華道部
Vol.58 1985年1月号掲載
慌ただしい昼休み

常葉学園短期大学では、遠方からの通学している学生が多いせいか、ほとんどのクラブがお昼休みを利用してその活動が行われている。

たった1時間の間に、食事や準備、練習と、かなり慌ただしい。華道部もご多分にもれず、お昼休みを利用しての限られた時間内の活動なので、準備の早いことといったらない。但し、2年生だけは午後からの授業のないときは、早く帰りたい人を除いて、2時半からゆっくりと出来るシステムになっている。

この華道部は全国組織になっている小原流。小原流は、盛花(水盤という口の広い皿形の花器を用いる方法)を初めて世に送り出した流派であると言う。だから、ここでは瓶花よりも盛花を主体とした生花が多い。普段はかしましい女子大生も、この時ばかりはおしとやかに見えるから不思議だ。


団体割引で生花の教授の資格が取れる


小原流は准教授の資格を得る迄は、単位制になっているので、出席率さえ良ければ、学校卒業までに、初等科・本科の資格がもらえる仕組みになっている。

「免状がもらえるので、結婚するときに持っていたら格好いいんじゃないかなと思って…。」と、すでに結婚するときのことまで考えて入ってくる部員もいる。

ともかく、団体割引とやらで非常に安上がりで資格が取れるのも魅力のようだ。普通、初等科で月額4,500円かかるところが、ここでは2,000円。本科になると、10,000円が3,000円になってしまう。親のすねをかじっている学生にとっては大助かり。これも校内に華道部があるから出来る利点の一つだ。


消滅寸前の華道部が救われた


昨年の二年生が卒業していくときには、一年生が一人もいないという悲惨な状況だった。当時の部長と仲の良かった河合さん(現在二年生で元部長)は「入らない?」と度々誘われたそうである。当時の河合さんは、他のクラブにいろいろと手を出していたので多忙を極めていた。所が、「私達が卒業すると、このクラブは消滅してしまうの。」の一言で決意を固め、仲間を集めて引き継いだ。こうして、創立以来続いていた華道部は消滅されずに済んだのである。最初は少なかった部員も、徐々に増えて今では一・二年生合わせて20名がいる。


あっ!折れちゃった!


取材途中で、突然「あっ、折れちゃった!折れちゃった!」と言う声が聞こえてきたので、声の主を探すとなんと新部長の渡辺さんである。手に持っている生花用の枝が、哀れにも途中からポッキリ折れている。

これでも、高校時代から4年間も生花をやってきたベテランなんです。いい気になっちゃってチョキ、チョキハサミを入れて切り過ぎちゃった、なんてことも度々あるそうです。簡単そうに見えても意外に難しいのですね。

さて、女の子に人気のある花は、カーネーションとかすみ草だそうですが、残念ながら練習用には、安価で手に入る菊の花が多いそうです。今年のお正月には、日頃の練習の成果が発揮されたことでしょう。