「僕目当ての女の子ばっかりで、それが良くなかったかなぁって気がする。僕が終わるとみんな帰っちゃったから…。スーパースターは辛い(笑)。」
土井鉄男君(1年生)掛川市各和
「先輩が古典落語をやっているのを見て、昔の伝統を重んじているところに、すごい感動を受けました。2年になってもここに入りたい。」という土井君。今日の出來はまあまあ良かったが、最後にちょっとミスったのがヤバカッたそうだ。
加藤敏弘君(1年生)掛川市下垂木
第一希望のソフトに入れなくて、落研に入った落ちこぼれ組(?)「落語そのものの面白さっていうのはまだ判らないけど、周りの雰囲気の楽しさっていうのは感じます。人が笑っているのを見ていると、こちらにも感じるというか、喜びを感じます。みなさん、もっと落語に理解を持ってください。」
宇田 竜(2年生)大東町三俣
急用ですぎ出て行ってしまったので会長の石川君に聞きました。「彼は応援団に入っているせいか、高座に上がっても気落ちしないところが凄いですね。堂々とリラックスしてやっています。」応援団と落研の取り合わせが面白い。

中島信彦(3年生)掛川市下俣
取材するのを忘れた。ゴメン!
岡部真也(3年生)掛川市新町
「1、2年の頃は一度も見たことがなかったけど、シラケるのが面白いと評判だけは聞いていました。他に入るところがなかったので、落研に入りました。今日は『おじんの生涯』という漫談をやりましたが、まあ受けたと思う。だけど、自分で呼んできたサクラが多かったもんで、その人達がいなかったら、どうなっているか判らなかったね。」テレビの「笑ってる場合ですョ」にも出たいという岡部君でした。
児玉謙次郎(3年生)掛川市弥生町
顧問の先生が太鼓判を押すほどの実力派。演劇部に入っていたというから、なるほどうなずける。「客の前で何かをやるのが好きだし、興味がある。芸に磨きをかけようなんて思って落研に入りました。みんなが笑ってくれると嬉しいですね。それが魅力じゃないですか…。」
平松文明君(3年生)掛川市神明町
「今日はセリフを5、6回間違えました。間違えたと言うより忘れた。昨日のは2時間練習しただけ。今日やったのは練習しないで、ただ話をしただけだから、終始シラケっぱなしでした。ごくたまに、笑いが起こりました。」
石川和秀(1年生)大東町中方
「第一志望のソフト部に落とされたもんで適当に書いた第2志望の落研に入るようになりました。今日は大いに恥をさらしちゃって、もうどうしょうもない。」という石川君。落研は上下の隔たりがないし、先輩が楽しい人達ばかりなので気軽にやっているそうです。

永田輝介君(1年生)掛川市西町
「今日はシラケるつもりでやったもんでかえってそれが受けたみたい。」という永田も、実は第一志望が落ちて落研に入った組。だけど今では、2、3年も気が向いたら落研に入ってもいいなあと思っているそうである。発表の機会が少ないのが難点だけど楽しそうだ。
今坂 純(2年生)小笠町河東
今日は裏方として大活躍。昨年は運動部にいたが、今年は文化系のクラブに入ろうと思って目に付いたのが落研だったという。「楽しいです。来年も入る予定です。落語を本当に判る人も、もっと見に来てもらいたいですね。」
泉 敬秀(1年生)大東町三俣
人前に出るのは好きじゃ無いけど抵抗は感じないという泉君は、落研は話を聞くだけだと勘違いして入ったら、今日は「時蕎麦」という落語をやらされてしまった。「人前に出るより覚えるのに大変だったからいや!。」だそうだ。今日は、適当に台本を削ってしまったそうだ。
石川隆子さん(3年生)掛川市板沢
落研の紅一点。本人自身も周りのメンバーも女ということを意識していないので、少しも違和感を感じないそうである。今日は「紙めくり」(落語の題目ではない)をやらされた。「テニスクラブを落ちて、前の顧問の先生が2年の時担任だったので落研にはいりました。入ったら直ぐに岩堀先生に替わっちゃたけど、岩堀先生もすっごい良い先生です。」