合気道部
Vol.53 1984年8月号掲載
女子でも簡単に男子を投げられる!?

今月号は合気道部の紹介です。常葉学園短期大学の合気道部は、今年の4月に出来たばかりで、部員は全員が一年生。女子が10名、男子が7名のクラブです。

合気道は、少林寺拳法や柔道のように「エイッ!」「ヤーッ!」とかの気合いは入らないので、練習風景も静かな印象を受ける。しかし、決して気合いが入っていないわけではなく、言葉に出さないだけで、自分の中で気合いを入れているのです。

合気道はあまり力を必要としない。ちょっとした動作で相手は投げられてしまう。女子でも簡単に男子を投飛ばすことが出来るのです。見ていてウソっぽい感じがしたのでつい、「本当に痛いんですか?」と聞いてしまった。(言わなければ良かった)試しに実際にやってもらったのですが、痛かったです、やっぱり…。


思いやりと合理性の合気道


「合気道には優しさと思いやりが常にあります。例えば、関節なんかにしても曲がらない方向に無理矢理曲げるのではなく、普段曲げている方向でもこれ以上曲げられないという所を、ちょっとやるだけで、あいてはすごく痛がるわけです。武道というのは、勝つことが目的ではなく、負けなければいいわけで、相手が突いてきたら、ぱっとかわすだけでもいいんです。他の武道、剣道とか柔道は、競技化して、勝つためのものになってきていますが、合気道はあくまでも、武道としてやらせたいと思っています。誰でも強くなりたいという気持ちはあると思うんですけど、徹底して強くなれば攻撃的ではなくなっていきます。柔和な優しい人格ができあがります。このクラブでは、そういったものを目指します。」と、顧問の山田先生が言う通り、すべての技に思いやりと合理性が含まれています。


女性にとっても最高の武術


合気道は一瞬の判断力と機敏さが備われば、誰にでも出来る武術である。実はこれが一番むずかしいんだけど…。毎日の練習の積み重ねで、身体が自然に覚えてしまうのだそうです。

「先生は自転車に乗るのと同じだって言っていますが、なかなかそんなわけにはいきません。だか練習を一生懸命するしかないですね。」と、部長。この部長の入った動機が「男を目立たせるため」だったそうですが、毎日、女子に投げ飛ばされて、逆の意味で、目立っているようです。

女性の場合は、護身用のためという人も多いようですが、痴漢に遭ったときなど、鼻を明かしてやれたらさぞ胸がスカッとすることでしょうね。ところが、女子にとっては
、背筋が伸びて、動きがキビキビしてくるので、和服を着た時に違いが出て来るという良さも得られ、ピッと締まった感じを与えるようになるそうです。女らしさと逞しさを兼ね備えた女性なんて最高ですね。