茶道部
Vol.56 1984年11月号掲載
自然の池を眺めての茶道

常葉学園短期大学の中に設けられている茶室は、常葉学園の創設者である故木宮泰彦氏の住居だったものを、そっくり移築したもので、趣のある建物である。お茶席から望む池や庭園は、落ち着き払っていて最高の眺めである。

池も人工の池ではなく、元は高田ヶ原池と呼ばれていたが、常葉学園建設の時の敷地内に入ってしまったので、埋め立てないで少し手を加えそのまま残した。今は常葉ヶ池と改名をしている。

部員は現在24名(内2年生14名)。週一回の活動は昼休みに行われ、12時10分から1時までの短時間に、準備、お点前、それが終わって昼食と、なかなか慌ただしいが、時間が短い分、手際よく行われるので、逆に良い面もある。

しかし、これだけ雰囲気が揃っている場所がありながら、時間をかけてゆっくりお点前が出来ないのも勿体ない話である。「現在はいろんな事情で昼休みにしか出来ないんです。行く行くは、ゆっくりとできる様に計画しているんですが、なかなか実現しなくて…。」と、部員たちも悲しそう。


流派は江戸千家


茶道部が発足して今年でまだ3年目。現在の2年生が入学した頃は、全体的にあまりサークルがなかった。そんな中で、茶道部だけが活発に活動していたこともあって、同じクラスの仲間が大勢集まった。

2年生は全員が英文科の学生で、外国語を勉強していることもあって「何か一つ日本的なことを身につけてみたい」ということも入るきっかけになったようだ。(中には茶菓子を目当てに入った人も相当いるようです。)

庶民的な江戸千家は、学生でもすぐに溶け込んでいけるようです。茶道には表千家、裏千家をはじめ、宗偏(そうへん)流、松尾流、普斉流、江戸千家など、いろいろな流派があるが、すべて千家に繋がっている。

茶道をこれまでに広げたのは千利休の力が大きく働いている。千利休は茶室や茶道具などを、それまでの高価で華麗なものから質素なものにし、侘びた(枯淡の趣)ものの中に人間の本来の精神が生かされるように改革した。だから、お茶を楽しみながら、同時に礼儀作法を覚えられることもあって、女性の花嫁修業にはもってこいなのである。

この立ち振る舞いが日常生活で生かされる様になるまでには長い年月を要するが、2年間の短い期間でもそれなりの効果は出て来るはずなので、卒業までにしっかりと学んで欲しいものです。


足のしびれを和らげる方法


茶道をやりはじめた頃の悩みの種と言ったら、何と言っても足のシビレ。お茶を受け取りに這っていくなんて、こんなバツの悪いことはありませんね。しかし、これも年季が入ってくると徐々に解消されていくものらしい。そのコツを教えてもらいました。まず、立つときに足の親指を立て、その上から腰を掛ける要領で、上半身の全体重をかける。その後で立つようにすれば、かなりシビレは和らぐそうです。


学園祭には花を添えます


10月19日〜21日に行われる学園祭には、初めて茶道部として参加する。お茶席を設けて日頃の成果を発揮。今は、その学園祭に向けて練習に余念がない。当日は着物姿で日本の美を堪能させてもらえそうです。今年行けなかった方は、来年は是非行ってみて下さい。

常葉ヶ池と池を望む東屋。
茶道のことを一般的に「さどう」と読んでいますが、それは間違いではないが、茶頭のことを「さどう」と読むので、茶道は「ちゃどう」と読むそうです。茶頭は茶道とも茶堂とも書くこともあり、茶事をつかさどる師匠のことです。